電子書籍
羨望に殺される
2021/03/11 10:19
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投稿者:43 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィクションを読んでいて、登場人物を羨ましいと思うことは時々あるけれども、こんなに殺しにかかってくるほど大団円を見せびらかさられたのは初めてだった。ラノベ相手にここまで心をぼろぼろにされるとは思わなかった。心に深く刺さる作品だった。悪い意味で。
何がこんなにつらいのか説明するのは簡単で、ただ自分になくて欲しいものを主人公が全部持っているから羨望で一行読むごとに死にたくなるというそれだけなんだが、最後まで読むのがつらかった。
ラスボスと思しき人々がろくに抵抗もせずに主人公の明るさと優しさと努力に屈していくのはつらかった。約束された主人公の幸せにしか未来がないし、そうすることがこの世界の幸せなんだと思い知らされる。その主人公たる資格がある人物であるように造形されているから当然なんだが。
こういう「主人公のおかげで作品世界が幸せになる話」は、主人公が好きになれてこそ、楽しく読めて自分も幸せな気持ちになれるんだとこの話で知った。そして読んで好きになれなかった時は、こんなに良い人を何で好きになれないのかと、羨望に塗れた自分の心が汚いからだろうと、そんな人間はこの世から相手にされなくて当然なのだと、はっきりと本文中に断罪されたことは本当につらかった。
羨望に塗れた愚かな者にとっては地雷原と同じようなもので、踏み込んではいけない世界だったと思う。そうでない明るく幸せで肯定的な感想を持った人々は本当に素敵な、この世で幸せになる資格を持った清廉な人々だと思うので、その感性を大事に持ち続けてほしいと思った。自分には無理だったから。
みんな本当に、何もこういうこと感じずに読めたの? 本当に?
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オクタヴィアに纏わる出来事の中で、正義とリチャードの間に大学生時代から育まれていった関係性が、ひとまず落とし所を迎えた。
この物語を読むといつも思うのが、2人の関係性が羨ましいなということ。恋人とか夫婦とか家族とかいう枠組みの外で、互いに唯一無二と認識して、人生の終わりを迎えるまで、一緒に歩んでいきたいと思っているのが、幸せで羨ましい。正義もリチャードも、心の中に闇の部分を抱えていて、けれどそれをお互いに救いあい、かつ生来の優しさを持っているからこそ、そうあれるのかもしれないと思う。ある部分では依存関係にも見えるけれど、純粋に、お互いの側にありたいと思える相手を、自分も同性に欲しかったなと思ったりする。
奔放な姉妹の姉がスリランカで正義とリチャードに会った時、正義が言った”好きな人”がようやくわかってほっとした。
第3部ではどんな話の展開を迎えるのか楽しみでしょうがない。
作者が宝石や音楽や芸術にロマンを感じているのが、物語の要所要所で語られていて、そのことにも強く共感するから、この話はとても好き。
長く続いてくれるといいなと思う。
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これは、なんともはやギリギリでした。良かったけど。今まで燻っていたオクタヴィアさんのこととか、正義の将来とか全部解決して2部完。もうちょっと続いて欲しかったけど。オレンジ文庫はいつも少し物足りないところでシリーズが終わるからな…
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本当に綺麗な終わり方だった。もしこれで3部がない、と言われても納得の終わり方だった。結局2人にとっての"あるべき場所"はお互いの隣、という言うまでもない事だった。
ただ、もうあの2人に言う事はひとつ…。
末永くお幸せに!
でも秘書Ver.の正義とリチャードの話も読みたいな。
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著者の辻村七子さんの優しさを『宝石商リチャード氏の謎鑑定』を通して受け取ることができることにとても嬉しく思う。丁寧な言葉と物事を見通す目と言語化する能力に浸って、真っ直ぐな言葉、辻村七子さんの思い伝えたいこと熱量を、読者はわたしたちは感じることができる。誠実さにかってに信用を寄せてしまう。本当に深く考えられてこの作品が出来上がっているんだなと思う。
ネタバレ⤵︎ ︎
「悪役めいた台詞を言う時、ジェフリーは少し甘い声を出す。どうぞ責めてくださいと言わんばかりの声色に、俺の頭は冷静になる。三百年前のことに腹を立てている場合じゃない。中身のない義憤は自分のための怒りだ。この場所で三百年生きてきた人たちを踏みにじる行為になりかねない」
辻村七子さんのこういうところが好き。この思考でこの作品が書かれていることが嬉しくて、何よりキャラクターの言葉の土台に安心出来るものがあるというのがとても大きい。
オクタヴィアの死生観が誰かの為にという形を取ってしまうのは、彼女の両親の愛の形がそれであったこと、それ以外を伝えられなかったことだ。両親の愛が彼女に継がれて、彼女も誰かに伝えたかった。それこそが彼女の知っている手放したいのに手放せない一つの愛で、だからこそそれ以外の形のヴィンスの愛に救われるのだと思う。
オクタヴィアのいうハッピーエンドがハッピーで終わらないことなど彼女が一番知っている。死ななければエンドにならない。
彼女のハッピーエンドを見て死んでしまいたいという願いを誰かに笑われたくないな。
それでも彼女は中田正義の「献身の愛」をハッピーエンドとは取らず、残されたものの話をして、彼女は自分が終わらせたいと願っていると同時に、残された人たちの感情にも苦しんでしまうのだから。
このハッピーエンドの話をした後に、ハッピーエンドという括りにされないものを提示するの本当にすごい。オクタヴィアの言うハッピーエンドは彼女が押し込んだもので、それはハッピーエンドというそのものの話に繋がり、いままではみ出されていたものの存在にもスポットライトが当たる。その上でジェフリーの恋人の話が出てくるんじゃないかな。変わることを嫌い伝統的な貴族としていなければならないジェフリーの恋人は今までならバットエンドが待ち受けている。その定義こそおかしいじゃんというカウンターになるし、オクタヴィアのいうハッピーエンドとジェフリーの吐きそうと言わせるバットエンドが対比されている。そしてその後に、どんな関係性にも当てはまるだろうリチャードと正義を出すことで、それらが上手くまとまる。いままでなら出来得なかったことが出来たものを提示され、ハッピーエンドやバットエンドのそれすらをぶっ壊していて、それは辻村七子さんの優しさなんじゃないかと思った。
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良くって1巻から読み直してしまったよ✨ヘンリー最高にカッコ良かった。他の誰もが霞んでしまうくらい素敵だった!✴️これ以上無いくらいの大団円で、第3部はどんな苦難が待っているのか予想つかないな。コロナ問題かね?
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大団円\(^o^)/♪オクタヴィア嬢が遂に登場!(゜゜;)という事でドキドキハラハラしたけれど、なんとかなった(;゜∇゜)ヘンリー兄ちゃんの啖呵、格好良かったよ(^^;)これで終わってほしいような、続きが読みたいような…
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いやもう!拍手喝采!!
オクタヴィアちゃんのどうにもならない絶望(それはもう、漂白されて真っ白な)を断崖絶壁として、それをロッククライミングするとして、まずどこに足をかける?っていう難題。
ヴィンセントさんの飄々とした愛情。覚悟を決めた『長兄』ヘンリーさん。なんていうか、皆の力が合わさって物事が切り開いていった感じ。
そこに至るには、まずそこまでに正義とリチャードさんが悩み、行動し、それぞれの物事やひととに相対して積み上げ編み上げしてきた関係性があったからこそだと思う。
物語が進むに連れ、「えー!?」「わぁー!」の連続で、ものすごい読みごたえ。
そして、スリランカの中田さんちでの大団円のパーティは壮観。
最後に、25歳になった正義が、公務員か、宝石商か。将来をとうとう定めるその結果が……!
なるほどねぇと唸りました。自分をよく分かってるw
これだけこんがらがったクレアモント家の、まあお家騒動とリチャードの過去を切り開き、心からリチャードが笑えるようになったのも、正義くんのまっすぐな愛情故かなぁ。
友情とかエロスの意味での愛とか超えて(あるいはすべて含んで、かもしれないけど)その魂が好きだよと。おまえの顔は本当に美しいと。
そこに私心がないんだよなぁ。嫉妬とか変な執着じゃなく、本当に眩しいくらいまっすぐな思い。
表現しきれないけど、良かった。素晴らしい結末だった。3部はどうなるのかな?楽しみです。あー読み終わるの寂しい。でも何回も読み直したい。それとそれと、正義くんは本当に頭いいなぁ!賢いリチャードさんに対し善良なだけの主人公、では全くない。頭がいい。
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1部では連続ものの短編が1巻ごとに3話ずつ収まっている、という感じだったけど、2部では1巻ごとに1つのテーマで話が続いていくという構成でした。
ジェフリーもヴィンスもハッピーエンドで良かったーー。
オクタヴィアちゃんもとりあえずは一件落着で、初めてヘンリーに頼もしさを感じました。
3部も期待してます!正義とリチャード、もうもどかしすぎるのでくっついてくれ!!
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2020.12.13
初期の初期からずっと思ってるんだけど、これは、blじゃないのか??エッセンス以上スパイス以上……
ストーリーのメインは、正義くんの生き様と、リチャード好き好きする話……
もちろん、ここまで購入して読んでるので、大好きなんですが…‥くっついて欲しいけど、そういう書籍じゃないならそういう展開にはなり得ないのか?という矛盾の葛藤による文句です笑
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第二章完結、かな。オクタヴィア嬢との和解?ヘンリー伯爵のみごとな采配。正義もとうとう将来を道を決めた。これからのみんなも楽しみだけど、お話続くかなぁ。。。
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こちらも途中まで読んでてそのままにしてしまってたもの。
ようやくリチャードの周りが片付いた感じ。
今後のリチャードと正義の方向性も整って、ますますこれからの2人の話が読みたいなあ。
オクタヴィアちゃんが楽しく生活してるかも気になるので、その後がみたいです。
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何度かもどかしさに悶え苦しみ、本を閉じたり開いたりしながらなんとか読み終えた…。
正義くんが見出した進路、読者としてはあまりにも嬉しい。これからも物語が続くのかなという期待でいっぱい。
誰かと誰かの関係をあらわす言葉は一つだけに絞る必要なんて無くて、いろんな関係性があって、それはきっといくつあっても良いものなんだなぁと。
なんというか、第二部でようやくあるべきところにおさまった。満足です。
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好きって恋愛感情だけではないよなぁ、と思った。恋人とか友達とか家族とか色んな好きがあるし、関係性についても名前は色々あるけど、どれかを選ばなくちゃいけないものでもない。リチャードや正義だけでなく、ヘンリーやジェフリー、ヴィンス、オクタヴィアの全員がそれを体現してる。
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やはり宝石に関する物語感は薄くなっているような…そこは少し残念
オクタヴィア嬢との対話、つらさを全て背負い込もうとする彼女を救ってあげられたのかな
ヘンリーとジェフリーも、みんな環境が良い方向に動いたと思う
それより何より…
プロポーズ!プロポーズしたよ!
それに全部持っていかれて読み終わり…第二部完結おめでとう(色々と)