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アメリカの税制と貧富格差が主題。
21世紀現在において、人口の上位0.1%が富の20%以上を占めており、格差が広がっている。その原因として著者は政府による富の再分配、つまりは徴税方式に問題があると提言している。労働者階級と資本家階級ではそもそも収入の得方に違いがある。労働者階級は給与所得や消費税などによって、所得のほとんどが控除なしに課税対象になるのに対して、富裕層は利益収受、配当、サービスの消費など非課税の対象となる要素からの比率が高い。したがって、いくら累進課税が導入されていたとはいえ、富裕層は逃れる道が多くある。実際、超富裕層の所得のうち課税対象は40%程にしかならない。
法人税の減少にも大きな問題がある。以前は40%近い税率であった法人税も現在は20%少々。これはアメリカに限らず、世界中で法人税の下限競争が起こっている。なぜだろうか?多国籍企業への忖度である。社会にお金を生み、雇用を創出する企業は国にとっての原動力であるため、どこの国もその基盤が強い方がもちろん好ましい。税率を限りなく下げて活動基盤にしてもらえば、企業も国もウィンウィンである。そして、その株主などはタックスヘイブンとしてさらに租税回避をすることができる。
富の集中は権力の集中になることが民主政治においては当然問題される。あらゆる手段によって低減税率を得た富裕層は政治権力との結びつきもおこり、さらにその悪循環がおこる。
では、どうすればよいのか。
それを、本書の後半でじっくり解説している。
疲れたのでこの辺で。
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30代男性
アメリカ大統領選挙を再来月に控える現在、コロナ渦の株価高騰で格差が生じているとされていて、その実情を知るために読みました。
アメリカの税制の歴史や著書が調査した各年収に対する現在の実際の税率、そして格差を是正するための提案が記載されている。
どの年収でもほぼ同等の税率であり、さらに富裕層は幾分低い結果に、読み間違えかと思うほど驚いた。ぜひ日本版があれば読んでみたい。
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衝撃的なグラフがたくさん。
アメリカの話だけど、日本もかなり似たところがあるように思うし、ぜひ、日本でも検討してほしい。
国民の多くの人にとってメリットが大きい税制になってほしいな、と思う。
それにしても、超超大富豪はなぜそこまでして税金を嫌がるのかな…という疑問。
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【感想】
軽い気持ちで手に取ったら、税制について無知の自分には少し難しかった。しかし、視覚的にわかりやすいグラフが豊富にあり非常に読みごたえはあった。
読破して、富裕税の導入はアリだと思った。これがどこの国でも(導入している国もあるかもしれないが)導入されていないのは利権だけなのか?何か重大な課題があるのでは?とも感じたが...。
育休も幼稚園もないなんて、日本に生まれてよかったとつくづく実感。
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内容としては一貫して税金の話。今の税制が如何に富裕層に向けられて作られているのかを数値(グラフ)で見せつけてくれます。
資本主義が行き過ぎた現代において、資本家は特別強大な富を保有するに至り、その結果として政治においても発言力が強まり、彼らにとって有利な税制になっています。
「所得」に対する全税金比率は富裕層の方がすでに低くなっています。低所得者は所得に対して高い税率のためさらに困窮し、富裕層は低い税率で痛くもかゆくもなく資産は守られ、殖産が加速していく実態に驚愕。
タックスヘイブンが問題だと分かっていても抜本的な対策を取れないのも、富を集中させる資本家たちが強くなってしまったせい。
個人的には、昨今の資本家に対する超累進的な課税、または富裕税の議論には一歩引いた立場でいたのですが、これだけの不都合な事実を見せられ、資本家に富が集まることで労働階級に富が降り注ぐというトリクルダウンは、日本においてもすでにアベノミクスで妄想・煙に巻く虚言でしかないことが実証されているので、社会保障を充実させ、一度リセットする方向で進められるのであれば、現代における唯一の解決策なのだと思うようになりました。
ただ、そのためには、正しく税金が使われていることを監視すること、そういう政治を選択することが国民の義務として多くの人に理解してもらう必要がありますが。
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アメリカの税制と所得に生じた格差の話。アメリカ(というより先進国)の所得格差は1980年代から拡大していったのですが、その転換点は書いてある。しかし、誰が・何を狙って・格差拡大の転換点を実施していったのかの深堀はほぼ無かったのが残念でした。
しかし2021年?に世界で法人税の統一化の話の起点が、本書によって学びとして得られたのは読んで良かった部分ですね。
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ピケティの先生である著書が書いた本で、経済についての知識がほとんどない私が読むとピケティが言っていることと何が違うのかよくわからなかったけれど、超富裕層になればなるほど課税額が少ない現状があるのだと知った。
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この本は、タックスヘイブンの説明や、大企業、超富裕層がどうやって貯蓄をどんどん増加させていくのかを分かりやすく説明してくれている。
そして、このタックスヘイブンも富裕層に有利な税制も、政治家に働きかける能力・知恵(いわゆるレントシーキング)であるとか、税制の抜け穴を提供するノウハウを持つ税理士や大手会計事務所の存在であるとかが機能した結果であるので、超富裕層の力をまざまざと見せつける感じでもある。
この本は、後半はかなりのページを格差を縮小させるための処方箋・改善案が書かれているようだ。
本書にある多国籍企業・超富裕層に有利な現税制を改善する対案に関してはおそらく、賛否両論だと思われる。
いずれにせよこの対案を元に日本でも議論してみる価値はあると思うし、この対象読者には政策立案に関わる人や政治家などもぜひ読んでみてほしい。
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素晴らしい内容だった。
行き過ぎた自由主義による格差の拡大は、民主主義・「本来の」グローバリズムに対する不信感を招き、大多数の国民を不幸にする。格差の是正には公平で納得性があり、抜け道のない(不正な蓄財へのインセンティブを下げる)税制そして「規制」が必要である、という著者の主張を裏付けるために、南北戦争からの歴史を振り返り、丹念にデータを収集そして検証し、データベースで丁寧にシミュレーションしている。
竹中のようなレントシーカーや、有害な経済学者がお題目のように唱える「イノベーション」「規制緩和」「グローバル化」「ベーシックインカム」「トリクルダウン」というインチキなロジックがデータによる論証で各個撃破されていくくだりは、読んでいて痛快だ。
最近、週刊東洋経済の記事で「目指すべき」一人当たりGDPが大きい金融国として「ルクセンブルク」「アイルランド」「スイス」「シンガポール」が紹介されていた。本書で挙げられていたグローバル企業御用達の脱税支援国家と完全に一致しており、記者(コンサルタント)のレベルが知れる。どうせならヴァージン諸島も追加しておけばよいものを。
アメリカとフランスの労働者階層を比較した章では、アメリカの方が労働時間・福祉・寿命の指標で劣っており、その原因はグローバリストが主張する自己責任での生産性ではないことを証明してあり、そこから日本の現状を顧みると悲しくなった。
著者が提唱する国民所得税(資産・労働を区別しない累進的な所得税)についても、非公開の会社(カーギルの名前が出てきたのには笑った)に対する合理的かつ現実的な課税方法を検討してあり、隙がない。
税収の分配も教育や医療、社会資本整備への投資が巡り巡って国民全体の豊かさになることを訴えており、十分な説得力がある。
その上、控えめな筆致で、自身のデータが完全でないことも踏まえて、現実解として「今できる」アクションプランを示している点も好感が持てた。
「先端企業への課税はイノベーションを阻害する」というグローバリスト(「拝金主義者」)の我田引水な理屈への回答「グーグルマップは便利だが、地球の未来ほど重要ではない」は名言だと思った。
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『#つくられた格差』
ほぼ日書評 Day769
前半は、米国が先陣を切って、その他の先進国も後を追って、富裕層(もしくは超富裕層)を超絶優遇する方向に税制を変えて来たという内容。
ビートルズの『タックスマン』でも知られる通り当時の累進課税の最高税率は95%(5%しか手元に残らない、その後、最大97%という時期もあったそうだ)、米国も90%の時代があったが、今日の富裕層への課税方法は、法人化し配当所得の形を取るものへの課税か、株式売却益に課税するしかなく、せいぜい20%にしかならない。
我が国でも状況は似たようなもので、細かなデータを示されて、なるほど…と思わないこともないが、さほど新鮮な内容があるわけではない。
後半に入ると、富裕層への課税ベース拡大のための提言がなされるのだが、要は累進課税の高額税率を高めるか富裕税なる新税を創設するかいう話と、タックスヘイブンでの所得隠し(と言わないなら、課税回避によるアンフェアな内部留保の積み増し)への対応強化を…という内容。
正直、言いっ放しの感あり。
ひとつ、知らなかったのは、本書執筆時の米国の「消費税」というものが、物品には掛かるがサービスには非課税であること。間接税率は州によっても異なるが、これが富裕層優遇の一因になっているというのは、確かにそうだろう。
ちなみに、チップへの課税はどうなっているのか? 飲食はじめ、請求額のおよそ20%が上乗せされる。それが労働所得として支払われる際に課税されるだけなのだろうか?
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