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<目次>
はじめに 「モモ」と歩く東京~時間論としての街歩き
第1日 都電荒川線に乗って東京を旅する
第2日 秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる
第3日 動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに
第4日 都市にメリハリをつけながら、古い街並みを守る
第5日 都心北部で大学街としての東京を再生させる
第6日 武蔵野台地東端で世界の多様な宗教が連帯する
第7日 未来都市東京を江戸にする
<内容>
最初はちょっと小難しいが、東京の再生プランを歴史軸を作りながら観ていこう、という本。今の東京は無機質に発展している。それも西の新宿・渋谷・六本木など。さらにウォーターフロント。しかしそこには思想がない。とっちらかしただけだ。著者は、東京は北部武蔵野台地東端に面白さがあり、その面白さは江戸時代に(場合にはよってはもっと昔に)作られ、近代化が進んでも痕跡が残されている。21世紀にはいり、発展が止まった日本の再生として、その面白さをうまく引き出すような都市づくりをしよう、という。7日間の旅をぜひ読んでほしい。いろいろと面白い視点が掲げられる。それはその辺にあるガイドブックとは一線を画したものだ。
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路面電車を復活させるとか、高速道路を取り払うとか、もっと川筋や水上交通などをとか、面白い提言もたくさんあり、大学や渋沢栄一のことなども面白かったけれど、吉原の遊女たちの悲惨さ壮絶さや平将門のあたりはずっしりと重たくなった。どんな都市も多くの死の上に成り立っているのだから、避けても通れないわけだけれど。ピカピカのビルやタワマンの下に、死や怨が重なっていくつもの歴史の層を成している。
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大変面白かった。渋沢栄一と川の関係性に唸る。コロナ禍が落ち着いたら、この本を片手に歩いてみたい。地形を知ることで歴史を学び、自分の足で感じることで、街の見え方が変わってきそう。
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本書の舞台は上野や神保町などがある台東区・文京区。また早稲田から三ノ輪橋までの都電荒川線。
社会学者の吉見さんが街を歩きながら土地の歴史の層を掘り返していく。スローダウン、怨霊の時間など提示された概念にいちいち納得しながら読み進めた。
荒川線の延伸(少なくても上野から浅草まで)は実現したらおもしろそう。横浜でロープウェイができたし、これから日本橋の首都高地下化、銀座のKK線のハイライン化とかあるので、もしかしたらと思ってしまう。
しかし「より速く、高く、強く」信仰は依然強くて、都電の雑司が谷周辺にも大きな道路ができる工事が進んでいるし、社会はまだ次の豊かさを志向できてないんだなと感じることも多い。
スローダウンや文化資源の再発見といった価値観を多くの人が持つ未来がきたらきっと東京はもっとおもしろい街になるはず。
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この本を片手に歩いてみたいと思ったのですが、イマイチ読んでてワクワク感が生まれないのは何故でしょうか⁈
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●引用、→感想
●渡辺さんの「まちあるき=コンテンツツーリズム」論のポイントは、街歩きが単なる物語の追体験以上のものだという認識です。たとえば彼は、コンテンツツーリズムの原型として「文学散歩」に言及しますが、そこで実践されてきたのは、単なる作品の読者による追体験ではなく、「作品を現実の都市と結びつけ、重ね合わせる」生産的な場の生成でした。そこではまず、「作品との関わりの中で都市の記憶が形作られ、また変容を蒙りつつ、われわれの中に刻み込まれ」ます。しかし、そうした作品を通じた集合的記憶は、その都市を巡る集合的イメージが形作られる基盤ともなり、そうしてメディアのなかの物語は「都市の側にも投げ返され、そのイメージを作り変えてゆくというダイナミックな関係」が生み出されます。「街語り」と「街歩き」と「街作り」のトライアッドな関係が存在するのです。
●つまり、「おばあちゃんの原宿」は、一方では「病治癒」の信仰に支えられ、他方では安価な食料品や衣料品のバラエティーに支えられてきました。それはちょうど、若者たちの間で原宿の人気がいっぽうではテレビ局やメディアとのつながりによって、他方では無数の小さなショップに支えられてきたのと似ていなくもありません。
●浅草から東武伊勢崎線に乗ると一駅で「とうきょうスカイツリー」駅です。実際、東京スカイツリーは浅草から驚くほど近く、もしも東京クルーズの浅草船着場辺りから対岸に遊歩橋が架けられ、スカイツリーまでの掘割になっている北十間川沿いの遊歩道が整備されれば、浅草からスカイツリーまでを一体的な遊歩空間として演出できます。→初出が何時かは分からないが、2020年6月には東武線隅田川鉄橋の付帯して人道橋(すみだリバーウォーク)が架橋、また北十間川沿いの遊歩道も整備された(「東京ミズマチ」ウエストゾーン)
●当時、寛永寺に立てこもっていたのは、幕府の正規軍ではなく、薩長連合軍に反感を持つ志願兵の寄せ集めでした。数だけは数千いたようですが、所詮は寄せ集めの部隊、組織的に戦ってきた薩長連合軍にかなうはずもありません。最初から勝負はついていたのです。ですからこれは、圧倒的に優勢な相手に対するヒロイックな抵抗という点で、その約100年後に起きた東大安田講堂での全共闘の学生と機動隊の攻防戦にすら比せられます。
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東京人21年10月号の特集「上野の杜の記憶」で著者とこの本を知る。
東京の東北部を七日間で歩いて過去を思い、感じて、未来を考えることのできる本。
ただし実際に歩くには、この本だけでは新書故の文量制限もあり、情報不足は否めない。特に地元民ではない者は事前の予習や地図アプリ持参などの準備が必要だろう。
第1日 都電荒川線に乗って東京を旅する 鬼子母神~雑司ヶ谷~巣鴨~王子・飛鳥山
第2日 秋葉原-上野ー浅草間に路面電車を復活させる 万世橋・秋葉原~上野~浅草
第3日 動物園を開放し、公園を夜のミュージアムパークに 黒門~上野東照宮~博物館動物園駅~寛永寺~不忍池
第4日 都市にメリハリをつけながら、古い街並みを守る 谷中~鶯谷~三ノ輪・山谷
第5日 都心北部で大学街としての東京を再生させる 神保町~東大本郷~池之端・根津
第6日 武蔵野台地東端で世界の多様な宗教が連帯する 水道橋~御茶ノ水~湯島~御徒町
第7日 未来都市東京を江戸にする 蔵前~柳橋~日本橋~水上ツアー~平将門首塚
自分の生まれ育った地域が台頭区なので面電車伸長や首都高廃止など未来への提言も賛同できること多数。
下町地区の政治家はこの本から未来の街づくりを考えて欲しい。