投稿元:
レビューを見る
J・D・バーカー『嗤う猿』(ハーパーBOOKS)。「捜査パートはディーヴァー、殺人鬼パートはケッチャム」みたいな評があった前作『悪の猿』の続編。同じ主人公が違う事件を捜査する的なシリーズ作ではなく直接的な続編なので前作読んでないと駄目。
前作の詳細を忘れてたのでざっと再読してから本作に取りかかったんだが、再読しといてよかった。けっこう細かいところがいくつも伏線となってて驚いた。
前作の感想で「90年代中盤頃のサイコサスペンス映画を見たい気分のときにはちょうどいい一冊」と書いたが、続編での事件規模と“因縁”の拡大はどちらかというと映画よりもドラマ的。『あなただけ見えない』とか『沙粧妙子 最後の事件』とか、あそこらへんのテイスト。
三部作中の第二作ということでブリッジなわけで、まあなんともすごいところでブツリと終わるんですが、ここらへんは洋ドラのシーズン最終回みたいな感じやね。良いと思います。続きは秋か。
投稿元:
レビューを見る
作者J・D・バーカーの腕には舌を巻く。
前作『悪の猿』の主題を、ほんの1行半で、書いてしまっているのだ。
初っ端からそんなものを飛ばした上、これまたご丁寧に、前作の犯罪の概要、動機、犯人、捜査状況、犯人の別名、その後の有り様、犯人の事情etc.etc.etc....
すべて、詳しく、解説してしまっている。
いやいや、先生、なにもそこまでと思うのだが、読んでいくうちに、ああ、これは、前作あっての話なのだと、この『嗤う猿』は、前作『悪の猿』あっての物語なのだとわかってくる。
シリーズものといっても、世には色々ある。
シリーズを通してテーマがあっても、各巻それぞれ独立した話であるというのが、当世の主流だ。
だからつい、世のシリーズものはすべてその様式だと思ってしまっているが、そんなことはない。
たぶんこの『嗤う猿』は、前作『悪の猿』の、まさに「つづき」なのだ。
上巻に次ぐ下巻といっていい。
手品を見せられて驚く1巻。
その手品のタネを見て、さらに新たな手品に驚く本作といったところか。
『嗤う猿』を楽しみたければ、ぜひ『悪の猿』から読もう。
逆はない。
前作のあれこれが、本作であっさり詳しくまとめられてしまっているからだ。
「じゃあ、『嗤う猿』を読んだら、2巻分一気に読めてお得じゃん!」
という解釈の方は・・・・・・
ううむ、私は理解できないが、まあ、そういう読書スタイルの方は、そのようにどうぞ。
巻末を見れば、「三部作」とあるので、むしろこれは上巻、中巻と言うべきかもしれない。
次作(下巻?)は、2020年秋に出版予定だという。
本棚にある2作の隣に場所を作って、その時を待とう。
次は何の猿だろう?
投稿元:
レビューを見る
猿のシリーズは三部作だったとは知らなかった。これは三部作の二作目なので、はっきり言って前作を読まずにこれだけ読んでも意味がわからないと思う。否、前作を読んでも本書の意味はわからないかもしれない。今秋に最終作が発表されるとのことで、巻末に最終話の最初の数ページがサービスで紹介されていたりもする。今の心境。このまま最終作を読むまで、本書で新たなに開示された謎を解くことができないことが辛い、の一言。
本作では、第一作『悪の猿』に続く少女連続誘拐監禁事件を違うバージョンで見させられているイメージである。しかしどうも本作では、一作目の事件から四か月後、前作とは異なる種類の人間による内容の異なる連続誘拐監禁事件が発生し、異常性は前作よりも増している。前作では知的で整理された天才犯罪者4MK(四猿)の存在がクローズアップされたものだが、本書では自分をコントロールできない身も心も魁偉な異常者による荒っぽい犯罪が注目される。怖さはそのアンコントロール感により、むしろ倍増すると言ってよい。
そして捜査側も分断してゆくように見える。前回の主役サム・ポーターは無論主役を引き継ぐのだが、どうもポーターが前妻ヘザーを失った過去による傷だけでは事は収まらぬようである。語られない深淵がまだまだ三作目に用意されていることを暗示しつつ、サブ・ヒーローとも言うべきFBIのプールが並行した捜査を展開する。前作の捜査チームだけでは足りないのだ。
しかもニューオーリンズやサウスカロライナ州にまで謎の行方は過去を通して繋がってゆく。スケール感が大きくなり、前作で解けたように見えていた謎はさらなる謎につながる呼び水のような構造となる。新たな展開により倍増する犠牲者たちと、その関係性に対する謎。そんんなすべてに解決をつけないまま、物語は最終作に語り継がれようとしている。
解決したかに見えた捜査チームの成果が次の作品でどんな逆転劇を見せてゆくか、緊張は全く緩まないまま、疾走感はブレーキを壊したまま、スピード感、恐怖、展開の大胆さに対する期待、そして何よりも知りたい真実へのはるけき距離を思いつつ巻を閉じる第二作。
今秋までこの展開を覚えておかねば。片付かぬ宿題をそのまま背負わされたような重圧と期待感を表裏一体にして、700頁越えの本書の厚みと深みとが、ぼくの時間を侵食してくる。ううむ。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ第二弾。前作の強い印象そのままに今作もぐいぐいと引っ張られていく。四猿殺人鬼のビショップを追うポーター。不気味さがずっとあって恐怖が緩むことなく展開されていく。今作はビショップの過去と現在の両方が見えてきて、でもまだまだ見えない怖さがある。次作で完結ということで楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
罪な本、、。700ページもあるのに、止まらず2日で読むことに、、。たった4日の出来事、視点が変わるたびに目まぐるしい展開となり、お話を追わずにいられなくなります。最後の方は驚きの展開で、もう誰が誰やら、、。彼の日記で明かされる驚きの事実、登場人物がここに集結し、これから何が起きるのか否応なく期待が高まるのにここで終了。続編は秋!覚えていられるか不安ですが、覚えていなくては。いやはや、全く壮大な事件となりました。彼の生い立ちにとんでもない事実がありそう、そしてビショップとポーターには繋がりがあるんでしょうね。あと半年ほど先、日常の好転とともに終章を読める日を心待ちにします。しかし、完結編の一部をラストに出してくるとは、まるで映画の前後編における予告編のよう。こんなの初めてです。攻めてくるなあ。
投稿元:
レビューを見る
ひどーい!この終わり方ってあり?上下巻ならともかく、この続きを11月まで待つの?そう言う意味でもびっくりな終わり方。内容はリンカーンライムシリーズを彷彿とさせる。何せ犯人が強くて賢い。今回は犯人の幼少時代にも言及。次作が楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
「悪の猿」に続く3部作の2作目。やっと読めた。
真冬のシカゴは寒いんですねぇ。
前作の評価がとても難しく、面白いけどグロすぎるし、読むのが結構辛いところがあり、なかなか自信を持ってオススメできなかったのですが、
今回は何故かとても読みやすく、あれよあれよと言っているうちに700ページ一気読みしてしまいました。(監禁慣れしたのかも)
もっと話題になってよいのでは?
しかもここで終わってしまうとは!
秋の完結編が待ち遠しい。
1作目必読。
投稿元:
レビューを見る
「悪の猿」の続編。凍った池で殺された少女が発見され、また別の少女が行方不明になる。読者はある男が彼女を監禁しているのは分かるがそれが誰だかは分からない。逃亡中のビショップの仕業なのか。事件を外されたポーター刑事、シカゴ市警、FBIが別々に捜査を進めていくと分かる意外すぎる真実・・・
うおー!ラストでポルシェのように急加速してゆく。スゴイスピード感、そしてまさかあの人が!意外性を煮詰めて煮詰めて凝縮した意外性。素晴らしい。
三部作の二作目だそう。秋に出る三作目が出たとき忘れないように特にラスト近辺を盛大にネタバレ。
※以下ネタバレ
パーカーはビショップからニューオーリンズの刑務所の写真を受け取った。ビショップの母親が収監されているらしい。容疑者は警察にサラ・ワーナーという弁護士を呼べと言った以外何も語らない。パーカーはサラと彼女に会い、ビショップの日記を読ませると、彼女は嘘ばかりだと言い、サウスキャロライナの住所を示した。サラとそこに行ってみると、家が燃えた跡があり、ビショップの日記にあった生家がここだった。後で調べると何体もの遺体が発見された。ビショップは母親を刑務所から出すべく書類を偽造し、パーカーとワーナーと母親はシカゴまでビショップに会いに帰って来る。するとビショップは母親を銃で撃った。実はこの女は母親ではなく、ローズ・フィニッキー、母親はサラの方だった。本当の弁護士は殺されていた。そして若き日のパーカーがビショップと一緒に映る写真があった。子供のころ精神病院から出されたビショップは施設に連れて来られたのだが、そこにはフィニッキー、アップチャーチ、後に殺されるリビーがそこにいた。そして現在、アップチャーチはステージ4の脳腫瘍、ジョン・ホプキンズ病院で開発された治療法に効果があるそうだが、治験段階で保険会社は費用をカバーしようとしない。彼の治療に関わった医者、保険会社、製薬会社の者たちへの復讐をビショップが手伝ったのだ=今回の事件。そしてビショップの要求はアップチャーチにその治療を受けさせること。致死性の高いウィルスを、一旦監禁されたが解放された少女二人に注射した(どおりで簡単に発見されたんだ)、もしアップチャーチが死んだらシカゴの市民たちに無作為で注射するぞというもの。というスゴイ終わり方だった。
投稿元:
レビューを見る
ミステリー
シリーズ2作目。
このシリーズは3冊で完結するとのこと。
1作目を読んで無くては2作目の内容のほとんどが分からないので、1作目は必読。
連続殺人犯の「四猿」が姿を消してから4ヶ月。
ポーター刑事が独自で捜査を進めるなか、公園の池で凍った少女の死体が発見される。死体には少女のものとは違う別の行方不明の少女の服が着せられ、連続殺人の様相が。
果たしてこれは新たな「四猿」の犯行なのか?
前作のポーター刑事とお馴染みの同僚の刑事も出てきて活躍するので、前作を読んでいる身としては嬉しくなる。
(但し皆が終始疲れ気味)
また刑事達犯人を追う側だけで無く、犯人の幼少の視点や被害者の視点と複数視点で物語が進むのも前作と同様。
最後の終わり方は唐突に終わる。
作品中の登場人物の過去に何があったのか?
どう繋がっていくのかが楽しみ。
2作目は3作目へ続くので、3作目を買って置くことをお勧めします。
投稿元:
レビューを見る
マージーかー。これは意表を突かれた。そして、このままシリーズ第3弾にして完結作につながるので、発売時に読んだ方にはさぞストレスだったことでしょうw
大ボリュームだし、同時進行のエピソードが多いので混乱しそうになるけど、すごい牽引力に引っ張られる。
この前の3冊目にいくぞー
投稿元:
レビューを見る
#嗤う猿
#JDバーカー
#富永和子
前作『悪の猿』でもそうだったけど、速攻で物語に入り込む。
今回は700ページのボリューム。
『厚いな…』と思ったけど、
5ページで入り込み、50ぺージには引き返せないところまでのめり込む。
あとはラストまで一気。
前作同様、捜査のシーンと被害者のシーンを交互に繰り返すスタイルで、テンポよく読み進められる。
魅力的な登場人物たちも映画を見ている様に心地いい。(この捜査チームは最高だ‼︎)
中盤を過ぎるとノンストップ。
そして、最終盤は…。
衝撃の展開。
これ以上はネタバレになるので。。。
続編の『猿の罰』。
読みたい本が溜まってたので、間に何冊か挟もうと思ってたのに…。
プラン狂いまくり。
すぐに読みます。
このシリーズ、ホントにオススメです。
ちなみに、話が続いてるので、この本から読み始めても、話がわかりません。
先に『悪の猿』を読むことを忘れずに
投稿元:
レビューを見る
「四悪猿(4MK)」三部作の2番目。1作目のスピード感と展開と比べると全体的にやや停滞気味。あえてスピード落として謎を複雑にし猟奇的側面を強めると共にポーター刑事のイカレっぷりを描きたかったのかな。3.2
投稿元:
レビューを見る
毎章いいところで、次の場面へ。続きが気になり、最後にまたドンデン返し。場面の詳細も入り込みやすく、登場人物たちの軽いジョークもスパイスになっていて、とても面白かった。さあ、最終巻へ!3.6
投稿元:
レビューを見る
予想を超えた展開にえ?え?と翻弄されているうちに終わってしまった。なんてことでしょうか。どうなってるの?どうなるの?早く続きを読みたいです。
投稿元:
レビューを見る
購入済み
2022.03.28.読了
メチャメチャおもしろい。
700ページを超える大作だが全く飽きない。中だるみもない。不要なセックスシーンもない。
このまま、猿の罰へ