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殺し屋シリーズであります。
殺し屋は、コミュニティが狭い。それが普通。
いわゆる普通のひととの関わりが、あるのかもしれないけれど、描かれないことが普通。
今回のお話に出てくる主人公は、生まれてくる環境が違えば、育つ環境が違えば、とっても善良で、とても普通な人になっていたと思う。まあ環境によって人格が変わるのは誰でもそうなのだけれど。
だけどこの主人公は、とっても悪いことをした経験があるからこそ、妻と、息子と、素敵な関係を築けたんだな、ということがよくわかる。元々家族をつくる素質はあったのだろうとは思うけれど。
本当の自分、なんて私だってよくわかんないさ、殺し屋だって、自分探ししたっていいじゃないか。
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前2作の殺し屋シリーズとは異なり、殺し屋というよりは恐妻家で家族想いのただのお父さん
息を飲む殺しの場面、殺し屋としての葛藤、家族のこと。本作はひとつの作品でいろんな面を見せてくれる。
けれど、言うならばとても暖かい家族のお話し。
何より主人公、兜のキャラが良すぎる
魚肉ソーセージは最強の夜食
最初の魚肉ソーセージの話しで一気に心を掴まれた。
シリアスな殺しの仕事とは反対にスズメバチとの格闘はとてもコミカルで思わず吹き出してしまう。
人はいとも簡単に殺すのに、妻の機嫌にビクビクし、落ちたスズメバチに心を痛め、フェアであることを貫くチャーミングなお父さん。
兜は伊坂作品の中でも好きなキャラクターの上位です。
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優秀な殺し屋である「兜」は、一人息子である克巳の存在もあって、この仕事を辞めたいと仲介業者(表向きは医師)に打診するが、もう少しお金が必要だなどと言って一向に取り合ってもらえない。
一方、家庭では妻の尻に敷かれている恐妻家であり、妻のご機嫌を損ねないように日々精進している。それでもたまに失敗するが、息子の克巳にフォローしてもらって何とか平和に過ごしている。
そんな日々の中で、パパ友(恐妻家仲間)の松田や、兜とかなり似た状況にある奈野村と出会いがあり、遂には仕事を辞める決意をする。しかし、それは当然簡単な事ではなく、自分や家族の命が危険に曝されることになる。兜が家族を守るために放った「蟷螂の斧」は敵に届くのか…
兜の実名は三宅で、家族にバレないよう表向きは文房具メーカーの営業をしながら裏の依頼もこなす。そして、時には弱者を助けたり、仕事に罪悪感を抱いたりと、人間味に溢れる部分も持ち合わせている優しい父親だが、妻には頭が上がらず、恐妻家としての発言や分析はコメディタッチで非常に面白かった。
グラスホッパー、マリアビートルと読んできたが、殆どが兜視点ということもあって最も感情移入し易く、最も読後感が良かった。こんな父親かっこよ過ぎだろと思いつつ、最後は清々しいような、甘酸っぱいような気持ちにさせられた。
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最高すぎた。
とにかく色んな人に勧めたい。
じっくり楽しみたくて
時間があるにも関わらず3日かけて読んだ。
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殺し屋の話なのに、ユーモアがあって楽しく読めました。
主人公は殺し屋なのに、恐妻家で妻の前では従順で、波風を立てぬよう常に気を張っている。
そんな主人公が、仕事を辞めようとするが、一筋縄ではやめられず。。
主人公の兜は公平であることにこだわり、優しく面白い性格だが、殺し屋の腕は一流でそのギャップがなんとも言えない面白さでした。
所々にギャグが入っていて、最後には家族愛も感じられる楽しい作品でした。
そして、殺し屋の周りには殺し屋が多すぎる!笑
怖い世界だなと思いました。
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久々に伊坂幸太郎の本を読んだが、やっぱり面白い。おそらく一番好きな作家。頻繁に視点人物が入れ替わる三人称多視点や結末から始まる文体によって、いつの間にか没頭している。忘れたころに伏線を回収する技巧も非常に魅力的。
あとがきの「解説」も自分が思っていたことがきれいに言語化されていて、伊坂幸太郎の作風を再認識できた。
quote(解説):
伊坂は家族の多様性を題材にするが、自分という存在は個として完結したものではなく、他者との関係を通じて時間軸上に広がっている、という認識が伊坂作品に見えることが多い。その最も小さな単位が家族なのだ。・・・時間軸上に自分の延長が残っている間は、自分は終わらず、孤独ではないのだ。そう考えることが死への対抗するための根拠となる。実は殺し屋の男を主人公とする『AX』にも、そうした要素が備わっているのである。引き裂かれた自己を持つ男が、家族を通じて本来の自分は何かを考える小説なのだ。
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伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズの3作目。
グラスホッパー、マリアビートルのように長編ではなく短編集形式。物語も比較的平和だし正直わくわく感に欠けるなぁ、と読み進めながら思っていた私…だったが突然度肝を抜かれる。
後半になるとどういう展開になっていくのか不安で読み進めるのが怖かった。グラスホッパー、マリアビートルではわくわく感を覚えながら読んだけど今作はドキドキをこえてバクバク感が強かった。
記憶飛ばして一からこの作品読みたいほど衝撃的だった。
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単行本で読み返し。
日常と非日常がシームレスに続く殺し屋の世界。
完全なるハッピーエンドと違うけど、殺し屋のフェアであろうという姿が、まわりを動かし、息子を迫り来る恐怖から救い出す。
最後の殺し屋と妻の出会いのシーンが良かったです。結果は分かっていたけど、改めて読み返して忘れていた展開もありました。
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・少し夫の事も優しくしてあげようと思った
・殺し屋とかあり得ないだろーとか思ってたけど
少しウルっときた
・兜、死なないでほしかったな
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殺し屋の「兜」は腕は超一流だが、家庭では恐妻家。殺し屋にしては珍しく家庭があり、一人息子がいる。
この仕事から足を洗うために奮闘するエンタメ小説。
評価が高くて読んでみたけど、個人的には普通だった。描写もいまいちで、根性移入しきれなかった。好き嫌いが分かれる作家さんなのかも。。
最後に一矢報いることができたので良かったけど、特段おすすめでもない。
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可もなく不可もなく、読んでいても特に何か感情が動くわけでもなく、つまらないわけでもなく。
ただ終盤で序盤のことを思い返す手法は解説で述べられた通りで、面白い方法だなぁと思った。
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全てを通して、殺し屋シリーズの中で一番好きな作品です。特に最後の妻の夫のことを大切に思っていたことが再確認できるシーンが印象的でした。
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最初恐妻家で殺し屋?どんなお話なんだろうとワクワクしながら読み進めたが、家族愛をひしひし感じる物語に心があたたまった。家の庭にできたスズメバチを除去する話が好き
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非常に面白かった。
外では家族のために働く父親が家内での平和を保つため苦労する姿、妻はその努力を知らずそこを踏まえて幸せだと感じている兜に、家族っていいな。と痛感させてもらった。
前半のコメディタッチから最後はシリアスな展開に仕立てているものの、一貫して父親、夫としての生き方を学ばせてくれる良書であった。
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仕事を辞めたい恐妻家の殺し屋
殺し屋だって生活しているし、家族もいる。
友達も欲しいし、家族に頼りにされたい。
だから、仕事を辞めることにした。
希望を叶えることは難しい。長い年月を経て、友達や家族の協力を得て、ようやく叶えることができる。
厳しい。でも希望をあきらめてはいけない。