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作者が、自分の名前と同じ登場人物をストーリーの中に出してくるのは何故?
ミステリーで、時々見かけるけれど、この本では、どんな意図があるのかと、最初不思議だった。
最後で明るみになるが、私はすっかりしっかり騙された!
全くの虚構の作者名なら、読者は、最後までアナグラムと気付かないけれど、作者名だと、あれ?って違和感で気付く人がいるかもな〜っていう、作者の遊び心なのかな?
内容は同級生五人各々の過酷な人生が描かれているが、どこか救いがある話っていうか、読んでいて私自身が癒されていく感じがあった。それは、誰かのせいだとか誰かを恨むとかがなくて、不幸な出来事にあいながらも何とか必死でもがいている様子が描かれていて、常に希望が感じられた。
本当に宇佐美まことの本は味わい深い!
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人それぞれに秘密があって、罪があって
そんなことを改めて思い知ることができた小説だった。
物語の根幹の謎や各章での出来事は、なかなか重い内容なのに、ラストの展開で清々しい気持ちにさせてくれた
やっぱり豊のお父さんが京香の離婚に一役買ったところはスカッとした
それまで作中で豊からみたら腫れ物的な扱いで、読者的にも今後の物語に関わってくることもないんだろうなと思ってたら、ちゃんと活躍の場があって、豊の物語の一つの終着になった所がよかった。
ラストの展開はリアルさはないけど、「奇跡って時々起こるよな」というセリフがそのままラストになったなといった感じで綺麗な終わり方だった
人生の悲惨さと人の醜さを読みながらずっと感じていたのに、読了後のこの清々しさは、このラストのおかげだと思う。
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増水で土が抉られた堤防の土中から、謎の骨格標本が発見されたというニュースを見た豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。だが、それは記事の発掘場所とは異なっていた。
あれは本当に骨格標本だったのか。そんな思いを抱いた豊は、今は都内で勤務する哲平に会いに行くことに。
あの日、俺たちは本当は何を埋めたんだろう。
横暴な教師へのいたずらのため、骨格標本を隠して埋めた小学生時代の思い出。それから数十年後、目にしたニュースをきっかけにその日の真実を明かそうとするミステリー小説です。
小学生って、大人からみると本当に子どもに見えるけど、時々大人もハッとするようなことを理解していたりしますよね。
ミステリーとしての大まかな展開だけを考えると、結末は予想できなくもないのですが、ヒューマンドラマ的な側面が非常に強く、それぞれ夫婦関係、親子関係の悩みや東日本大震災での被災など、停滞し、囚われている不幸で不自由な現実から、事件の調査をきっかけに途絶えていた縁が復活し、苦難を克服して少しずつ前向きに歩きだしていく。事件の根幹や事情は重く、ですがそんな暗い中にも、読後感悪すぎず明るい希望が見えるようなお話でした。
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そんなにページ数が無かったからサクサク読めるかなーと軽い気持ちで読み始めたら内容がどれもこれも重くてなかなか進まない…。途中で何度か諦めようかなと思ったが頑張って読み終えた。
うーん…。コナンくんみたいな小学生だったのかな?あんまり小学生が得た知識であれこれ大人に死体処理させてる絵が浮かばない。
結末は残りのページ数を考えると何かどんでん返し的なのがあるんだろうなと思ったけどここになるのか!っと素直に驚いた。だから最初から宇佐美まことってしつこいくらい出てきてたのね。これ架空の小説家さんの方がわたし的にはよかったな…。
宇佐美さんを褒めてる部分とか自分でこれ書いてるんだよね…?ってなり素直に話に入っていけなかった。
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堤防の土から人骨がみつかり、事件か?となって調査したところ、それは骨格標本だった。なんだろうねぇという新聞記事が掲載されたんだけど、それをみて子どもの頃の記憶がよみがえってきたとある男性、豊。豊は小学生の頃、友だちと連れ立って学校の骨格標本を埋めに行った。その骨格標本が?いや、でも埋めたのはちがう場所だったはず・・・そこから、自分たちが埋めたのは、実は本物の人骨だったのではないか、と疑い始める。すでに40となり、ばらばらになった幼馴染をたずね、豊は真相を探すとともに、自分の人生とふりかえる・・・という話なんだろうなぁ。
面白かったと思う。
豊が訪ねた友人たちのその後が、なかなか濃ゆくて、最初の哲平はまだしも、京香、正一、琴美と、それぞれがひとつのドラマを構成するほどに、こってりと描かれている。丁寧に書きすぎじゃないか、というくらいの印象はあったけど、物語が進むにつれて、ひきこまれたね。
因縁のつながり方が、なんというか昔読んだ、沼田まほかるの作品に雰囲気が近い気がした。読み終えてから、著者が俺よりも上の世代の女性とわかり、だからなのかな、と感じたのは偏見か。沼田まほかる氏は、宇佐美氏より10歳上だったけど。
最後の、真実子の章は、ちょっと盛り込みすぎな気はしたけど、たぶん著者自身、楽しんで書いたんだろうね。
実際、最初の章で宇佐美氏自身が作家として名前が出ているわけだから、伏線ではあったのだろう。
細かく張り巡らされた伏線が、これでもかとばかりに、丁寧に回収されていく。回収されすぎじゃないか、とかそれってこういうことだったんだよ、とやや因縁を結び付けすぎな気もしないじゃなかったけど、そのこってり感も含めて、エンターテイメントとして堪能させてくれたんじゃないかな。
最近、エンタメ系ミステリはあまり読んでなかったんだけど、たまには、こういう味わいもいいね。