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「ミッドナイト・エクスプレスとは、トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの隠語である。脱獄することを、ミッドナイト・エクスプレスに乗る、と言ったのだ。」
1ページ目ではタイトルの由来を書いている。逃避行というよりは解放を意味で用いているのだろう。
沢木の覚悟はあるもののそこまで全てを投げ出すことはできないような、旅への姿勢には親近感が湧く。今まで読んだ紀行の中でも一番自分に近い。
読むと旅をしている気分になるかと言うと、もう50年ほど前の旅なのでそれは難しい。もう無い場所というのはある種のファンタジーだ。しかし、旅に出たくなるというのは間違いない。
好きな文章
・だが、そのユーラシアを陸路で行こうと決めたのには、僅かながら理由らしきものがないではなかった。日本を離れるにしても、少しずつ、可能なかぎり陸地をつたい、この地球の大きさを知覚するための手がかりのようなものを得たいと思ったのだ。
・もしかしたら、私は「真剣に酔狂なことをする」という甚だしい矛盾を犯したかったのかもしれない。
・人が狭い空間に密集し、叫び、笑い、泣き、食べ、飲み、そこで生じた熱が湯気を立てて天空に立ち昇っていくかのような喧噪の中にある香港で、この海上のフェリーにだけは不思議な静謐さがある。それは宗教的にも政治的にも絶対の領域を持たない香港の人々にとって、ほとんど唯一の聖なる場所なのではないかと思えるほどだった。
・綴りはやはりDICEだった。しかし意外だったのはそれが複数形で、賽の単数はDIEであると記されていたことだった。DIE、つまり死だ。〜中略〜いや、賽を投げるとは、結局死を投ずることだと言われているような気がしてくる。DICEはDIE、賽は死と......。その瞬間、私は得体の知れない荒々しい感情に突き動かされそうになった。私は慌ててベッドから跳び起き、バッグを持って部屋を出た。
・たとえば一人旅だった『深夜特急』の時は一年余りの旅で三冊分も書くことがあったわけですよね。ところが、友達と一緒だとあまり書くことがなくなってしまう。以前、友人たちと一ヵ月ほどスペインを回ったことがあったんだけど、そのときの経験は、一行だね。「面白かったな」と。ただそれだけ。(巻末対談より)
・同じ顔したひとのいる外国のほうが、文化のちがいがきわだつからいいんです。
(巻末対談より)
特に好きなところはデリーの安宿のフランス人・ピエールの虚ろさを見て、早くここから出て行かなければならないと決意した場面だ。「刺激もないかわりに奇妙な安らぎがあった」デリーにこのままいては、ピエールのように動く意欲すら失って天井を見つめるだけの廃人になってしまう。この焦燥感が、「旅に出る理由」として大きいよなと思った。
あと、ユーラシア大陸を陸路(バス)で横断したい理由には胸が踊った。一昨年、青春18きっぷで9時間かけて東京→大阪に移動した時ですら、日本の大きさに感動したが、ユーラシア大陸ともなると自分の中にあるモノサシがどうなってしまうのか予想ができない。
また、巻末の沢木耕太郎と山口文憲の対談はかなり勇気づけられる。二人とも26歳で旅に出��おり、最善のタイミングは26歳だと語っている。20代になったばかりは、10代にやるべきだった事ができずに後悔ばかりしていたが、若ければいいという訳ではないと最近は身に染みて分かる。彼らが旅に出た頃は1度ドロップアウトしたらドロップインはできない環境だったそうだが、今はある程度環境が整っている。ここ5年のうちに長旅に出る決心ができた。
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気を抜くとノンフィクションということを忘れてしまうぐらい面白かった。特にカジノのシーンは自分が体験しているかのような興奮を覚えた。旅にでたい。
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言わずと知れた(笑)
この本を読んで、それまで全然興味がなかったアジア(距離的にも文化的にも、ヨーロッパなどに比べると近過ぎて関心がなかった)の、香港に行ったのは私です。
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友達に勧められ、読んでみた。
自分自身のバックパック経験と重なる部分があり、非常に共感したと共に、また旅に出たくなった。聖なる牛の国インド、広東料理の独特な香辛料の匂いが漂う香港、一夜にして大金を手に入れられる夢があるマカオ…
そこには決して日本では感じることのできない非日常の世界が待っているだろう。
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「ある朝、眼を覚ました時、これはもうぐずぐずしてはいられない、と思ってしまったのだ」
命は、生の体験を食べて躍動する。
言語の枠の外で、
地球の迫真が見たい。
昂ぶる魂が、男を突き動かす。
デリー→ロンドン
陸路2万kmの旅が始まる。
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師走本②
「本能のままに旅路をひた走る本」
あぁ、こんな時期に読むんじゃなかった…と思う程、旅がしたくなる!!
26歳という「最後の自由」が効く年齢で世界を感じる為の旅に出る「私」。夜の香港で廟街をゆき、マカオでギャンブルの狂熱と深淵に触れる…
人生は一度きり。
あぁ、旅がしたい!!
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旅で出会ったものごとに対する胸の高鳴り、人々の暮らしと温もり、部外者であることに伴う危険と理不尽。等身大の青年からみた旅の魅力が、余すことなく詰め込まれている。
この本を読んだら、どこかへ旅に出たいと思うはず。
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薄い本だが、仕事かばんの中に入れっぱなしにしスキマ時間に読んだので結構長い期間かけた。 #沢木耕太郎 さんの若い頃の海外放浪の旅、めっちゃおもしろかった。コロナ禍が終息したとき、自分の心のバネが思い切って反発できるようエナジーがチャージされた。勿論、「2」を仕事かばんの中に入れた。
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マカオのギャンブルの下りは本当に自分が賭けているような錯覚になって面白かった!!
香港の話は夜市の熱量は本当に伝わってきてまたいきたくなりました!
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旅行をした気分になろうと読みましたが、より海外旅行に行きたくなりました。
香港マカオは実際に行ったことがあったため、本を読む中で旅行中の街の風景が脳裏に浮かびました。
香港での街ブラやマカオでのカジノなど、話もリアルであり、何と言っても描写が細かく具体的だったので、香港マカオの街並みがリアルに想像できました。、
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バックパッカーのバイブル的なシリーズ本。
人のパワーがすごいインドみたいなエネルギーがある香港。
香港ってこんな街だったのか!
めちゃくちゃ行ってみたくなった。
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予想以上に面白かった。特に旅が好きな自分にとっては。こんな感じで1人旅行するのはなんとなく憧れだったりもする。
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それにしても、この時期に紀行文はダメだ。
どうしても海外旅行に行きたい気持ちを駆り立てられる。でも、今は行けないから、昔の旅行に思いを馳せる。
香港は大学生の頃、初めて一人旅をした地。
友人と一緒に北京に行き、その後広州と香港を一人で巡った。だから、作者が語る香港の眩く輝くエネルギーを肌で感じ、懐かしく思う。
ぶつかりそうだと思うくらい近くに建てられ、ひしめき合う高層ビルと露店や人の密度の高さに圧倒され、興奮したことを覚えている。
1994年はスマホも無いから、地図を広げて、道ゆく人に中心地を尋ねる作者のエピソードは新鮮で、ちょっぴり羨ましく思う。そんな旅も今度してみようか。
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インドにも香港にも行ったことがあったので、熱気や匂いを思い出しながら読むことができた。
インドのデリーからスタートするはずの旅が、インドに行く前に立ち寄った香港とマカオだけで、1巻が終わってしまう。
旅ってこういうものだよな〜、こうあるべきだよな〜としみじみしながら、旅の最初の勢いを感じる素晴らしい1巻。
コロナ禍だからこそ、読むだけで旅している気分になれる一冊。
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人生を考え直させる一冊。
一度きりしかない人生。今の生活を続けていていいのかと考えさせられる。
バックパッカーの気分、疑似体験を出来る良書。文体もフランクでとても読みやすい。
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コロナ禍の2度目のGW。どうせ遠出も出来ないんだから、まあ旅行記でも読んで気分だけでも…と手に取った不朽の名作『深夜特急』。
35年以上前です。
古くていいんです。なんせ面白いんですから。
名作だけに何故か意識して読まなかったんです。よく分からん意地ですかねえ、いや中2病?、んー、素直じゃなかったんでしょうねえ、あー、今もですか、そうですか。
しかしこの歳になってか、俄然面白い。マカオのカジノの下りは止まりません。引き込まれますよー。
当時の香港の熱量を悶々と感じる文章。
1日あったら読み切れます。
休みも終わりましたが、私の中では今から深夜特急に乗り込む状態です。続きが楽しみです。