紙の本
虚構と現実入り乱れて
2017/04/24 04:36
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドキュメンタリー風に物語が進むところが面白かった。実在の人物が架空のキャラクターと絡み合うところも良かった。
紙の本
奇妙な作品
2018/05/02 14:14
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
さて本書ですが、1部2部まで読んだところではサスペンスかなと思ったのですが、
物語というかページが進むごとに全然違った角度からのものに変転していきます。
最後まで読むと全体を通しての一貫したストーリーのようなものもあるのですが、読み手は振り回されるというか、弄ばれているというか奇妙な作品でした。
でも、最後まで読ませる何かがある作品でした。
紙の本
少し風変わりな作品ですが、その中身は深い!
2016/02/23 09:02
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、『さらば雑司ヶ谷』で有名な樋口氏によって書かれた小説です。ページを開くとすぐにわかるのですが、普通の小説とは少し違うことがわかります。最初、少し奇異に感じられるかもしれませんが、読み進めていくうちに、知らず知らず、ストーリーに引き込まれていく自分自身を発見します。内容は、国民的画家である丹生雄武郎が大勢の方々に惜しまれながら享年97歳で生涯を閉じました。しかし、彼は画家である一方、寂れた民宿も経営していた。彼の人生はまだはっきりしていないということですが、この小説は、彼の一生を追っていきます。
紙の本
微妙な作品
2022/01/17 11:01
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
画家として有名な丹生総武郎の一生を遡る。実は丹生は画家だけでなく雪国という民宿を営んでいた。その民宿雪国では想像を絶する事件が起きていた・・・・・。
乗っ取り王の横井英樹、オウム真理教の麻原彰晃、そして画家の山下清と思われる人物の登場には驚きです。どこまでが事実でどこまでが架空の話か分からないので評価し辛いが、第1章、2章は普通に読めました。しかし、最後の方は生い立ち、虐待、嘘、人種差別等が入り乱れた感じで主眼がぼやけたような感じがします。
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何が本当で何が嘘なのかわからなくなる、虚実入り混じったストーリーがテンポよく展開されて最後まで飽きさせない。日本現代史に登場する有名人たちが、民宿雪国を訪れては自身の身の上を語っていく手法は山田風太郎っぽいなと思った。著者はオマージュマニアを公言しており、作中にはその手のパスティーシュが多数ちりばめられている。そういう意味での謎解きも楽しめるエンタメ作品。
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第一部を読み終えた時点では、「いいねいいね、もっと足元すくってくれよ」と思っていただけに第二部では「はぁ?」となって、第三部では元ネタがわからず、これは喜劇なのかなぁ? と思いながらあれよあれよという間に最終部。そしたらまた「??」となって、いやこれは作者は大真面目なのかもしれんぞと思いつつ腑に落ちず、巻末の対談にてやっと安心。本を閉じてからは、なぜかニヤニヤ。さっぱりわかりませんね(笑)。
正直、読んでいる時点ですでに、どう感想を書けばいいのだろう、と思っていた。ギャグなのかシリアスなのか、B級なのか社会派(?)なのか。判断に困ったのである。
おそらく、巻末の対談がなければ「??」のまま終わっていたことだろうと思う(頭が固いもので……)。
はっきり言って、物語自体はそんなに面白いと思わなかった。しかし、なんか好きだな、と思った。全力投球の格好良さとカッコ悪さとでも言えばいいだろうか。その気概というか、書きたいこと書く勇気に惚れたというか、著者のある意味まっすぐすぎる真面目さを応援したくなった、というのが一番近いかもしれない。
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嘘と真実が入り混じり読み解いていくのが大変だったが、諦めの早いわたしが一瞬たりとも読み進めることを悩まなかった不思議な一冊。どちらかと言えば本を手に取ってページを開くまでが一番の難関だった。
内容はすごく面白いかと言えば答えはNO。でも筆者を小一時間問い詰めたい気持ちになった、あなたは一体どこまで本気なんですかと。それほど真剣に読んでおいて損はないと思う。
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「さらば雑司ヶ谷」ではがっかりしけれども、本作は読んで驚いた。同じ作者が書いたものとは思えなかった。構成だけでも驚きだけれども、詐欺の本質を描きつくしたかのような内容は秀逸だと思う。かなりこの人引出が広そうなので、多ジャンル作家になりそうに思う。それにしても、さらば雑司ヶ谷はいったいなんなのだ、と云いたい。
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これはあの話のこと?と何度も戻って確認した。こんなこと書いて大丈夫なのかな。真実と嘘。嘘が人に力を与えていく。
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『いつだって流れる血は美しい。それが悪人のものなら、尚更のことだ。』
「車椅子だからといって足が不自由だとは限らない。車椅子を見て人々は思う。『お気の毒に…』。しかし本当にお気の毒なのは、見たものをそのまま信じ込む、頭の悪い奴のほうだ」
『思春期の女の子はこの世で最悪の生き物です。グループ内では常に嫉妬と競争が渦巻いていて、それを作り笑いで装っています。』
「私は生きることが尊いとは思わない。人命は地球より重いと、胸を張る人たちにはわからないだろう。血で血を洗う戦争を経験した私にはそんなお題目など、現代という束の間の平和でしか通用しないことを知っている。」
「よく死ぬとはよく生きることであり、生きるとは何かと問われたら、死ぬことを考えることなのだと。」
「真剣に生きているあなただから言おう。真剣に生きなさい、これからも」
「お戻りなさい、東京に。もう一度、闘いなさい、自分の運命と」
『では、丹生先生の絵から生きる勇気をもらっている人たちに向けてメッセージで終わりましょう。
「別にありません」
ー (笑い)。きょうは本当にありがとうございました。』
「ヒトラーも言うとるやないか。小さなウソをつくからバレるんや。大きなウソなら大衆は喜んで騙されたがる」
「私にもこれから先、ただ一度だけ幸福な日が来ます。それは、寝て、再び覚めぬ日です」
『人生は素晴らしい。それは闘った者だけが口にする資格がある。
海辺にはパトカーが待機して、いくつものサイレンが木霊していた。それが私にはファンファーレに聞こえた。これからは、本当に生きよう。そう思った。』
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本の帯の最高傑作、とか小説界を震撼させた大問題作、というフレーズに惹かれて購入。短編小説なのかと思いきや、いろいろ繋がっていて伏線などがいろいろあったりもしたのですが、正直、後味の悪さだけが残って、内容的にもなんだかよく分からないまま終わってしまった感が強い。言いたいこと自体は大きな問題提起をはらんでいるのだが、やはり読みにくさ、わかりにくさ、後味の悪さから、個人的には面白く読めた作品ではなかった。
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この人の小説は好き。小説という既成概念をぶち怖そうとする姿勢が手に取るように見える。賛否両論はそのせい。そういう姿勢を持つというメンタリティーはリスペクトされるべき。
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久々に書店のPOPに惹かれて文庫を購入。
この作家、もちろん初。
日本画壇の大家にして北陸の鄙びた民宿の主人だった男。
生涯表舞台に現れず、謎に包まれた数奇な人生を送る画家の実像を、
あるジャーナリストが追う。高名な画家に隠された秘密とは・・・。
・・・という要約内容で果たして正解なのかどうかも解らない。
最初の章を読んでいる時からなんとなく感じる違和感が、ラストで
より大きなものになる。そして、読中いたるところでこう思う。
「なんじゃこりゃ?本当に小説か?」と。
あからさまに実在する(ないしは、した)人物や団体、メディア等
が多々登場してくる。それも一部は意味深なイニシャルで。文体も
地味な私小説風かと思えばとんでもなく突飛。細やかで美しい言葉
で描写されるのは、徹底した差別と猟奇。読んでいてアタマがクラッ
とする作品は、本当に久々に読んだ気がする。
コレ、ちょっと言葉で説明しきれないかも。
しかし間違い無く映像化出来ない世界だし、万人受けする作品でも
無い。読んでもらうしか方法が・・・。
思わず絶句してしまう程の問題作。コレを読んだ日の夢は、相当な
悪夢だった。覚悟の上、ぜひ!
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2014.01.13 読了
ヴィレバンでの出会い。
正月に島根、鳥取という日本海側に行くこともあって手に取った。タイトルから。
非常におもしろかった。
もう一度読み返してみようと思っている。自分の基準として、そう思わされる作品はそう多くない。
ボーナストラック扱いの梁石日との対談。この方の作品も必ず読もうと思った。
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第一章の、あっと驚く殺戮シーン。
樋口作品の、ベスト場面です!
丹生雄武郎の、虚実についての展開は
よかった。雑司ヶ谷シリーズより、こっちのほうがよいでしょう。