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ある国民的画家の虚飾で彩られた数奇な人生が、章ごとに視点を変えつつ描かれる。
突拍子のなさやグロテスクさが入り混じることで、独特の空気が醸成されていて夢中で読めた。
なんとも奇妙な読後感。
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帯に惹かれて購入!
奇妙な構成
戸惑いを覚えるストーリー
不安を感じながらも
読む事を止められない
正に帯に書いてるとおりの一気読み!
何が正しくて何が嘘なのか?
読み手は次々に裏切られる事必至!
国民的画家、遅れてきた鬼才!?
丹生雄武郎が亡くなった97歳!
彼は画家でありながら寂れた民宿【雪国】の主人!?
その生涯は謎に包まれている・・・
本書はその彼の過去を探っていく物語。
懐かしき昭和の出来事と時代を思い出させてくれます!
もう少し長くても良かったかなぁと思います。
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スルスルと読めてしまった。読みやすい文体。この先どうなっていくのかという怖いもの見たさのような感覚。
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ダークヒーローな物語。奇抜な構成で語られる国民的画家、丹生の物語。その心中に迫る架空のドキュメントは、あえて分かりやすく例えれば、小説版「殺人狂時代」とでも言うべきもの。冒頭の一話を読むだけでも、この小説がただ者ではないことが予感されたが、はたして、次第に厚みを増すその仕掛けに引き込まれずにはいられなかった。
傑作という称号よりは、奇書という呼び名のほうがふさわしく思える。率直に言って、実に面白かった。
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国民的画家について書かれた物語
帯の言葉に期待していましたが
そういう時って大抵・・・
でもおもしろかったです
画家は民宿を営んでいるが謎に包まれた人で
どんな人なのかそれが明らかになるわけだけど
まぁなんか想像を超えていた感はあるんですが
帯の言葉が激しすぎたせいか期待以上ではなかったです
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文庫帯の「名作掘り起こし小説」のキャッチフレーズ、また表題や表紙絵の雰囲気から、叙情的な物語を予想しましたが、驚きと困惑の小説でした。
巻末の対談で、(2010年刊行ですが)3社に出版を断られていたとのこと‥。なぜ?
読了してその理由を感じました。本作には、母性への傾倒、人種差別と性奴隷、LGBT、理不尽な運命に対する絶望感など、多くのテーマ・議論対象を含んでいる気がしたからです。
本書は、丹生雄武郎という画家の人生の謎を追っていく内容です。世に認められた巨匠にもかかわらず、97歳の生涯を閉じるまで、新潟の寂れた港町の民宿主として過ごしていました。
ミステリーかホラーかと不安になったり、どう見ても"あの"悪名高い有名人が多く登場したりする驚きと、先が読めない展開に戸惑いも覚えました。
そして第4章から、画家・丹生の人生の「虚」が暴かれていきます。その「虚」があまりにも大きいためか、架空人物ではなくリアリティーを生んで、逆に存在感が増しているようです。
自分の物差しや固定観念での解釈が難しい内容で、正論で片付けられない内容に思えました。
抱え込むテーマが大きくかつ深く、その刺激的な内容に、読了後空恐ろしくなる衝撃作でした。
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樋口氏の作品を読むのはこれで二作目。
前に読んだ『日本のセックス』はエログロ全開系作品でした。今回もエログロは踏襲しつつ、ややサスペンス味と歴史のエッセンスを加えた作品だと思います。
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新潟の雪深いボロ民宿、その名も雪国。
ここへ足を踏み入れる吉良という青年の視点から物語は始まります(第一章『吉良が来た後』)。
個人的印象としてはこの章が一番ひっくり返りました。展開に驚いた。吉良という青年が何者か、宿屋のオヤジが何者か、そこで起こったことは何か。オヤジの裏の顔とのギャップがやばい。
冒頭ということもありますが、「静」から「動」への転変が実に劇的であり、ツイストが効いていたと思います。
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次章『ハート・オブ・ダークネス』では、世に疲れたとある記者が、敢えて人里離れたこの民宿に泊まるという話。彼自身のエログロ系色恋や生い立ちにあわせて、この民宿での出来事などが綴られます。ここでは民宿のオヤジは一種善人として扱われ、むしろこの記者の方がおのれの悪辣さを吐露している印象。こちらも章末にツイストあり。
次の章以降も引き続き、第三者がこの民宿のオヤジを語り、徐々にこのオヤジが何者でどういう人間であるか、何をしてきたのかが明らかになるという仕組みであります。最後にオヤジの問わず語り的自己紹介・振り返りがあり、読者も全体的な理解が得られることになります。
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この作品は、当然のことですが、フィクションです。
まあ、読んでいて突飛な殺人事件が連発するので分かりますが。でも、その一方でバブル前後の80年代90年代の描写が生々しく(丹生雄武郎の絵画がポパイやホットドックプレスという雑誌で特集されるというくだり)、私は思わずググって確認してしまいました。
はい、フィクションです。良かった。
真実の混じった嘘が一番分かりづらいなどと言います。本作は虚構を核として、その周りを詳細で雑多かつ網羅的な事実で装飾することで、あたかもストーリー全体を真実と思わせる部分がありました。
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そのほか、樋口氏と映画評論家の町山氏との対談、樋口氏と梁石日氏との対談等が巻末にありました。
後者の梁氏との対談で、作家は少し遅咲きの方が良い、というのも経験をストックしてないと書くことが無くなる、という旨の話がありました。私は個人的にはそうかな?と思いました。
経験があれば確かに書くネタはあるでしょう。でもストックしている経験がない人でも経験を得る過程はネタになるのでは、と感じました。むしろ、お作法やテクニック等の方が習熟するのに時間がかかるのでは、と感じました。
まあ、読者としては早咲きでも遅咲きでも、素晴らしいものであれば後は良いのですがね笑
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ということで、樋口氏の作品を読了しました。
相変わらずのエログロ・ノワール系作品ですが、嫌いでないです。ただ、周囲には『こんなの読んでいます』とはちょっと言いづらいですね笑 伝えるような友人も居ませんが。
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町山智浩氏との対談は、「さらば雑司ヶ谷」のあとがきからも不思議はなかったが、梁石日氏との対談は予想外。
そういう読み方もできたのかと作品の深さを感じる。
他のエンタメに繋がる好奇心が湧き立てられる。
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B級三文エログロサブカル小説。
この枠組みを使って、どさくさに紛れ何かを語ろうとした、みたいな。
この作者の別の作品での小沢健二論みたいな、どさくさに紛れた批評は結構好きだけど、今回のどさくさはイマイチ。