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紙の本
裸眼で菌糸が見える人?リアル「もやしもん」の世界。
2019/02/14 16:44
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙のイラスト、「あの漫画でみた」と思う人もいるかも。お酒やみそ・しょうゆ作りに欠かせない「あの」生き物です。千年に近い年月、日本人の食生活を支えてきた菌たち。その深く「染み込んだ」世界をとても分かりやすく紹介してくれる読み物でした。
東北の震災で倒壊した醤油の蔵。新潟の火災で焼けてしまった酒造店。それでも「昔からの味」を取り戻す力になったのは特徴的な麹菌が「もやし屋」に保存されていたから。蔵に残っていたものから他にはない菌を分離して増やすことができたから。最新技術にもつながる日本の古い伝統技術。時間のつながりを感じさせる話でもありました。
ちょっとおもしろかったのは昔話「花咲か爺さん」との関係。実際に現代の醤油屋さんで麹菌を混ぜるときに「枯れ木に花を咲かせましょう」と唱える話が出てきます。麹の花が咲くとよい出来が期待されるのとか。もう一つ「花咲か爺さん」に関係する話も少し後に出てきます。昔話も違う目線で想像を膨らませさせてくれました。
レビューのタイトルにした「菌が目で見える」のは一人のもやし屋さん。涙がレンズのように働いて、中に浮いて流れていく菌が見えるとのこと。「誰でもほんとは見てるんじゃないかな」という言葉にドキリとしました。実はそうじゃないか、と思ったことがあるんです! 理屈は考えたことがなく、ド近眼のせいかと思ってましたが。漫画の作者も知っていたのかしら?
麹菌を使う技術は日本人が誇ってよいものでしょう。でも、菌を使った技術は古くから世界中にあります。ビールもチーズも・・・。そういう世界中の「菌との歴史」をどれも大事にしていきたいですし、知りたいと思います。
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