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音楽と「その美」を、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」を採用することによって、規定し直す。
なぜウィトゲンシュタインの理論が有効であるかというと、
●美的体験を客観的に確証する方法はない。
●そこにあるのは美的体験が行われているであろうと「推定される状況証拠」のみである。
著者が主張するのは、<美>とは、人々が音楽に対して「肯定的な振舞い」=「是認の身振り」によって産み出されるものである、ということだ。美とは、人々が、それを「美として信じる」ことによって「成立」している。美とは、実体的なものではなくて、「そこにはたらく効果」として想定できるにすぎないである。
”ヴィトゲンシュタインによると、美的なるものの評価が是認というかたちで遂行されるような言語ゲームが存在する。是認は、美的なものの検証(真理化)でなく、単に説得(正当化)として行為される。この説得のためのゲームには、通常の言語は不適切である。身振りこそがそれを可能にする。芸術を<正しい><規則にかなっている>と言う場合にも、是認の身振りが行為されていると考える。
すなわち、美の言語ゲームは、純粋に言語的というよりは、言語に伴われる身体的な諸条件をも含めた表現=身振りである。ヴィトゲンシュタインは、この表現=身振りを「是認の身振り」と呼び、それを美と芸術の言語ゲームとしてとりあげている。
2-2 美の言語ゲームと是認の身振り p.80-81”
続き→ http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20060201/p1 http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20060827/p1