紙の本
彼ら、幻のオリンピアンにどう言い訳できるのか
2022/12/06 19:04
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
鈴木聞多という人を、失礼ながら私は今まで存じ上げなかった。「暁の超特急」と呼ばれた名スプリンター、吉岡隆徳選手の後継者に指名されていた陸上短距離の選手、幻になった1940年の東京五輪を目指すはずだった彼は自ら志願して入隊し帰らぬ人となった、オリンピックという本来神聖であるべき大会を私利私欲の金まみれの大会に変容させてしまった連中は彼らにどう現状を説明できるのか
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1940年、アジアで初めてのオリンピックが東京で開催される予定でした。しかし、世界が第二次世界大戦へと進んでいく中、平和の祭典は中止となりました。幻の東京大会での活躍を期待されていた人々は、戦地へと赴くことになります。調査で判明した命を落としたアスリートは37人。国民の戦意高揚のために利用された選手や最期の瞬間まで自分の競技をしたいとつぶやいた選手…。他にもスポーツを戦争に利用させまいとした監督もいました。彼らの知られざる闘いを、より深く追います。
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戦没オリンピアンについてのNHK番組の書籍化。
第一章の水泳選手・鈴木聞太だけを読んで
返却期限。
鈴木選手を知りたくて借りたのだから、まあ良しとするか・・・
次は鈴木選手についての違う本を読もうか。
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戦争で返上となった1940年の幻の東京オリンピックに出場するはずだった、或いは出場できるくらいの実力だった方々のエピソード。
現在のレジェンドアスリートと、名残りある場所などに赴いたり、ドキュメンタリーの活字版なので淡々と進むが、最終版にさらなる展開が待っていた。
あの2020東京オリンピック(ほんとうは2021開催だが)に、満員の大観衆となるはずだった国立競技場のツアーに参加したことがあるが、選手が入場するエントランスからスタジアムに出た時の壮観さといったら無い。
あの時、自分はアスリートでもなんでもないが、ここが満員で大歓声で、多国籍のお祭り状態だったら、どんなにかアドレナリンが出てアスリートにとって最高な時間になっただろうと思うと、勝手に涙が溢れてきたのだが、それがオーバーラップしてもう最後は涙目。
そのチャンスを、一生に一度もつかめるかどうか分からない貴重なタイミングを、戦争のせいで失った選手たちの無念さ、やるせなさが、簡潔な文章から滲む。
さらに、大枠はNHKスペシャルの放送を以前に観ていたので、その焼き直しかなと思いきや、そこでは語られていなかった事実が肝だった。ぜひ最後まで読んでもらいたいものだ。
作中、大河ドラマ「いだてん」にも出てくる名前が重要人物として次々現れ、ドラマのキャスト表と照らし合わせながら読んでいくと、思い起こされてまたもや胸熱になった。あのドラマ好きだったのにな。