電子書籍
新たなフィールドワーカー
2021/09/18 21:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
また新たなフィールドワーカーが文才を発揮。アリは面白いなあ。好蟻性昆虫の図鑑も面白かったしな。音声コミュニケーションまであるとは思わなんだ。早く研究成果を見てみたい。作中にもあるように、社会性動物は、どうしても人間の社会と比べてしまう。一つの社会に多様性があるだけじゃなく、多様な種類の社会がある方が強い、ってのがいい。自然界は決して「弱肉強食」じゃないというのを新自由主義者や市場原理主義者の馬鹿どもに読ませてやりたい。
紙の本
アリの世界は深い。
2020/09/21 16:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもの頃に眺めたり、童謡で歌ったりして馴染みの深いアリさんに関する本だと手に取りました。
アリとひとまとめにできないのですね。
種類によって、社会のあり方や働く時間の長さが違います。
果ては、音を出してコミュニケーションを取っているようです。
アリ語の研究が進んだら、続編を読みたいです。
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読者:ヤバい。とんでもない本を開いてしまった。
論文執筆中に、本を出版しとる余裕あるのか?ありがとうございます。
エキサイティングなアリの世界と研究がわかった。
フィールドワーク、サンプリング、観察の苛酷さと、それを面白いと言えるタフさ!
自然環境へのフィールドワークには細マッチョの研究者が適している。
なんか、本書を読んで研究者を目指す若者が増えそうな予感。
アリリンガル…だと?
アフター・コロナのヒントはアリにある!…かもしれへん。
・羽を捨てたハチ。
・新社会性生物…複雑で合理的。
・コロニーが1つの生きもの。超個体。
・働きアリの仕事は年齢で振り分けられる種がある。
←外回りの危険な仕事は年輩のアリ。原始的。
・種に寄っては、一生扉のアリ、一生密壺のアリもいる。
・いろんな巣の形、いろんな食性。
・幼虫の繭作りの糸を巣作りに転用してるアリもいる。
・女王がたくさんいる種が結構ある。
…環境による。北は厳しくたくさんの女王、仲間識別もゆるやか。南の方は反対。
・グンタイアリの塊にスコップをふるう研究者。
←ナニソレ。ホラー?
・奇妙なアリたち
…宮本武蔵みたいなアリ、自爆するアリ、農業をするアリ
・足の裏にマツゲが刺さる指導教授
・ハキリアリの神話。トウモロコシ。
・ディズニーへの苦言。検証をしっかりしたまえ。
・エリック・カールへの苦言。後翅のほうが大きいなんて!
・バロ・コロラド島は研究者の天国。
・アリたちは、超清潔。管理も徹底。
・バナナを吐き戻して、菌床を作る。
・アリの子育て
・「研究者として食べてみなくてはいけない」使命感
←なぜ、研究者は何でも口に入れようとするのか(疑問)
・キノコアリ・ハキリアリが栽培をしている共生菌は、キノコアリ・ハキリアリの巣の中にしかそんざいしない。
・同じく共生菌を虎視眈々と狙っている寄生菌もキノコアリの巣の中にしかいない。
・その寄生菌をやっつけるバクテリアはキノコアリの体の中にしかいない。
・菌類がアリを選んだ。
・「農業革命は人類史上最大の詐欺」ユヴァル・ノハリ『サピエンス全史』
…私たちはなぜ穀物に、しがみついているのか?
・発見を先取りされた悔しさと感嘆。
・女王アリの嫁入り道具。
・ハキリアリVS グンタイアリ
・ヘビさんと心が通じる
・アリ語の辞書を作る。ドリトル先生への道。
・アリTシャツのデザインにクレームをつけて、学生に、嫌われる。
・ドイツでは数十万の機材が秋葉原で125円。日本に生まれて良かった。
・15分で7000回しゃべるハキリアリに「お前意味のある内容をしゃべってんだろうな?」と疑惑の目を向ける研究者。
・寝ぼけて娘にアリ語で返事をする研究者。
・農作物が大好きなハキリアリ。ハイウェイを陥没させるハキリアリ。
・女子アリに嫌われる男子アリ
・アリの遺伝子
・奇妙なアミメアリ
…女王アリがいない
…必要ないのにオスアリがたまに生まれる
…ギスッてる生態。
・生きものの性の多様性と生き残り戦略。
・24時間育児
・サムライアリの奴隷商人っぷり
・アリの脳を解剖する。
・ヒアリを正しく怖がる
・DDT は「道具」である。
全部、おもしろかった。
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【推薦者】
スポーツ文化学部武道教育学科教員 齋藤 雅英
【学生へのメッセージ】
おそらく日本人でもっともヒアリに刺された先生が書いた本です。メディアにも多く出演されているので知っている方もいらっしゃるとおもいます。笑える本でもあり、気軽に読めて、知識が広がっていくと思います。
▼配架・貸出状況
https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00531518
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キノコアリ種 ハキリアリ、ムカシキノコアリ ウロコキノコアリ(祖先)
巣の中にキノコ畑 中南米生息
マヤ文明神話集 Popol Vuhにもハキリアリは出てくる
「そのう」で発酵させた食べ物を吐き出してキノコ酵母のつぶにする。
女王アリと幼虫のえさに。
アリの巣にしか存在しない共生菌。それに寄生するそこにしかいない寄生菌。
寄生菌の抗生物質をだすバクテリアがアリの体内に。
農業とは、人間が代わりに「穀物の社会」を進化させられたもの?
世話するエネルギー>農作物のエネルギー
教科書が正解ではなく、自分のスキルとデータから論を構築。新発見につながる。
フェロモン
アリは捨てられるにおいとそれを妨害するにおいを出す。
ハキリアリの女王アリ
巣の菌を口に、結婚飛行、
数個体のオスと交尾し精子を20年間保存し生涯3000万個の卵を産む。
ひとつの巣から200個体以上の女王アリ新たな巣を築くのは1個体程度。
働きアリはすべて雌 寿命は3か月。長時間の休みはとらない24時間労働。
女王が死ぬと働きアリの卵巣が発達して卵を産むがオスにしかならない。
最後の手段。
ハキリアリの言葉
発音器官:腹柄節
音によるハキリアリの防除 コーヒー、オレンジ、野菜
ヒアリも音で巣から誘い出す。
サムライアリ
クロヤマアリの幼虫や蛹を奪い働かせる社会寄生種
新女王アリ 巣の乗っ取り プロパガンダ物質でクロヤマアリを錯乱
シジミチョウ幼虫 匂いの擬態と女王アリの音を真似る。
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真社会性生物のアリ。5千万年前からほぼ現在と同様の形態。その魅力にハマり研究する筆者。真摯な研究態度に好感が持てる。
真社会生物とは、集団が協力して子育てを行い子供を産まない個体が存する、繁殖だげ行う女王が存在、世代が重なるという特性を持つ。ハチ、アリ、シロアリやハダカデバネズミなど。
筆者はハキリアリという巣でキノコを育てるアリの研究者。本書はハキリアリをはじめグンタイアリ今流行りのヒアリなどの不思議な生体と研究生活を実に分かりやすく語る。複雑かつ巧妙な生態がどのような過程で獲得されたか、謎が多い。
ヒトの歴史はたかだか20万年、5千万年の歴史のあるアリ社会は環境の変化に対するヒトの社会に役に立つ見本となるかもしれない。
バッタだったりウナギだったり鳥だったり、ニッチな研究について面白可笑しく語る本は一つのジャンル。だが本書で好感が持てるのは自虐、ウケ狙いが全くなく、筆者が本当にアリの魅力を語っているところ。専門的な内容であっても知的な発見の連続が本書で堪能できる。
筆者のアリ愛。一見無駄そうな基礎研究の大切さと楽しさを教えてくれる1冊でした。文句なしに五つ星です。
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生き物に興味がある人はとても楽しく読めると思います。
興味がなくても、村上先生のポップな文章で読みやすく、楽しめると思います。
環境に適応しながら生きているアリと環境に負荷をかけながら生きている私たち人間。ありからは学ぶことがたくさんありました。
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ひたすらに面白い。アリは社会性のある生き物、ということだけはよく聞くが、その詳細は知らなかった。多くの人はそうなのではないだろうか。
どうやら働き者らしい、この「アリ」という生物。
ひとくちにアリと言っても多様な種類があり、それだけの社会の形態がある。
直接的には子孫を残さない「働きアリ」がせっせと働く背景には「利己的な遺伝子」が暗躍していたり、「働きアリの法則」にはアリの種類による違いがあったり。身近なようで知らなかったアリの世界がらありありと提示される。
そして何よりも、村上先生の情熱。この情熱に触れられるという点が、本書のもう一つの醍醐味だ。
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アリ研究者のエッセイ。タイトルがキャッチー。
著者の専門は「菌食アリ」と呼ばれる、ハキリアリやキノコアリである。彼らは農業を営むアリとも言われていて、巣の中に畑を作り、そこでキノコなどの菌類を育てて女王や幼虫の餌にしている。ハキリアリは葉っぱを切って運ぶことからその名がついているが、この葉っぱを直接食べるのではなく、キノコを育てるために使う。
アリは社会性動物であり、ハキリアリも女王を中心として、育児やキノコ栽培といった複雑な社会生活を送る。その際にはもちろん、コミュニケーションが必要なわけだが、従来いわれてきた「におい」によるコミュニケーションに加えて、音声のコミュニケーションがある、というのが本書の1つの読ませどころだ。
アリがどう話すのかというと、
キュキュキュキュ キュッキュキュキュキュキュ
キュキュキュ キュキュキュ
キュンキュン ギョギョ
という具合。
発音器官は、胸と腹部の間にある「腹柄節」という部分だ。昆虫の中でもアリにしかない。
小さなアリが小さな部分で立てる音を拾うには、高性能の小型録音装置が必要になる。まともに買うと飛んでもない価格だが、著者は安い部品を集めて工夫して高性能のものを用意する。
これを飼育ケースにセットして、キノコ畑を再現し、アリを入れる、というわけだが。
人相手の言語学者であれば、現地の人とコミュニケーションを取りながら、どの行動でどんな言葉が発せられるかを調べ、仮説を立てながら検証していく。
しかし、相手はアリ。ひたすら行動観察して音声と突き合わせていく。これが飛んでもなく地道な作業である。録音した音を聞きながら、あるシチュエーションで「キャ」が何回、このシチュエーションでは「キュキュ」が何回、この場合は「ギー」が何回と、「正」の字を書きながら(!)数えていく。あるアリなどは15分で7000回もしゃべっており、この15分の解析だけで1ヶ月掛かったというから気が遠くなる。著者も
「本当にお前、意味のあることしゃべってるのか?」
とぼやきたくなったというのもむべなるかな・・・。で、挙句の果てに、寝言でまでアリ語をしゃべるようになってしまったのがタイトルの意味。
この解析の結果から、行動と音声の関係に関して、いろいろおもしろいことがわかってきたそうで、近いうちに論文発表されるとのことである。
地道な解析に加えて、現地(ハキリアリはパナマなど中南米にいるため)でのディープな研究者生活の話も興味深い。
著者はヒアリも専門にしていて、最終章はヒアリにあてられている。近年、日本への本格上陸も警戒されているが、そのためにはまず、ヒアリについて正しい知識を持つことが大切だという。
特異なアリの研究から、「社会性とは何か」や、ヒトと「害虫」との関わりについても見えてくる。
軽く読めてディープで楽しい。
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アリの見方が変わる。
アリ語?農業?女王アリの存在?オス蟻って!?
最後のヒアリについてもためになりました。
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世の中には色んなものを見ている人がいるんだなぁと思いました。
誰もが身近で知っている「アリ」について。
でも、読んだら全く未知の世界が広がってました。
おしゃべりをするハキリアリ、
キノコを育て農業をするキノコアリ
アギトアリ、アミメアリ、パラポネラ‥など、聞いたことのないアリ、アリ、アリ、アリ…
なんと多種多様なアリがいることか!
女王アリ誕生のメカニズムも実に様々。1つのコロニーに1匹だけかと思ってたら、多数いるものもあり。
知れば知るほど驚きの生態!
でもそれを知るためには地道でチマチマした実験と危険なフィールドワーク。
.
60匹ものアリの身体に個体識別のマーキング、顕微鏡で15分毎 10時間×5日の観察、アリ語の音声分析、アリのコロニーの発掘。
どれかを手伝うとしたら究極の選択だな…。
グンタイアリやダニなど、どんな危険な生物に出会うかもわからないアリのフィールドワークは想像以上の過酷さで命懸けのご様子でした。
著者は日本でも数年前に確認された外来種「ヒアリ」についても、研究をされています。
本書を読んで、生態系に及ぼす影響の大きさを想像できるようになると、研究者がいて警鐘をならしてくれるありがたみを感じた。
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あるラジオ番組で、著者の村上さんがゲスト出演されており、お話がすごく面白かったので、もっとしりたと思い、こちらの本を手に取った。
アリの社会がこんなにも複雑で、かつ、そのシステムがこんなにも多様性に富んでいるということを知らなかった。さすが5000万年の歴史を持つだけのことはある…
子どもを生まないけれど同胞のために休みなく動く働きアリ、勢力互角のため直接対戦を避けるハキリアリとグンタイアリ。働きアリを騙してコロニーを乗っとるサムライアリ…つい今の人間社会に投影してしまった。
人類より遥かにながい生命の歴史を持つアリから学べることはかなり多そう!研究は大変そうだけど頑張ってほしい。応援してます!