紙の本
『イーブン』
2020/06/28 20:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生になって学校でうまくいかなくなり不登校になった美桜里(みおり)
パパはDVが原因で家を追い出されて離婚
でもママの人を傷つける言い方にも原因があると思っていて……
キッチンカーで働く身寄りのない少年トムに惹かれる美桜里だが、心を開ききることができない
「美桜里とおれが、まだ気持ちの上で、イーブンじゃないってこと。いろいろ話せるところまで、信用されてないのかな」
冒頭の空き巣シーンから終章まで一気にぐいぐい読ませるストーリー展開の妙
8章ラストのママのアドバイスに胸がほっこり熱くなる
《あなたの背中をちょっとだけおしてくれる物語》──帯のコピー
幼年童話からYAまで、さまざまなかたちで子どものしあわせを描く村上しいこの最新作(2020年6月刊)、悩める思春期に読んでほしい一冊
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主人公は中一の女の子。両親が離婚し、学校でもLINEのトラブルに巻き込まれ不登校になっている。初っ端から、2階の自室にいる時、1階に強盗に入られる。その犯人が誰なのか、両親との関係、学校の友達との関係、不登校になってから知り合ったキッチンカーで働く男の子との関係など盛りだくさんなのだが、少ない文字数で(改行が多く詩集か、って感じのページも多い)メリハリつけてまとめるのは上手いなと思う。
が、夫のDVで離婚したのに、妻はそんなに簡単に許せるのかと思うし、中一の女の子が父親とお揃いのTシャツを着て歩くかな、とか、疑問は残る。作者はフェミニストで活動家(という設定にわざわざした理由は?)のこの母親をどう思っているのか。応援してるようでもあり、馬鹿にしてるようでもある。
子ども向けだから上手くまとめ過ぎた感じがどうしてもしてしまう。
男の子の家庭は、主人公以上に複雑だが、その割にはいい子過ぎるし、主人公のLINEトラブルのきっかけを作った友達との関係もこれでいいのか?と思う。
すらすら読めて、そこそこ面白く、悪くはないのだけど、なんだか合わないパズルを無理やり合わせて収めたみたいな印象。
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いじめ、DV、離婚、虐待、とにかくいろんなことを背負ってる登場人物ばかり。
美桜里の両親の心すれ違い描写は自分の家族にもあることで、どうやったら夫婦が上手く暮らしていけるのか考えさせられる。スカッとさわやかな話ではない。でも、救いのない話しではないから、読後感は悪くなかった。
色んな社会的問題を心を同調させながら知るために、小学生のうちに何冊か読んでおきたい種類の本。
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パパのDVで離婚したママ。活動家で困っている女の人を助けている。堂々としてなんでも理屈でたたみかけるママと違って言いたいことが言えない美桜里は、あることから学校に行けなくなっていた。そんなとき、偶然出会ったキッチンカーのカレー屋さんに勤めるトムは、なぜか美桜里を気にかけてくれて…。人の痛みに寄り添える人たちが温かい物語。
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人と人との関係は、イーブンでありたい。
いろんなものを抱えた人がいて、どれも共感はできないけど、少しだけ分かる気がする、考えさせられるお話だった。
頭ではわかっててもどうしようもできないこととか、理想と現実のちがいとか。でもきっと人は、歩み寄ろうとするものなんだろうな。
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心がイーブンになれば対等な関係になれる。
同級生、好意を持つ相手、親‥
「明日へ命をすべり込ませる」‥心に刺さる言葉だ。
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日野美桜里(みおり)、中学1年生、両親は離婚して今は母と二人暮らし。学校では友達とのあるいさかいから不登校になっている。お母さんは、学校カウンセラーの仕事をしていて、さらに苦しんでいる女性の助けになる活動を始めたりして毎日忙しい。理屈っぽいところもあるけど、美桜里を小さな子ども扱いしない。
お父さんとは時々会って話をする。
物語冒頭から、母の留守の時に空き巣が入った。美桜里が一人でいるのは危ないという事で、学校に行かない代わりに昼間はおばあちゃん家にいく事になった。
そこで、おばあちゃんの友達の、貴夫ちゃんというおじさんと16歳の登夢(トム)という少年がやっているキッチンカーを手伝う事になった。テーブル設定、カレーの仕込み、仕事をしながら、トムは美桜里の話を聞き、相談に乗ってくれた。
トムも学校には行っていない。今はキッチンカーの仕事をしながら、高校卒業の資格を取るため勉強している。好きな事を見つけて、知りたい事ややりたい事をして、いろんな人と出会う。貴夫ちゃんからの受け売りと言いつつ美桜里にアドバイスしてくれる。イーブン、自分のことを話てから、相手の話を対等に聞くやり方で。
美桜里の両親の離婚の原因、父親のDV。それは母親の合理的で理屈っぽい物言いや忙しさからきていた。今も、美桜里と母とのギスギスした感じが、トムからのイーブンで話すというやり方を試してみて、少しづつ、母と話せるようになってきた。
そして定期的に会う父とも話をしていくうちに、母も父も、それぞれが自分のことを語ってくれるようになっていく。
中学1年生にしては、美桜里はしっかりした考えを持っているように見えて、幼い所もある。物語が進む中で、美桜里とトムだけでなく、大人達の過去が今につながっていることがわかる。
そして、主人公達が、話を聞き、自ら語り、話し合って、前に進む姿がいい。重いテーマを扱っているけど、希望が持てる物語。
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女性や子どもの権利が侵害される現実があるということを、分かりやすく伝えようとする作者の努力を感じました。児童書という制約のなか、少しテーマを詰め込みすぎかな、という印象はありますが、親子で話し合うきっかけとして良い一冊ではないかと思います。
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父親のDVが原因で離婚した母親と二人暮らしの美桜里は、中学生。友達との行き違いから不登校になっている。空き巣に入られた事から、昼間は祖母の家で過ごすことになる。そこで祖母の手作り市仲間でキッチンカーの貴夫ちゃんやトムさんと知り合い、自分の心のモヤモヤと向き合っていく。
今の時代の心の問題を、子どもの側から一方的に書くのではなく、大人の側の心の問題にも向き合って書かれていて、なかなか良かった。自身もDVにあっていたという著者ならではの作品だと思う。
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フェミニズムやDV 、不登校や上手く子どもを育てられない大人等々、今日的な問題満載と言うところ。
しかし暗い話ではなく、明日に希望が持てる展開。
イーブンと言う言葉は様々な人間関係において大切な言葉なのかも。
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子供への虐待やDV、ジェンダーの問題、不登校の問題など考えさせられる事が盛りだくさん。
日本女性の人権は、世界ランキングで、下位。この本には121位と書かれている。
男性が無意識に女性を傷つけている現状がたくさんある。
単純な言葉ほど人を傷つける。性格がブスとか。
パパのママに対する暴力の描写は本当に怖い。余裕が無い人の行動。
パパは子供の頃に親からの虐待を受けトラウマを抱えている。
自分の気持ちを言葉で表現することがとても苦手で、いつも言い返す言葉が見つからずストレスを溜め込みそれが暴言や暴力に。
怒りは困り。
今、自分はなんで困っているのだろう?と考えると不思議と気持ちが落ち着く。
誰かが怒っている時も、迷惑なヤツだと思うのではなくて、なに困ってるんだろ?手伝えることはないかな?と考えられるように変わったパパ。
トムも母親から「あんたなんかいらない」って言われた。
最後は壮絶な戦い。勇気ある行動だったと思った。
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イーブンとか、フラットとか、人と人のつながりの在り方について、現実には上手く行かないことも多いけれど、こうありたいと思えました。
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自分のやりたいことは自分で決める!
自分の気持ちを大切にしたいと思える一冊でした。
そうはいっても、自分の気持ちが迷子になったり
周りの人のことを考えたり、色々なことがあるけど自分は「どうしたい?」「何がしたい?」って
考え続けることの大切さを見失わないようにしたいです。
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不登校になった中1美桜里。取り巻く複雑な環境。さらには周りの人たちを取り巻く複雑な環境。
それぞれに抱えた過去があり、うごめく感情、どうにもできない行動言動。いろんなことが絡み合っているが、少しずつ解け始めて一歩前へ進める希望が見えて来る。多すぎず少なすぎない人物関係、物語の進みに、また村上しいこさんの話に触れたいなと思った。
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対等な関係とは?性とは、DVとは。ティーン向けにしてはなかなか難しい問題を扱っている。大人でも色々考えさせられる。ぶっちゃけ美桜里のママめんどくせーなとは思うが、パパが暴力を振っていい理由にはならない。暴力シーンもなかなか迫力があって、でもDVで逃げた女の人の2割は元のところに戻るという。人の心は一つじゃない。読んでいても複雑な感情が湧いてきてモヤモヤする。