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引用メモ
私たちは1度しか生まれない。前の生活から得た経験を携えてもう一つの生活を始める事は決してできないだろう。私たちは若さの何たるかを知ることもなく少年時代を去り、結婚の意味を知らずに結婚し、老境に入る時ですら、自分が何に向かって歩んでいるのかを知らない。
ミラン・クンデラ「小説の精神」より
ライフアフターライフは、そうした人間の未熟を踏まえつつ、今生きている人生をいかに実りあるものにできるか、その可能性と限界に超絶技巧で挑んだ転生の物語と言うことができるだろう。
訳者あとがきより
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本文2段組・550ページに及ぶ大作。購入後すぐに読み始めたのだが、まとまった時間を取れないと訳がわからなくなりそうで一旦放置し、年末休みを利用して読了した。これは1910年2月21日に生まれたアーシュラ・トッドの人生の記録である。いわゆる“ループもの”で、彼女は死ぬたびに同じ人生を生き直す。他の類似作と異なるのは彼女にその自覚がないこと。そのため過去に経験済みの事態でもうまく対処できない。まあそこは多少の逃げ道(既視感とか第六感)も用意されてはいるのだが……。繰り返される生はなんのためなのか。言及はないが「これかな?」と見当はつく。成就したら人生は全うできるのか? わからない。不確かな時代を生きるぼくも、もう一度人生の意味を考えたい。
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面白い
重量級のボリュームなので一気に読みきるのはなかなかしんどいが中盤以降特に引き込まれた。
何回も人生を繰り返してもおそらく正解は無い。
どの分岐を選んでも全ての人が幸せ自分も幸福な事はなかった。
歴史的事実を背景にしているので知っていれば面白い。スペイン風だったりロンドン大空襲だったりヒトラーの愛人がエヴァだったり。
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命は儚い。
生と死を分ける分岐点。それは、事故や病気かもしれないし、結婚や戦争かもしれない。
「人生とはいまこの瞬間の経験を生きることなのだ。」
読み終わっても、パリンプセストのような主人公アーシュラの人生が、まだまだループして終わらない気がする。
とても面白かった。
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一人の人間(1910年生まれ女)が何度も死んで何度も生き返って人生をやり直すパターンの連続。よくあるドラマとかの展開では「前回までの失敗した記憶はそのままに時間だけリセット」という、いわゆるゲームのリセットボタン形式ではなく、ただただ淡々と産まれ、いろんな理由で死んで、また初めから生まれて生きるというパラレルワールド形式でした。これを他の作家がやったら、とんでもなく緞帳に退屈で脳味噌沸騰しそうだが、この作家の場合、独特に洗練されていて、全然イライラしなかった。
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第六感は前世で体験したことという解釈が面白い。
輪廻転生。
生まれて来た目的、今、生きている意味、成し遂げるべきものの為に、人生でいろんなことを体験している。
点が線になる。
虫の知らせは無視しない。
今、生きてるっていうことが、奇跡に近い。
精神科医も輪廻転生していた。という事は、全ての人が輪廻転生しているのか?
見事な作品だと思う。
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主人公は物語の初段で二度死亡する。
以降.夫からのDV他の理由により何回も亡くなってしまう。過去の微かな記憶を持ちながら死んでしまう。面白い物語ではないが感動はある。
もう一度読み返したいかと言われたら拒否するが駄作でないことは間違いない。