紙の本
東直子氏による愛の短歌300首を収録した読者の心に響く一冊です!
2020/08/26 10:05
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『青卵』、『十階』、『春原さんのリコーダー』などの歌集をはじめ、『長崎くんの指』、『とりつくしま』、『さようなら窓』、『薬屋のタバサ』、『晴れ女の耳』などの小説、さらに『千年ごはん』、『短歌の不思議』、『七つ空、二つ水』などのエッセイ集などを発表してこられた東直子氏の歌集です。同書は、「謎だから知りたい。分かりたい。人の心があたため続けている愛を」といった書き出しで始まる歌集で、近代短歌から、生まれたばかりの新鮮な現代短歌までを、五七五七七のリズムで鮮やかに読まれています。人間のいとなみのなかで生まれた古今の短歌300首が、名手の読みときで鮮やかに輝く一冊です!
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謎だから知りたい。分かりたい。人の心があたため続けている「愛」を――。古今の短歌三〇〇首が、名手の読みときで鮮やかに輝く。〈巻末対談〉西加奈子
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東直子さんが愛と命をテーマにして編んだ名歌紹介。こんなに活き活きと読み解くことができるんだ、と感嘆することしばし。
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歌人・東直子さんが、近代短歌から現代短歌まで、300首の「愛のうた」を選び、紹介する。
この本の元本は『愛のうた 鼓動のうた』というタイトルになっていて、恋愛の歌のみならず、幅広い愛の歌が掲出されている。
冒頭に掲出されている
<花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった>吉川宏志
にはキュンとした。
その言葉だけで今後30年くらい愛せそうな気がしてしまう。(妄)
他に好きな歌。
<まずバスに乗ることからと君は言い月夜の中によい声残る>永田紅
<あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ>小野茂樹
<あとがきのように淋しいひつじ雲見上げてきみのそばにいる夏>大森静佳
東さんはあとがきで「愛と命は深いところで結び付いているテーマ」だと、書く。
さまざま愛と命のかたちを短歌という形式で感じながら、本当にそうだな、と、思う。
でも、愛がなければ命がない、とか、単純に言い表してしまうと、ひどく傷つく人もいるだろう。
もっと、複雑に、逃れようもなく絡まっているのではないか。
愛の反対語は憎しみではなく無関心だ、と、マザー・テレサは言ったそうだが、無関心の反対は愛なのか?と、言うと、ちょっと違うような。
この世の中は二項対立でできていない。
でも、関心を抱く、ということは、愛に近いものな気がする。
短歌というものは、さまざまな人やものに関心を持つのに、最適なツールだと思う。
「この瞬間を時間の波の中から救い出したい……と、そういう気持ちが短歌になるんです。」西加奈子さんとの対談で東さんが最後に仰っていたことp217