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両親の愛は本物で、宗教でしか救われない想いがあるのは事実だが、子どもにとって良い環境になるかは別問題。
主人公のちょっと変な愛情表現とそれを拒絶される瞬間。こちらあみ子でも出てきたが、その瞬間が妙に好きだ。あみ子が殴られた時ほどではないが、南先生のひどい言葉もぞくぞくくる。後の対談で小川さんが解説してくれているけど、本人も気づかないような暴力性が露わになる瞬間が、今村さんの小説の醍醐味でもある
しかし星の子ではクラスメートの反応が優しい。なべちゃんや釜本さんも。だから小川さんが「大抵、救いになるのは少年」と言ったのはちょっと首をひねった。
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作中に出てくる宗教は確かに怪しい。けれど、ちひろの両親たちは幸せそうに見える。ちひろは自分の親のおかしさに気づいているけれど、その上で現状を受け入れている。終盤である人物が言う「好きな人が信じるものを、一緒に信じたい」。いい言葉のはずなのに、対象が怪しい宗教だと思うと、途端にうさんくさい。でも言葉自体は素敵で、だからこそ考えさせられる。正しさ、おかしさって何なのか。星空を家族寄り添って眺め、流れ星を探すラストシーンは美しくも切ない。私たちは同じ世界で過ごしながら、違う世界を見つめている。
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裏表紙の紹介文を読んで、何かいろんな悪い奴に巻き込まれるような壮大な話を期待して読んだ。
いい意味で裏切られたと言うか
「まあまあ、落ち着きなよ。宗教と言ったって秘密結社じゃないんだから、そうそう事件が起きたりするわけじゃないよ。」
という感じで、どちらかと言うとむしろさくらももこのエッセイを読んでいるような、緩さと温かみがある本だった。
ま、正月にだらりと読むには持ってこいの一冊でした。
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主人公ちひろが小さい頃、虚弱体質だったため
両親は救いを求め宗教にハマっていく。
ちひろが物心ついた頃には宗教生活は日常化しており
その生活はちひろにとってすんなりと入ってくる…
今村さんワールドですね。
登場人物全員がいい味を出している。
終わりが『ブツリ』という感じで取り方は色々。
私は正直、少し不穏な空気で取ってしまったが…
最後の小川洋子さんとの対談で『なるほど…希望か』とそっち側も納得してしまった(笑)
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ラストがあっさりしていて、「あれ?」という感覚だった。ちひろやなべちゃん、新村くんはクラスの子や親友を思い浮かべて読むことができ、面白かった。クラスの読書好きの友人にも紹介しようと思う。
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家の常識が世間の非常識だったら?
世間に合わせる必要は全くないけれど、両親の信条が子どもに与える影響は大きい。
それは、宗教に限ったことではなく。
なんでもそうだけれど、自分が良いと思っていることでも、聞かれるまでは、人にすすめない方が良いのかも。
いろんな価値観があることを教えたうえで、大人になった時に自分で選択できるのが一番いい。
ちーちゃんはこれからどんな大人になるのか...
続きが読みたくなる。
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最後がもう少し展開があるような気がしていたので、じゃっかん拍子抜け。前半は面白い。
ちひろは他の家庭と同じように、充分幸せだし両親のことが好きなんだろうなあと思うと切なかった。
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読みながら、「目を覚ませー!」と言いたくなる。
主人公の伯父さんの気持ちわかるなぁ。
両親は救いようがないにしても、主人公は救いたいという人が周りにはたくさんいる様な感じ。
この本をどう読むのか…難しい。
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病弱な娘を救いたい一心で、藁にも縋る思いで父親の同僚に勧められた方法を試したところ、みるみる健康になっていたことで両親は怪しい宗教にのめりこんでいく。
主人公のちひろが、当たり前だと思っていた光景が実はそうではないと気付く場面がある。
「そのすべてが見慣れた光景だった。それなのに、はじめて見たと思った。」
両親の行動の異様さに気付いた時のちひろの戸惑い、衝撃を、こんな風に表現したのだ。上手いなぁ。
それでもちひろは、姉のように両親を拒絶出来ない。それは、両親から沢山の愛情を受けていることを肌で感じているからだ。両親が宗教にのめり込んだのも、娘を愛しているからこそだ。途中読むのが辛くなった程、痛々しくて、切なかった。
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最後のシーンは色んな解釈ができるけど、
どんな解釈をしても泣いてしまう。
そこにあるのは愛だと思う。
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ラストをどう読み取るか。
なかなか見えない流れ星。それは「この団体に対する信頼度合」につながるのかな。
わたしの伯母のこと。
伯母とは、高校生の頃まで一緒に住んでいた。今は、わたしのよき理解者。で、近年マルチ商法のようなものにはまっている。伯母とは離れて住んでいるし、それによってわたしに迷惑がかかっているということもないし、いつか困った時に力になれることがあればしたいと思っている。でも、もろに影響を受ける環境、たとえば一緒に住んでいるとか、わたしの友達までマルチ商法に巻き込んだりとか、そんな環境下にいたらどうだろうか。
巻末の小川洋子さんの言葉を借りれば、「疑問は持っているが親のことを非難せずにとりあえず受け入れる妹」と、妹のせいで両親がおかしくなってしまった、すでに自分には関心が向けられなくなってしまったと思う姉。わたしは妹と姉、どちらに近い感情を抱くだろう。
生まれてすぐ享受する環境を「そういうものだ」と受け入れる。生きていく中で、自分が受け入れているものに対して疑問を持つ力というのは、どこから生まれてくるのだろう。
「むらさきのスカートの女」を先に読みたかったけれど、みなさんの感想を読ませていただいているうちに、こちらを先に読みたくなりました。初の作家さん。
昔はこういう、解決できない部分の多い(ラストや雄三おじさんや姉のこと)作品を好きになれなかった。でも今、この読者にゆだねる形のラストを清々しいと思ってる。内容的には、虐待ともとれるし、ブチ切れたっていいはずだ。現に、その感覚はそれとして残ってる。それでも、清々しさの方が強く有るのは、ちひろの「疑問に思う力」がいつか「この家を出る力」になるのかな、と思ったからかもしれない。
そして、小川さんの「悪意のない家庭だとしても、平和ではないということが残酷です」「この子が世の中に出たら大変だろうな。新しい家庭をつくっても、安心して里帰りできるのかな」という視点が、「家を出ること」のはるか先をいっていて、さすがの想像力・洞察力だと思いました。
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あらすじを読んで興味をち、宗教がらみのドロドロした話を期待していたけど、終始淡々とゆったりとした雰囲気の小説だった。個人的には、もう少し話を広げてほしかった。ひろゆきの行く末が気になる・・・
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新興宗教にどっぷりハマった両親を持つ少女の物語。宗教にもいろいろ種類があるし、日本においてもデリケートな問題ではあるけれど、この物語における新興宗教は所謂「過激でヤバい」ものに分類されるだろうことが、徹底的な少女の視点で、フラットに表現される文体のなかでも端々に感じ取れる。が、大きな事件が直接起こるわけではなく、あくまで少女の日常の物語。新興宗教を内側から見た、"普通の"少女と、その家族の物語。だからこその遣る瀬無さ、切なさが、絶妙なバランスで見事に表現されている。
会話文のテンポが特徴的。会話文が全体的に多く、会話だけで2,3頁進んだりもするが、空白を感じたり物語のテンポが狂うことは一切なく、むしろ小気味良いリズムの中にその場の雰囲気が濃密に立ち現れ、言葉よりも真摯に登場人物の心情を伝えている。少女視点のフラットな文体と相まって、とても上手い。
上手い!と思ったのはその他2点。南先生がホームルームで、ちひろを言葉で苛烈に打つシーンと、物語の終盤、両親や宗教関係の友達と同じ流れ星を目撃できないシーン。思えばここもほとんどが会話文で構成されている。前者は、物語の進行になんら関係のない、ありふれた「保健室だより」の文章を、南先生が生徒と掛け合いながら淡々と読み進めていくその流れで、唐突にちひろを怒鳴りつけるシーンだが、その暴力性が「保健室だより」のなんでもない平和な文章と相対的に表現されていて、強烈に印象に残る。後者は、宗教に盲目的な仲間とも両親とも、自分が持つ教団への疑問に気づき始めてしまった(ことを自分自身にも誤魔化せなくなってきた)ちひろは同じ視点を共有できないのだ、ということを抽象的に表していて、ちひろにとっては居心地の良い大切な仲間と、愛し愛されているという点では幸福な"普通の"家族と、それぞれとの別離を匂わせ、とても切ない。最後に家族で星を見上げるシーンに希望を感じた、というレビューを目にするが、私には希望など欠片も感じられなかった。小川洋子さんが対談で仰っているように、単純な子供の巣立ちだとも思えない。ある側面ではそうかもしれないが、"普通の"家族でない限り、やはりあれは"別離"のシーンだと思う。抗えない「さよなら」から目を背けようと、必死に寄り添う"普通の"幸福な家族の、"普通ではありえない"別離のシーンだと思う。
思えば、ちひろは「宗教」から離れ難いのではなく、そこで培ってきた心地良いコミュニティーと離れ難いのだろうな。当然だと思う。特殊な思想で縛られなければとても健全なコミュニティーに感じられたし、むしろ「宗教」と関係ない南先生みたいな人間の悪意の方がちひろは感じやすい環境だろう。でもそれは「宗教」なんて関係なくて、どこにでも自分にとって良い人も悪い人も存在する、ということをちひろは感じ始めている、だから巣立たないといけないのだろうけど。
読んでいて、これが村田沙耶香作品でなくて良かった、、、と何度か思ったのは、ちひろのクラスメイトが、ちひろの特異性を認識しつつも、迫害することなく接していたから。特になべちゃんみたいな、「変な宗教」と対面ではっきり言ってくる友達は貴重だと思う。ちょっと意地悪だけど。村田沙耶香作品だったら多分学校で虐められて家庭でも宗教コミュニティーでも疑問を持ってしまって居場所がなくて四面楚歌で最後には三角堂のリンチに被害加害どっちかで参加してしまいそう。辛い。でももしかしたらまーちゃんは学校でそういう状態だったのかもしれない。無数の傷と謎のラクガキはそれを示唆していたのか?あと春ちゃんの劇的な変化はなに?「幸福の黄色いハンカチ」にはなにか意味があったのか?教団エリートに脅された?洗脳された?それとも彼氏ができたからなんだろうか。疑問点もあるなあ、読解力の無さが悲しい。
やっと原作読んだから映画が観れるなー。芦田愛菜ちゃん主演なんて観るしかないじゃん。絶対良い演技してる。楽しみ。
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え????という終わり方だった。
続きがあると思ったのに、ここで終わるの?と
読みやすく3時間ほどで読破したが、終わり方に納得がいかず☆3
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主人公の病気が原因で新興宗教にハマった両親と、その中で育つ主人公のお話。
1番印象に残ったのは南先生と主人公に軋轢が生じる場面です。最初は主人公を送り届けた次の日、もう1つはホームルームでの叱責(というか晒しあげ)。
特にホームルームの場面は、小学生の時に私も経験があるような気がして心を乱されました。
人気者の先生がクラスのコミュニケーションが苦手な子に怒鳴り、大人らしからぬ陰湿な悪口を言ってしまうのがしんどいです。
終わり方はリドルストーリーというか、人によって180°違う解釈になる切り方をされていると思います。私は、主人公は両親と距離を取りながら生きていくことになるのかなぁと思いました。