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「七月に流れる花/八月は冷たい城」恩田陸
サスペンスミステリ。緑色。
夏流(かなし)という静かな町で行われる、選ばれた中学生の林間学校。人々の生活から隔離された「夏の城」で過ごす夏の日々は、多感な中学生の男女の心を揺さぶっていくー。
恩田さんお得意の、隔離されたティーンエイジャーの物語。多分に設定先行の感はあるものの、そこはそれ、ノスタルジックな空気感に引き込まれます。
たいてい、グロテスクなエピソードを謎解きで綺麗にまとめる印象がありますが、今作では最後まで…って感想はありました。
「MAZE」や「きのうの世界」のように、読者を煙に巻くエンディングでも良かったのかも。(3)
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私が買った文庫本の帯には、「ダークファンタジー」との記載があり、そこに異論はないのですが、物語の中で起こる不思議な出来事が、結局のところ人が物理的にそうやったんだと綺麗に落とし込むあたり、少しもったいなさを感じました。個人的な願望を言うと、もう少しだけファンタジー要素が欲しかったです。
同じ時間軸で動く2つのストーリー、林間学習的な雰囲気、そしてお城。こんな素敵な舞台設定があるのだから、いくらでもファンタジー要素は付け足せられたと思いますが、ドラマ的に終わらせたのは、何か伝えたい意図があったのだろうと思います。
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やっぱり恩田さんの作品は素敵だな。
少し怖く、底にうっすら悲しみが流れている。
それでも、前にちらりと見え隠れする希望もある。
奇しくもコロナ禍の真っ只中に知らずに読んだけれど、世界は、私たちの生活はいつ急変してしまうかわからない。
突拍子もないこんな世界が現実になることもあるかもしれない。
隠蔽され、真実の見えない現実がすぐそこにあるのかもしれない。
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初 恩田作品。
娘の本棚に1冊あったし、ファンタジーもあると聞いていたので、手に取りました。
初っ端から謎に包まれました。
ちょっと気味が悪いというか。
謎の答えが知りたくって一気読みしました。
なんか、すっきりしないものが残りました。
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面白かった。安定して読ませられた。。。2018年かそれ以前に書かれた作品だが、図らずもコロナ禍の中で読むことになり、このような巡り合わせがあることが読書の面白さだ。このようなことになる可能性はあるのだろうか?
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この本すごい。不気味で怖いのに、すごくあったかくて懐かしい。短編二本が上手く繋がっていて、面白い。さすが、恩田陸さん。
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ミチルに隠す理由がわからない。
こんな特殊な環境でなぜ隠しきれると思ったのか。
離婚してるんだしそんなことするぐらいなら引っ越して来なければ良かったのでは?
なぜわざわざ危篤になってから呼ぶの?
一目合わせるためなら別に死ぬ直前まで待つ必要ないのでは?
というか患者の意識ある内に会わせてやらないと意味ないのでは…
「夏の人」と言うからにはこれは夏だけのイベント?
他の季節に死ぬ人はどうするの?
あんなにたくさん花が流れてくる=人が死んでるのに全部食べてるの?
強い方が弱い方を食べるって危篤状態の方が勝つことなんてあるの?
…と、「なぜ」が大量すぎて無理だ。
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表題からは内容が想像できなかったので、読み進めていくうちにびっくりするという。
弔いの合宿なのか…。内容が感染症だったので、たまたまだけどタイムリーで、感慨深い。
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ひさびさの恩田陸作品。
『七月に流れる花』『八月は冷たい城』
同じひと夏に、「夏のお城」に招かれた6人の少女と4人の少年。同じお城で男女別々に過ごす彼らが体験する奇妙な時間を、少女と少年両方の視点から描き出す2つの作品。
正直、なにもこんな時期(新型コロナウイルスの流行期)に読まなくてもよかったなと思った。いや、読むならもっと早くに読んでおくべきだったな。あまりにも時勢に合いすぎている。
決して馬鹿ではない子供、幻想的で不思議な建物や景色、謎が深まり、それがパズルのピースがはまるように明かされるときの焦燥感と快感。そうした恩田節はそのままに、人の死というものが、死を身近に経験して遺されるということがひたひたと迫ってくる。
まだひとつわかっていないのは、なぜみどりおとこが、「気を付けないと、カマキリに喰われちゃうわよ」と忠告したのか。みんなの考察を読むのが楽しみ。
あとはやはり表紙が好き。読む前には多くを語らず、ひたむきに何かを訴えてくるだけなのに、読了後に眺めると実に雄弁に語っていて。
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帯に書かれた《絶品ダークファンタジー》という文字を見て、『うんうん、いつものやつね』と手に取り読み始める。
この恩田陸作品における、少年少女が大人たちから隔離されて過ごす物語がどうしようもなく好きなのだと改めて思いました。(三月は深き紅の淵を、麦の海に沈む果実、的な)
思春期の頃の豊かな想像力で色々な局面に恐怖を感じながらも好奇心が勝って危ない目に遭遇するのをハラハラしながら見たり、子どもかと思いきや色んな視点で物事を見ていてハッとさせられたり。
題材としてはとても悲しくて寂しい話。
私が彼女たちならば悲しみに暮れるのか、はたまたそれが自分の世界の常だと受け入れてしまうのか。
『みどりおとこ』の文字を見るだけでも不思議でダークなイメージでしたが、読み終わってみてダークだけど切なくいとおしいような気持ちにもなりました。
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短時間で読めるシンプルなファンタジー
非現実的な設定であるものの、違和感が全く無く、すらっとストーリーに入り込めるのが不思議。まさにファンタジー。
証された真実には驚愕するものの、気軽に読める物語だからベランダ読書にちょうどよいね。
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児童書と一般書の中間のような、子ども時代の、じめっとした夏の日に、読んだことがあるような。夏の人、と、抗えない感染病が蔓延する現代社会の輪郭とが、うっすらと重なる。
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ハードカバーでちゃんと持ってるのに買ってしまった。だって絵が好きすぎるんだもの! やはり講談社の恩田陸小説のカバーはこの人でなくちゃ。
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記録は21年だが、2020年で一番好きだった。
恩田陸作品は蜜蜂と遠雷みたいな雰囲気のよりも
「木洩れ日に泳ぐ魚」とか今作みたいなダーク感が
最高に良いと思うのです。
「花火が消えてさみしいのは、正しいの。
誰かが帰っちゃうのを見送ってるんだから」
花火が弔いの意味を持ってたなんて、
令和の人間殆どが知らないんじゃないかな。
「メメント・モリ。死を想え、よ」
作品を通してしっかり語源を追えたのもいい機会。
「死にたい奴なんか、ほっときゃいいんだ。
しょせんは弱い個体なんだから。
自然淘汰されるのが本来の姿だよ」
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前半の七月はつっこみどころしかなく、後半の八月はオチがわかりやすすぎた。
設定だけで満足する恩田陸作でした。
理瀬シリーズのようになるのかと期待したのに。。