紙の本
手垢がついてるから面白くないというのは嘘です。
2003/10/27 12:58
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投稿者:山 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぞくぞく新刊される小説の中で面白そうなのを買っては途中でやめ(つまり面白くなかったということ)、でもそれでも何でもいい夢中にしてくれる小説がないかと希求する気持ちが強くて本を買うのをやめられなくて、ついうっかりというか、なんとなく手にした本がコレ。
魯迅なんてというと確か教科書にも載ってるような偉い作家なので、ふつうなら買わない。それなのに買ったのは冒頭の「狂人日記」をぱらぱらと目で追っていて、これなんかイケそう!! と直感したからで、それは大当たり。
たぶん文体が平成を生きてるぼくらにも違和感なく読めるというのが入り口で、あとは内容が現代文学ではもう素朴すぎて取り上げないようなテーマに焦点が当たっていて、でも、そこがまさに文学のおいしい部分で、狂人というのは自分でそれに気づかないからこそ狂人なのであり、ぼくらはみんな携帯電話を持った狂人だ、なんてことまで感じされる短編でした。
その他の収録作品の中には、あまりに純朴すぎてアレッと肩透かし食うのもあるけど、なんといっても読みやすいし(これホントに何十年も前に中国で書かれたの?)、気持ちが和みます。すらすら読める。
もし読むなら、満員電車の中なんて苛烈な環境は避けて、夜寝る前に一篇ずつか、あるいは休日に書斎でひとりきり読む、そんな読み方がいいと思います。
手垢がついてて、なんかもう目にもしたくない、そんなふうに感じてしまう本の中にも面白いのがあることを証明する一冊。
紙の本
文学で中国を変えようとした男
2015/05/05 03:31
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は中国出身だが、日本の仙台で医学を学んでいたというユニークな経歴の持ち主だ。おそらく医学で社会を変えることに限界を感じて文学の道に進んだのだろう。本書収録の「藤野先生」にも、その一旦がうかがえる。日本留学中の恩師への思いを当時としては斬新な英語の文法をまじえて書いている。後年中国政府と言論の自由を求めての戦いは、このころから始まっていたのかもしれない。
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中国文学ではこの人の存在は欠かせない。
「故郷」、「小さな出来事」、「藤野先生」
はみな文部科学省認定の物語なので、
学校で読まされた人も多い。(私もその一人。)
でも、いかに当時の中国の様子がわかって興味深い。
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例の読書会で読んだ作品。
あんまりこうゆうの読んだこと無かった。
中学生の教科書に載ってたかもしれないけど
記憶にないし。
昔の中国にこんな現代的な考え方をもった人がいたなんてびっくりです。
考え方というよりは、感じかたかな?
書き方が日記見たいですね。
まだこの作品の味わいは、ちゃんと足わえてない気がする。
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魯迅を中学校の教科書ぶりに読んだ。
藤野先生は日記だった。
故郷は中学生じゃ理解できない深い言葉が散りばめられていた。この機会に読み返してよかったと思った。
あとはだいたい狂った貧しい人が出てくる話だった。
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中国の近代作家として、魯迅の作品は外せない。個人的には、魯迅は小説よりも評論が面白いと思うが、
とはいえ、阿Q正伝や孔乙己といった作品の持つ力はいまなお色褪せていないように思う。
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以前、別の文庫でも読みましたが、
やっぱり藤野先生も読んでおかなきゃと思って、
買ってあったもの。
岩波文庫が『吶喊』の構成そのままなのに対して、
講談社文芸文庫は第一小説集の『吶喊』と第2小説集の
『彷徨』、そして自伝的回想録『朝花夕拾』から抜粋している。
魯迅の代表作を広く読みたいならば、こっちのほうが
いいかもね。
藤野先生は『朝花夕拾』に掲載されており、本書では
最後に載っています。
日本留学時代の仙台の恩師、藤野先生との交流と
描いた話だとは知っていたけれども、
もっと深いテーマを描いているということを知る。
医学校にて、「中国は弱国であり、中国人は低能である」と
見られていることにづかされ、また、ロシアスパイとして
処刑される中国人のフィルムを見ることとなる。
そこで、近代医学をもって、祖国に貢献しようと
思っていた魯迅は、医学を捨て、文学によって、
祖国の人々を内面から変えていこうと志すのである。
まさしく、関口知宏の「異郷有悟」である。
『吶喊』や『彷徨』は清代末期民国初期の憂いを描いて
いるけれども、「藤野先生」は日本が舞台だけに、
中国に暮らし、最近の日中関係にもいろいろ思うことが
あるだけに、考えされられることもありますね。
巻末の解説を読んで思い出したけど、「故郷」は中学校の
国語の教科書にも載っていたよね。そういえば。
閏土のイラストが印象的だったことを思い出した。
ちなみに、巻末の解説で誤記があります。
276ページにある魯迅故居。北京じゃなくて上海ですからね。
これって、どうやって教えてあげればいいんだろ。
※2008年4月15日発行第13刷
http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2008-07-26
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このうら寂しい読後感がいい…。
中学の時教科書に載っていた『故郷』から魯迅にはまりました。
あらためて読み返しましたが『故郷』は何度読んでも素晴らしい話、そして結びだと思います。
魯迅が生きた変革の中国や文化の描写が興味深いです。叙情があるけれど切るところはバッサリいくところが中国っぽい。
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異次元性を感じる人物が共通して登場するのは、当時の政治、社会に対する何かのメッセージだったのか。歴史の教科書の中の世界と思っていたものが身近に感じた瞬間だった。
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小学校5年か6年生の時、国語の授業で『藤野先生』を扱っていて、以来『阿Q正伝』も読みたいと思っていた。解説にもあるが魯迅の作品は当時の中国の風土や慣習、歴史的な事など、、多くの知識がないと中々難しいと感じた。ただ『藤野先生』は小学生の頃に感じた師の情など、改めて感じ入るところもあった。