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言葉は、力なんだなんて思うと、間違うんだろうなあ
2020/07/26 20:53
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投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言葉で表現できるものはごく一部にすぎず、言葉だけで信頼関係をつくることはできません。だから、頭の中では言葉を通じて仲間とつながっていても、身体がつながっている感覚が得られない。逆にいえば、身体でのつながりを得ていないために、言葉にこだわってしまう。「そもそも言葉と身体は 一致することがないものである」ということを理解できずに、一致を求めてさ まよううになりました。(本書より)
一つは、言葉は抽象化されたものだということ。誰かと話をしていても、それは出来事すべてを表しているわけではなく、出来事をいったん言葉という抽象的なシンボルに集約してそれを再現しているだけのものです。実際には、言葉だけで相手の感情はわかりません。(本書より)
言葉の限界をこう端的に言えてしまえるのは、言葉を持たないゴリラと一緒に生活した山極先生だからなのだろう。もっと難しい言葉で綴った文学論のようなものは過去に読んだ気がするが、明晰な説明の本書を読んで目から鱗が落ちた。
言葉は、力なんだなんて思うと、間違うんだろうなあ。
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子供たちに
手渡したい一冊
若者たちに
身近に接していらっしゃる
山極寿一先生だからこそ
なんとしても
届けたい思いが
行間から伝わってきます
ぜひ さりげなく
彼らの眼に触れるところに
置いておきたい一冊
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類人猿(特にゴリラ)から人間を学ぶ。知能偏重という言葉がずっしりのしかかる。時間、空間を共有し、五感を使った付き合いで曖昧に了解し合い、互いに信頼を寄せる感覚は、私の場合、生まれた頃から共棲している「猫」との関係性でストンと落ちた。数値化・言語化されたものは理解こそしやすいが、理解したところで共感していない場合は結構ある。人間が真に繋がれる限界が150人というのも、顔、名前、人となりを知っている前提ならば意外と多いように感じた。
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人間として大切にしていくことは、やはり、そういうことだよなぁ。日常に潜む違和感にもやもやするのは、私の野生の心の叫びだったのか。
コロナウイルスとの付き合い方と、心の叫びと、果たして、人間はどうして行くべきか。不正解でなければいい。そう、不正解だなければいいのかもしれません。
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京都大学総長の山極寿一氏が語る、ゴリラに学ぶ「ヒトの未来」。ゴリラに学ぶ、ヒトにしかない能力とは?ヒトの限界を超えたテクノロジーとどう付き合い、幸せになるか・・・!
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面白い。
ぼんやり考えていたことがすべて言語化されていた感じ。ポストコロナの人と人の関わりを考える上で最良の一冊。
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この本を読んで知ったことは、例えば、よその赤ちゃんをあやすとか抱っこするとか、うつむき加減の少年に語りかけるとか、そういう大人や青年のふるまいに温もりやありがたさを感じるのには、森林からサバンナに出てきてからの人類の暮らしのなかで、そういう行動に大きな意味があったからだ、ということだ。
言葉を使えるようになって人間の脳がどう変化したか、AI・ICTが普及すると人間の脳はどうなるのだろうか、といった話も興味深かった。
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現代社会のコミュニケーションの問題点を、類人猿とヒトとの性質の差から紐解く視点が非常に面白かった。
ヒトは共感力で家族と地域社会という性質の異なるコミュニティを両立できているという記述があった。私たちが様々なコミュニティに属していることは当たり前に思えるが、実際はヒトとの距離の取り方が難しいと思う場面も少なくない。
ヒトが言語によって獲得した「距離を置く」という技も、そればかりだと距離が遠くなってしまう。やはり直接会って、目を見て話し、同じ空気を吸って、コミュニケーションの楽しさと難しさの両方を味わうことが、人として生きる喜びにつながるように思う。
コロナ渦でなかなか人と会えない今だからこそ、その価値を重く感じる。
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人と人との信頼関係は身体をつなぎあわせることでしか築けない、なるほどと思った。一緒に食事をする共食が大事だという主張も、アタリより著者の方が説得力があった。
ゼロかイチを極めるような今の発展の仕方(西洋的な考え方)には行き詰まりがあって、中庸的な考え方に変化するようなことが起こるかも、というところが面白かった。
正解はひとつではないし、現状以外の正解もある。そういう自分や身の周り、社会の変化を楽しめるようにしたい。
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スマホとゴリラがどう関わるのか
ものすごく興味を持って読み進めた。
コミュニケーションの道具としてのスマホが
私たち人間に、中でも子どもらに
どのような影響を与えるのか
野生のゴリラから考える新たな視点に
納得いく点が多かった。
スマホに子育てさせるニュースを
以前見たことがあるが
親子のコミュニケーションという点では
やはり心配になってしまう。
ゴリラの子育てから
人間の子育てを見直すきっかけにもなる。
著者の講演会を聞いてみたくなった。
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人間にしか出来ないこと。頭の中では想像出来ていても、いざ説明するとなれば難しい。そんな曖昧な考えを明確にしてくれた一冊。
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ひとつの生き物として、人間の身体から考える視点がとても新鮮。社会構造や理屈以前に、地球上で進化してきた生き物としての人間がどんなものか、現代との乖離がどこにあるのか、面白かった。
子育てしている身としては、今後の子どものことについても視野が広がったと思う。
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ゴリラのエピソードは面白かった。
が、スマホを捨てたい子どもたちへのメッセージ性は弱い。
正直言って、タイトルは、スマホを捨てさせたいおじさんおばさんに対する釣りでしかない。
まあ、私もつられた口ですが。
ただ、冒頭に書いたように山極先生の研究活動における個々のエピソードはやっぱり面白いので、この後、しばらくは山極先生の本を読み漁ろうかと思いました。
現在、3冊目。
やっぱり霊長類においては共通して性と食が暴力の起動装置なのねー、とあの歴史的事象やらこの現代の社会問題やらがさまざま想起されて、ゴリラが大変に羨ましくなっています。
とりあえず、人間の男性はもっと子育て頑張ってもバチはあたらなさそうです。
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全体的にスマホに対して悲観的でしたが、最後にコロナ禍の状況では、山極さんでさえテクノロジーを利用してほしいといったオチが面白かったです。それでも、多様性に対して強いメッセージが印象的で、人類学の視点からこれからの社会の在り方が伝わる内容で勉強になりました。
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Twitterフォロワーさんが「目次からタイトルを推測できない本」と書いていて気になっていた本。ゴリラフィールドワークを通じてコミュニケーションのあり方を見つめ直す。現役中高生が読んでの感想に興味がある。最近読む文章を通じて改めて分かるのは、少なくとも今の人類には思考には身体接触(空間共有)が必要ということ。