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タイトル通り、城を舞台にした事件の話五編。
「幻術の一夜城」黒田研二(墨俣城)
秀吉が一夜で築いたとされる墨俣城の謎を解く家康。さらに彼はそこに一瞬で天守を造りだすと言う。
秀吉の一夜城の謎は何となく聞いたことのある内容だったが、家康の幻術はさて? ここまで上手く行くのか疑問ではあるが、天下を取る者はこういうことも味方に付けるということか。
「小谷の火影」岡田秀文(小谷城)
信長が今にも攻めて来ようとする浅井長政の小谷城で、牢に閉じ込めた筈の曲者が脱出し、そこから連想して事件が起こる。
こんなお市の方は見たくない! というお市の方ファンの悲鳴が聞こえそう。お市の方は悲劇の女性かはたまた…。真実はいかに、
「ささやく水」森谷明子(船上城)
三方を海や川に守られた城内の、水が入って来ない場所で見つかった溺死体。水のない場所でどうやって溺れ死んだのか。
トリックはともかく、キリシタンの光と影にスポットを当てた点は興味深い。
恥ずかしながら高山右近は初めて知った。調べると現在放送中の大河ドラマの主人公とも少なからず縁があるようで、ますます興味が湧いた。
「影に葵あり」安萬純一(小浜城)
忍びによる秘密の巻物争奪戦かと思いきや、いつ来るとも知れない命令を待ちながら巧妙に小浜城に入り込んだ男の悲哀のような部分も。
「帰雲城の仙人 伊賀の忍び 風鬼/雷神」二階堂黎人(帰雲城)
大地震で城下町ごと消えたという帰雲城に隠された埋蔵金と、不老不死の仙人、そして忍者たちの壮絶な闘い。
ページの大部分が忍者同士の闘いシーンだったが、結局のところ不老不死なんて楽しいものではないということか。
邪馬台国の新解釈があるのかと期待したが、それほど真新しいものではなく物足りなかった。
今回読んだのは〈西日本編〉だが、〈東日本編〉もあるようなので、そのうちに読んでみたい。
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【収録作品】「幻術の一夜城」黒田研二/「小谷の火影」岡田秀文/「ささやく水」森谷明子/「影に葵あり」安萬純一/「帰雲城の仙人」二階堂黎人
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徳川家康は好きではないけど、風変わりなキレ者というイメージを思っていて。その特異さが魅力的に描かれていた「幻術の一夜城」が好き。
お市の方が出てくる「小谷の火影」も面白かった。
いつの時代も女は怖い。
あと、単純に「忍者ってかっこいい」と思ってしまう自分がいる。笑
東日本編よりはこの西日本編の方が役者揃いで好き。