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新本格ミステリの作家さん7人による「名探偵」がテーマのアンソロジー。面白かったです。
メルカトル鮎(シリーズ未読でした)、火村英生、法月綸太郎と名探偵シリーズもあれば、綾辻さんは深泥丘なんだ…という楽しみもありました。探偵AIは2作品。
「プロジェクト・シャーロック」のみ既読でした。シャーロック・ホームズのAIがあるなら教授もね…という。マイアミの鑑識課員やラスベガスの科学捜査研究所もプロジェクトに参加してくるのも面白かった…以前、募金の名義に名探偵ものの作品の登場人物名を使ってたリストを目にしたことがあって錚々たるメンバーだったのを思い出したりしました。
「天才少年の見た夢は」の戦中シェルター密室殺人も大変なことでした。究極の安楽椅子探偵ってそういうことか…(気付きませんでした)。
綾辻さんのお話の、作家さん大集合はこのアンソロジーの締めくくりとして良かったです。小野不由美さんまで。麻耶雄嵩さん……。
新本格、好きなジャンルだなぁと改めて思いました。これからも読みます。
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「十角館の殺人」刊行30周年記念のアンソロジー。7人の作家の書き下ろし競作ということで期待したのだが、本格ミステリーではないものが多くて当てがはずれた。これだけの顔ぶれなのだから、単なるお祭りにせずにちゃんとした推理小説をズラッと並べてほしかった。
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97作品目( * ॑꒳ ॑* )♪アンソロジー作品を読むのは、初めてです。読み始めて、(。-_-。)ウーン失敗だったかな…と思ったけど、有栖川有栖さんの船長が死んだ夜を読み始めてから、ページ捲るスピード早くなりました(*´艸`*)ァハ♪この7人の作家さん達で、歌野晶午さんと綾辻行人さんしか読んだことなかったので、有栖川有栖さんの小説読んでみたいかなぁと思った( * ॑꒳ ॑* )♪特に綾辻行人さんの本格なのか?って思ったりしたが、実体験の事を書かれていたならば、凄い嬉しい(๑´ლ`๑)笑
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我孫子さんと綾辻さんのが好き。
本格ミステリかと言われると違うかもしれないが
グイグイ読めた。
麻耶さん、気になっていたので
どんな作風か知れて良かった。
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『7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー』(綾辻行人・歌野晶午・法月綸太郎・有栖川有栖・我孫子武丸・山口雅也・麻耶雄嵩 著)を読了。
作家それぞれの個性が溢れる書き下ろしミステリ短編がまとめて楽しめるので、好みの作家を見つけることもできる1冊。
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新本格30周年の記念アンソロジー。
新本格に夢中になってたのが20年前くらいなので、思えば自分も年をとったものだなあと。あと、出産~育児で読書から離れていたのもあり、これで久しぶりに読んだ作者も結構いたりして懐かしくなった。
全体を通して、ストレートな本格の割合が低くて、結構意外だった。全員の個性が良く出ているというか。意外とみんなゴリゴリの本格というわけではないんだねえ、なんて思った。でもそれがつまらないわけでは無くて、それもとても楽しめた!!
○「水曜日と金曜日が嫌いー大鏡家殺人事件―」
麻耶雄嵩らしい。「7人の名探偵」と言われてメルカトル出してくるのがすごいと思ってしまった。でもやっぱりデビュー作の探偵だものね。個性がすごい。
day to dayの企画の作品で、「諸事情で家を焼け出され」みたいな記述があり、何かしらの事件に巻き込まれたりしたのかな、不運っぽいしな、と思っていたら、この、最後にとってつけたような一文で大笑いしてしまった。ひどい……。
○「独饅頭怖い 推理の一問題」
山口雅也ものすごく久しぶりに読んだ。面白かったけど、うーん。なんとなく「7人の名探偵」に私が求める物とは違うというか。
○プロジェクト:シャーロック
我孫子武丸も久しぶり。これ面白かった。我孫子武丸らしい、という感じがするけど、久しぶりに読んだので、そこらへんは最近はどうなのかな。違うのかも。私が読んでいた頃の我孫子武丸っぽさ。こういうガジェット的な物を取り込んでいくのがやっぱりうまいんだと思う。
短くスッキリまとまってて、新本格30周年の探偵の世界とは?って思ったりした。
○船長が死んだ夜
ストレートな本格。「カナダ金貨」で先に読んでいたけど、読み返してもやっぱり端正な文章で好きだなあと思う。
○あべこべの遺書
こちらもストレートなミステリ。法月綸太郎も久しぶり……。分かりやすい文章で好きだな。
法月綸太郎はやっぱり短篇が好き~。
完全に最後まで事件を見届けられないところが法月綸太郎のキャラクターとしての限度なのかな。警視とその一般人の息子というコンビだと……。
○天才少年の見た夢は
面白かったけど、ネタかぶりが……。読んでるうちに、「あ、これは……」ってわかってしまうものね。でもすごく面白かった。全く別の短編集とかだったらすごくよかったのに……。
実は歌野晶午は初めてだったので、このあといくつか読んでみたいなって思った。読もう!
○仮題・ぬえの密室
これはミステリ……なのか?笑
ちょうどウロボロスシリーズ、しかも基礎論を読んだばかりなのもあり、またしても実名小説!みたいな気持ちになりながら楽しめた。しかも、ウロボロスだとかなりメイン人物扱いの綾辻先生視点の……。ってまた現実と小説がごっちゃになってしまう。
有栖川ファンはドキドキしちゃったねえ……。
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新本格30周年記念として、名だたる作家達が名探偵をテーマに書き下ろした作品集。どれも十人十色でおもしろかった!
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千差万別。『船長が死んだ夜』『あべこべの遺書』は従来っぽい。『仮題・ぬえの密室』はミステリと呼べるのかな。
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ミステリーアンソロジー7作品短編集。あとがき解説無。
新本格30周年記念に寄せて7人の名探偵を一気に味わえる心にくい演出です。
順に読み進め7作目の『仮題・ぬえの密室』に全てが集約され、ずっしりとした本格の歴史を感じました。これから読まれる方にも入りやすい作品を探すのにお勧めです。
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綾辻行人/歌野晶午/法月綸太郎/有栖川有栖/我孫子武丸/山口雅也/麻耶雄嵩の7人の新本格ミステリの旗手による、豪華な豪華なミステリ・アンソロジー。
有栖川有栖の火村英生とかも出てきますが・・・名探偵?の定義って、何でしょう?
(んなモンあるのか??)
本格ですが、私的には・・・??? な、感じでした。
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どの作者名を見ても、ミステリ好きなら知らない者はいないと言ってよい作家ばかりで、その人たちの個性が感じられるアンソロジーなのである。
7人の名探偵とは、とりもなおさず作者達自身のことであり、この名探偵達の生み出す世界にゆったりとひたるのがよい。
とはいえ、一つ一つは決して長くないので、どんどん読み進めることができる。
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新本格ミステリ30周年記念のアンソロジー
それぞれのシリーズを知らない読者にとっては、背景が判らない名探偵の出現は唐突だろうが、
アンソロジーのための書下ろし故か、多分、
甘めになっている感じがしたので、読み易かった。
ラストを締めくくる綾辻氏の作品は名探偵モノといっていいか判別し難いが、
実名の作家たちが登場する 新本格を愛する読者にとっては嬉しい一作だと思う。
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全編書き下ろしアンソロジー作品で、それぞれの作品に名探偵が登場します。
中には、シリーズ物の人物が出てくる作品もあって、キャラや世界観が分かりづらい話も少し…
30周年記念作品と言う事で、豪華な顔ぶれが揃っているので、ミステリー好きの人には嬉しい作品です。
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綾辻行人が デビュー作を発表してから30年。これが新本格ミステリームーブメントの始まりで、本作は新本格30周年の記念に出版された。新本格ミステリー作家7人がそれぞれ名探偵を用意して短編を書いたもの。我孫子武丸、法月綸太郎、綾辻行人、摩耶雄嵩は京大のミステリーサークル出身、有栖川有栖も京都の出身らしい。ミステリー作家が誕生しやすい環境なのかな京都。
各話のあらすじ
摩耶雄嵩・山口雅也は読んでない。
「プロジェクト・シャーロック」我孫子武丸・・・ 警察でデスクワークを続ける男性が人工知能で名探偵シャーロックを作り出した。しかし彼は殺されてしまう。シャーロックが作られたと発表されたことにより、別の人が同じく人工知能でモリアーティを作ったから。モリアーティは人間を駒のように動かし、完全犯罪を行っていたのだった。
《感想》ミステリーというよりかはショートショートSFみたいな感じで面白い。本作の中で、「ラスベガスで科学捜査研究所に勤めているというグリッソム博士」というのが出てきて、 アメリカのドラマ CSI のグリッソム博士かなとちょっとうれしくなった。
「船長が死んだ夜」 有栖川有栖・・・火村英生シリーズ。兵庫県の田舎で元船長だった男が殺される。彼は二人の女性と仲が良かった。 一人の女性が彼を殺害したが、高所恐怖症のため犯行がバレてしまった。さらに、犯行のきっかけとなった、船長が酔ってもう一人の女性の名前を呼んだという出来事は、本当は船での用語をつぶやいていたのかもしれないというオチ。
「あべこべの遺書」法月綸太郎・・・初めて読む作者かなあ。作者と同姓同名の名探偵法月綸太郎シリーズが代表作らしい。本短編も小説家倫太郎が、父親の警視から事件の話を聞いて安楽椅子探偵ぶりを発揮している。
恋敵の男性二人が、それぞれお互いの遺書を持って死亡した。綸太郎は服毒決闘を指摘し、片方の男性の女性秘書も殺害に関わっていると推理する。
「天才少年の見た夢は」歌野晶午・・・ 近未来?戦争が始まった世界。才能のある子供達が集まるアカデミーという施設。地下にシェルターがある。敵の国がミサイルを発射した後子供達は避難するが、その密室で子供達は 次々と死亡する。子供達の一人は名探偵だったが、彼は眠ってしまった。実は彼は戦死した少年が作ったAI。ミサイルの影響で通信回線がダウンした結果、動かなくなったのである。犯人は語り手の少年。将来を悲観し自分も命を絶った。
「仮題ぬえの密室」綾辻行人・・・私綾辻行人はアンソロジーにおさめる短編のネタを考え中。そこで同じくミステリー研究会出身の他の作家3人プラス妻とともに幻の犯人当てクイズのあらすじを思い出そうとする。どんなミステリーだったのか?誰が考えたのか?という謎は解けないまま終わるが、最後に思い出す。それは自分が考えたものだと。しかしそれを封印したことも。なぜ封印したかというと、同じ頃たまたま出会った有栖川有栖が同じトリックを考えていたからだった。
全体的な感想としては、これまで本格ミステリー好きの人が読んだら面白そう。特にどの作家も読んでいる人が読んだら。いつもと違う、��化球のもの、ひねりが効いたものが多い印象を受けた。
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● 感想
新本格ミステリの端緒を開いた「十角館の殺人」刊行から30周年を記念して出版されたアンソロジー。前作書下ろしであり、そのデキは正直それほどよくはない。
7人の名探偵というタイトルながら、シリーズキャラクターの名探偵を出したのは、山口雅也(偽坊主、無門道路)、麻耶雄嵩(メルカトル鮎)、有栖川有栖(火村&有栖)、法月綸太郎(法月綸太郎)の四人。山口雅也はキッド・ピストルズか、推理冴子にしてほしかったが…。これらはいずれも、そこそこのデキ。
奇しくもAIの名探偵を登場させたのが我孫子武丸と歌野晶午。この2つはいずれも短編としてはそれなりの出来ではある。我孫子の作品はミステリ要素はほとんどなく、SFといえるが。
綾辻行人の作品は、現実と虚構を要り交ぜたエッセイ風の小話。面白くないわけではないが、ミステリではない。つまらなくてもいいから、しっかりとした短編ミステリを書いてほしかったが、あまりにひどいデキのものを見せられても困るか。
全体的に見て、個々の短編のレベルはよくて平均以下。アンソロジーとはいえ、書下ろしだから、デキが不安定なのは致し方ないか。★2で。
● 水曜日と木曜日が嫌い -大鏡家殺人事件- 麻耶雄嵩
スマホを壊し、山奥で遭難した美袋は、謎の館に迷い込む。その館には、「門外不出の四重奏団」と呼ばれる4人がいた。四重奏団のうちの一人の小野小夜という女性が殺される。美袋は、黒いローブに黒いマントの謎の人物を目撃する。
メルカトルが謎を解く。ファウストといえばホムンクルス。小野は、大鏡博士の子どもである二人の子どもに殺害される。そして、その二人の子どもを殺害したのは四重奏団のうち、山田ゴートという男
最後は、美袋のアパートが火事で全焼したことが分かるというオチ
登場していない人物が犯人であり、被害者であるという麻耶雄嵩らしい豪快なミステリ。
● 毒饅頭怖い 推理の一問題 山口雅也
「饅頭怖い」のアレンジ版が冒頭にあり、その40年後を舞台とした事件が描かれている。大店で、軍略家にもなり、湯井大拙と名を変える。
5人の息子がいるが、そのうち2人は嘘つき。そして大拙は毒を飲む。5人のうち、誰が嘘つきが分かっても犯人は分からない。そもそも、子どもが親を殺したと思わせる部分が間違い。真相は、謀反の軍学者を隠密廻りが暗殺したというもの。
饅頭の餡で殺したというなら、これは暗殺だろうというオチ
読みにくい文章だが、構成は面白い。さすが山口雅也と思わせるデキ
● プロジェクト:シャーロック 我孫子武丸
木崎誠という警察の総務部情報管理課に努める男が、名探偵のAIを作る。5W1Hのうち、What、Why、HoWに絞り、「帰納推理エンジン」を開発。パブリックドメインでソースを公表し、ネットを利用して作成された「シャーロック」というソフトは、「シグマ」と呼ばれるようになり、実際の捜査でも利用されることがあった。
そんなシグマの生みの親である木崎が殺害されるという事件が起こる。長沢という若い鑑識課員は、木崎に興味を抱き、木崎のパソコンから、木崎��シグマの生みの親であることを知る。更に、木崎が残した日記から、「モリアーティ」というネット上の犯罪ソフトが誕生したことを知る。
長沢はモリアーティに殺害されることを恐れ、無断欠勤をする。同僚の鑑識課員である吉村が様子を見に来たときに、長沢が自分が知った事実、モリアーティが誕生したことを伝える。
長沢が死ぬ。モリアーティとは、誰が誰をどのように殺すかまでを含め、全ての計画を立案し、実効させるAI。吉村は、モリアーティを使って人を殺したことがあり、モリアーティに取り込まれ、モリアーティの指示により木崎を殺害した実行犯だった。
吉村は、名探偵であるシグマにミッシング・リンクを教えないとモリアーティに勝てないのではないかと考える。しかし、自分が動くとモリアーティに殺害されるかもしれないので動けない。誰も動かないと人類はどうなるのか。吉村は考えないようにするしかなかった。
これは、ミステリというより世にも奇妙な物語系の作品。分類すればSFだろう。探偵のAI、犯罪者のAIが誕生した後の世界について描いたディストピア系の作品ともとれる。なんとも言い難い怖さがある佳作。短編としての完成度は高く、我孫子武丸は短編を書かせると上手いと感じる一品
● 船長が死んだ夜 有栖川有栖
ミステリ作家、有栖川有栖と火村准教授が登場する短編。火村の仕事の都合と、免停を受けているという事情から、有栖川の運転で、火村と有栖は田舎に取材に行く。そんな最中、船長と呼ばれる52歳の男性が殺害される事件に出くわす。
容疑者は三人。犯人は、高いところに置いてあったブルーシートを使って防犯カメラに映らないようにして逃走。なぜか、ポスターが破られていた。
真相は、高い場所に置いてあったブルーシートを、ポスターを丸めて取ったことから、小柄で極度の高所恐怖症であった女性が犯人というもの。船長という男性を美潮という女性と取り合っており、船長が「ミシオ」と叫んでいたことから嫉妬で殺害したという。
しかし、「ミシオ」は梶中央を意味する「ミジョップ」の聞き間違いではなかったかという疑問で終わる。
金銭的な価値がさほどないポスターが破られ、燃やされていたのはなぜかという手掛かりから、3人の容疑者が絞られるという、短編らしいちょっとした仕掛けのミステリ。しかし、短編としては冗長に思わせるほど、丁寧に捜査の様子が描かれている。
この捜査の様子が好きか嫌いかで評価が分かれる。個人的には退屈に感じたので評価は低め
● あべこべの遺書 法月綸太郎
二人の人物が死亡する。しかし、自宅も遺書も他人のもの。死体だけが入れ替わっている。この魅力的な謎を、法月親子が推理する。
マンションの8階から墜落死した死体がある。その部屋には、その部屋の住人が服毒死したことについての遺書が残っていた。
墨田区のワンルームマンションでは服毒死した死体が見つかる。こちらには墜落死した死体の遺書が残っている。
登場人物は益田、一ノ瀬という男と、津村、里西という女。益田は里西と長い付き合いでありながら、津村という女性の惹かれ、益田と一ノ瀬は津村をめぐる三角関係。その関係が発端で、津村は自殺未遂で植物状態に。
一ノ瀬と増田は、どちらが毒薬を飲むかの決闘をする。一ノ瀬は薬剤師で、自分が致死量の毒を飲んだと見せかけ、益田が用意した遺書を手に入れる。
一ノ瀬は里西に依頼し、益田のマンションに潜ませる。一ノ瀬は里西に、益田を襲わせて、気絶でもさせようとするが、益田は来ない。帰宅した一ノ瀬が殺害されてしまう。里西は、一ノ清を墜落させる。
益田は、一ノ瀬の家に行き、里西が用意していた毒を飲んで死んでしまう。潔癖症だった益田が、ペットボトルのお茶を飲んだことに里西が驚きを示した点がポイントとなる。
筋書きとしては面白いが、ところどころに無理がある。冒頭の謎は、魅力的だが、御都合主義でつじつまが合わされているという印象。話としては面白いが、ミステリとしての完成度は低め。
● 天才少年の見た夢は 歌野晶午
戦争が始まり、新型大量破壊兵器搭載の中距離弾道誘導弾が発射された世界。シェルターの中に、特別な才能を持っている子どもが集められていた。その中にさぎの宮藍がいたが、鷺宮藍はAIというのがこの作品のオチ。鷺宮藍は、かつていた、天才プログラマーの中山が作った。シェルターの中で、水上が将来に絶望して自殺。遠山は、希望を囁くリーダー格の月夜という人物を殺害。月夜を自殺と見せかけたが、これがバレると、保身として、四人を殺害。犯人である遠山は、この世界に未来はないという思いから全員を殺害した。遠山は、最後に、AIである鷺宮藍の前で自殺
AIである鷺宮は通信回線がダウンしている際は機能しなかった。鷺宮には2つの弱点がある。1つは理詰めでしか物事を考えられないこと。もう1つは、目の前で起こっていることを止めることができないこと。
しかし、弱点は別のシステムで補えばいい。鷺宮藍は戦勝国に接収され、新国家の秩序維持に寄与する。
読んでいる途中で、鷺宮藍が人口知能であろうというオチは読めた。展開は分かりやすい。起承転結ではなく、だらっと真相にむかう構成は、歌野晶午らしい。犯人、遠山の退廃的なキャラクターも、歌野晶午らしい。雰囲気はそれなりによいが、ミステリ、というより世にも奇妙な物語的なSFとしてはありがちなものではある。
● 仮題 ぬえの密室 綾辻行人
綾辻行人、我孫子武丸、法月綸太郎、小野不由美が登場。麻耶雄嵩が我孫子武丸に行った「幻の犯人当て」の話をした。四人は話をし、「幻の犯人当て」が、「ぬえの密室」というタイトルだったと考える。
「ぬえの密室」について、実際にあったのか、いつ存在したのか、誰が書いたのか、何だったのか。
小野の記憶によれば、らんぶるという喫茶店で、綾辻がぬえの密室について、我孫子、法月、小野に話した。骨組み+α程度のもの。綾辻はそれを封印した。
封印した理由は、偶然に出会った有栖川有栖とのネタ被りだったというオチ
竹本健治の「ウロボロス」シリーズのような、現実と現実の登場人物をまじえたフィクション。ミステリ的な要素は薄く、オチも有栖川有栖とのネタ被りという楽屋オチ的なもの。オチが読めたわけではないが、さほどの驚きもなかった。
雰囲気そのものは悪くないが、やはりしっかりと短編ミステリを書いてほしかっ��気がする。