紙の本
謎解きが魅力の数学ミステリー。
2020/06/29 23:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学者の祖父から届いた遺書には、秘密の方程式をとある人物に渡してほしいと書かれていた。
本作は、その方程式に秘められた謎や祖父の死の真相、等々複数の謎を解明していく数学ミステリーである。
数学ミステリーと言っても、数学に馴染み深くない方でも十分に楽しめるのが本作の魅力の一つであろう。
主人公のヘイゼルは理系学者一族に属するも、数学が苦手な人物である。
つまりヘイゼルは読者と並走する形で謎を追うことになるのだ。
また、謎が新た謎を呼ぶ展開や、謎解きゲームに近い要素を多分に含んでいるのでテンポがとても良かった。
そして本作の巧みな点は物語が三人の人物(ヘイゼルとヘイゼルの兄であるグレゴリー、ヘイゼル達の叔父であるフィリップ)の視点によって進むことである。
各々の葛藤や秘めた思いが徐々に明かされていき、意外な形でそれぞれが繋がっていく構成も見事だった。
数学を背景にしたことや話の展開及び構成が好みだったがゆえに、ラストの展開が個人的には微妙だった。
事態が収束へと向かっていくのがやや性急に感じられたのと、話の締めくくりに既視感が拭えずもう少し独創性が欲しかった。
とはいえ、本作がデビュー作でありながらもエドガー賞の最優秀新人賞にノミネートされたのは納得できるクオリティであった。
本著者の次回作も楽しみだ。
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ある著名な数学者が自殺した。
一族は互いに秘密を持ちながら、それぞれの数式に焦がれる。
数学より人の愛憎劇に振り回された。
物語の終わりまで博士の懊悩に気付かなかった。
冒頭の暗殺者を待っていた場面が別のものになった。
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偉大な数学者アイザックが亡くなった。里子の孫であるヘイゼルのもとにアイザックからの手紙が届く。彼のパソコンに保存された彼の方程式を消去する事、誰にもそのことを話してはならない、という遺言であった。数学や物理学が専門の他の親族ではなく、なぜ数学が苦手なヘイゼルなのか。パソコンのパスワードは何なのか。
さまざまな数式や方程式が出てくるが、数学が苦手でもまったく問題ない。登場人物が多くて、名前と親戚関係を覚えるのにちょっと苦労する。ヘイゼル目線と、ヘイゼルの兄グレゴリーの章、アイザックの息子フィリップの章が交互に続くなど、慣れるのにこれもちょっと苦労する。でも後半は、どういうことになるのか、どんどん読んでしまう。
こんな数学あるか!と思いつつも、面白いトリックだった。
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タイトルのつけ方がうまい。
数学が全く苦手な人でも問題なしだが、知識のある人ならさらに楽しめるんだろうなぁ。
暗号謎解きミステリというよりは、数学の天才一家に生まれることの苦悩などが読み応えがあり、家族小説として楽しめた。
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タイトルの妙ともいえる小説ですが、海外小説にありがちな、現地の言い回しの直訳なので読みにくくて時間がかかってしまった。
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登場人物が多く、それぞれにエピソードがあるのだが…どれもありがちで浅い印象。
そして最後まで読んでも色々な疑問が残ってしまい、スッキリしない。謎解き暗号ミステリというよりは、学者一族の悲しい物語だと思う。
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登場人物が多く一見複雑でしたが、全てがある方程式を探すことにつながっていて、面白かったです。
タイトルが似ていることから、『博士の愛した数式』(小川洋子)を思い出しながら読んでいると、キャラ設定や出てくる数学知識にちょっとした共通点があり、懐かしくもありました。
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アメリカの作家ノヴァ・ジェイコブスの長篇ミステリ作品『博士を殺した数式(原題:The Last Equation of Isaac Severy)』を読みました。
ピーター・スワンソンに続き、アメリカの作家の作品です。
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遺された数式から始まる、暗号謎解きミステリー
シアトルで潰れかけの書店を営むヘイゼルのもとに、養祖父のアイザック・セヴリーが自殺したとの知らせが届く。
ところがヘイゼル宛の遺書には、天才数学者であるアイザックが命を狙われていて、極秘の“方程式"をある人物に届けてほしいとの依頼が。
理系が苦手なヘイゼルに、なぜ遺書は託されたのか。
数学の世界に放り込まれた素人探偵が方程式をめぐる殺人事件に翻弄されつつ、祖父の死の真相に迫る暗号謎解きミステリ。
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2018年(平成30年)に刊行されたノヴァ・ジェイコブスのデビュー作……ウォールストリート・ジャーナルで2018年度のベスト・ミステリーズに選出、2019年度のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞にもノミネートされた作品です。
世界的に著名な数学者であった養祖父アイザック・セヴリーの突然の死……ヘイゼル・セヴリーはアイザックが亡くなる直前に彼女に書いた手紙を受けとり、その内容に驚愕する、、、
その手紙には「ほかの人間に見つかる前に」自分の研究を廃棄し、方程式をある人に届けてほしいという謎めいた指示が書かれていた……ヘイゼルは自分を信じてくれた養祖父の願いに応えようと、シアトルに戻るのを延ばして謎解きと宝探しに乗りだす。
「警察官には通報してはならない」とされているので、ロサンゼルス市警警察官のグレゴリーに相談することもできない……一方、アイザックの長子で素粒子物理学者のフィリップには、亡き父の最後の研究を欲しがるあやしげな組織が接触してくる、、、
アイザック・セヴリーの最後の方程式とは何なのか? いったいどこに隠されているのか? 物語は謎に牽引されて進み、ヘイゼルはアイザックが周到に準備した不思議な謎解きの冒険へ……他のセヴリー家の人々は、まるで見えざる手に導かれているかのようにそれぞれの運命へと引き寄せれていく。
主人公のヘイゼル・セヴリーが、自殺した天才数学者の養祖父アイザック・セヴリーから遺された方程式を巡る殺人事件に巻き込まれる……理系が苦手なヘイゼルは、数学の世界に放り込まれて戸惑いながらも、養祖父の死の真相を探ろうとする物語、、、
著名な数学者の突然の死……連続する不可解な殺人事件……それらの謎を解くカギは、数学者の遺したある数式に秘められていた、、、
その数式の保管を依頼された孫娘の運命は!? という序盤の展開は興味深かったのですが……その後の展開がやや期待外れで、あまり愉しめなかったですね。
数学テーマは苦手……という個人的な問題もあったと思いますが、登場人物に感情移入できず、途中からは惰性で読んだ感じで物足りなさを感じました。