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6月初めに、夏流(かなし)という名前の土地に転校してきたミチルは、全身緑色の「みどりおとこ」に出会い、夏のお城夏流城(かなしろ)での林間学校に参加する。
主人公が中学生の、淋しくて悲しいひと夏の物語。
「七月に流れる花」は少女の視点で、「八月は冷たい城」は少年の視点で描かれていて、「七月」を読んでから「八月」を読むので、物語に入りやすく、より鮮やかなものに感じられる。
物事の裏と表が透けて見えるような感じがして、面白かった。
彼らが夏の城に呼ばれた理由が謎に満ちていて、真実がわかるとほっとする反面、近い将来起こってもおかしくないような出来事だと思うと怖くなってくる。
悲しいおとぎ話のようだ。
「悲しみは夏流城の水路に流していきなさい。ここを出たら未来のことだけ考えなさい」という言葉に、前向きなメッセージが込められていて、全体的に恩田陸さんらしいダークな雰囲気がよかった。
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理瀬シリーズ、読んでてファンタジーにも近いものを感じます。
でも読んでて飽きさせないミステリアスな雰囲気が秀逸ですね!
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これはまぎれもなくファンタジーなのだけれど、コロナ禍を経た今は、少しリアルにも見える。
ことごとく最後まで残酷で、でも魅惑的な世界にズブズブと引き込まれました。
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「7月」は主人公のミチルと同じ視点で話が進むので、全体的に薄暗い霧の中を、有無を言わさず引きずられていく感じで進む。後半、状況を理解すると、今までのことがひと夏の悲しい思い出になり、みんなの希望でありながら孤独な「夏の人」へ、畏怖にも近い念を感じるようになった。夏の人が、最後に蘇芳に言った、「佐藤先生は、、、」の言葉は、ひょっとしたら人によって違う言葉に聞こえるのかもしれないなと思った。
それに対して状況が分かった上で読み進める「8月」は事情が違う。ここでは起こるはずのないことが次々と起きる。母屋で見つかった首の折れた4本のひまわりは何を指すのだろう。光彦は「あいつ」の仕業と言った。「あいつ」は夏の人のことだと思うけど、一体、夏の人はひまわりで彼らに何を伝えようとしたのか。それとも私が見落としただけで幸正がやったことだったのかな。
最後の「親を亡くした悲しみはこの夏流に置いて行きなさい、真っ直ぐ前を向いて歩いて行きなさい」という言葉に希望が見えた。
そして、読みながら理瀬シリーズを思い出した。
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講談社タイガの方を持っていますが、二部作共一つに纏まっていると聞いたので買いました。恩田陸先生が書く中学生や高校生キャラが凄い好きです。こういうお話がもっと増えてくれたら嬉しいです。
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1月に読了。
7月・8月それぞれ異なる視点で描かれていて面白かった。
7月はミステリアスで臨場感があった。
また、8月はただ切ない。
同じ場所で巻き起こる物語なのにこれだけ印象が変わるのかと驚いた。
恩田陸さん、流石である。
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文字数が少なく、行間も少々空いている為スムーズに読み進める事ができる。何も知らない主人公と同じ気持ちで読める所がおすすめです。ただ、寂しい話ではありましたが・・・。個人的にですが、この作者さんの文体が読みやすくて好きです。
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恩田陸さんの短編で「みどりの男」というのがあったはず。
この「夏の人」はそこから発展してるのかな。
親を失くす少年少女の話。
傷ついてる子どもって美しいなと思う。
現実では子どもは傷つかない方が良いのだろうけど。
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少女たちの淋しいひと夏。恩田陸ワールド全開。全体を通してなんだか薄暗い静謐な描写の中で、あまり派手に描かれない少女たちの内面が、揺れ動くのを静かに感じることができる。
“皆慣れていて料理も上手だった”という何気なーーーーい描写が、明らかになる結末の伏線になっているってどうして思うか、、、
対する少年側。
少女たち側に比べるとかなり不気味でグロテスク。不穏な空気。それが土塀を挟んでわずかに少女側へ伝染していく瞬間も。
予告編に当たるらしい、みどりおとこの短編集読んでからきて良かったです
久しぶりに味わった恩田陸のゴシックミステリー、、、読んで良かったです