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少女雑誌の編集に携さわることになった波津子が、憧れの雑誌筆の有賀の薫陶を受け.編集として、そして作家として大きく成長していく。しかし、時代は戦争へと突き進む。そして東京大空襲。全国の読者すなわち「友」へ雑誌を届けようとする熱意に心打たれる。
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老人施設にいる佐倉波津子の元へ届いたのは、赤いリボンが結ばれた小さな箱。
中には「フローラ・ゲーム」と呼ばれた花のカードが入っていました。
そして波津子の遠い昔の、少女の頃の記憶が鮮やかに呼び戻されていきます。
父の失踪で女学校へは行かず、働き口を探していた16歳の波津子は、父の遠い親戚の口利きで、大和之興業社『乙女の友』編集部で雑用係として働くことになります。
明治時代に創業され、大正、昭和と三つの時代をくぐってきた歴史ある雑誌社を舞台に、登場する人物たちが生き生きと描かれていて、ドラマチックな展開が続いていきます。
自転車で街を颯爽と駆け抜ける波津子の姿や、会社の屋上のハトゴヤ(鳩小屋)での忘年会、編集者や作家たちが使う「マチ」という隠語にはわくわくさせられました。
戦争が何もかもを奪っていくという困難な時代にもかかわらず、憧れの人たちに囲まれて仕事に情熱を燃やし、成長していく波津子に、言葉に言い尽くせないほど感動し、心が震えます。
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ある出版社の戦前〜戦後を描いた作品。
有賀とハツの結末に涙が止まらなくなりました...
ぜひ実力派キャストで固めて実写化して欲しい。
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★★★★★★★★★★、、、(星10個以上つけたい)
最高でした。この作品の舞台は昭和初期。
大好きな祖母が、母を産んで懸命に生きた時代。もっともっとたくさん話を聞いておけばよかった。
伊吹有喜さんって50代ですよね。作家さんの取材力ってすごいんだなあ、、、いやあー、素晴らしかった。
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ネットでオススメされていて、ずっと読みたかった作品。読み終わった後、登場人物がとにかく愛おしくて、皆が決して幸せになれた訳ではないのに、懸命に繋いだバトンがしっかり受け継がれいたラストには、とても爽やかな気持ちになった。
志半ばで戦地へ旅立った有賀主筆、有賀主筆を愛し、美蘭との間に授かった彼の孫を見守り、その温もりに包まれたままこの世を去った純司、満州で愛息子を残し亡くなった史絵里、心の赴くままに作品を残し命を奪われた空井、空井の人生を照らす太陽のようなソルさん…。
"サクラ・ハツ、マイスウィート・ハート"
"Dear Friends, Sincerely Yours"
"彼方の友へ、いつまでもお慕いしています"
最後の方で独身だったと書かれていた波津子が、番外編では戦地に行く前に慎と結婚したとあったので、その後戦死したのだろうか…。
あと強いて言えば、仕事を紹介してくれた親戚のおじさんや冒頭に出てくるジェイドはどうなったのか気になった。
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年末年始に跨り読むには最適な本です。伊吹有喜さんの文章は本当に綺麗で心に優しく語りかけてくれる様に読めるところが大好きです。有賀主筆とハツ子の純愛物語ですね。本好きとしては、出版社が舞台である所とか、自ら経験の無い戦争中のあれこれが書かれてあるのも読み応えがありました。
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「犬がいた季節」「雲を紡ぐ」の次に読んだ伊吹さんの作品。この作品の世界観に引き込まれた日々でした。大好きな作品。
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伊吹有喜さんの本は『雲を紡ぐ』に次いで二作目。時系列的には逆のようですが。この歳になって、同年代のこんな素敵な作家さんに出会えた幸運を噛み締めています。決意と情熱をもって未来を見据えたとき、人がなす仕事は意味を持ち、形を変えたとしても引継がれていくのだと、いつの時代にも変わらぬ真理を教えてもらいました。
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“BAR追分シリーズ”以来の伊吹さん。
本書は、戦時下の東京で少女雑誌の作成に携わった人々を描いた、清々しい読後感の物語です。
老人施設でまどろむ佐倉波津子(ハツ)の元に、小さな箱が届けられます。
その中にはかつて波津子が携わった少女雑誌「乙女の友」の付録・「フローラ・ゲーム」という美しい花のカードが入っていました。
そして、それは波津子の遠い記憶を呼び起こすことに・・。
時は昭和初期。縁戚の“辰おじさん”の口利きで、大好きな雑誌「乙女の友」の出版社に勤めることになった波津子。
始めのうちはインテリ揃いの編集部で、学歴がなく野暮ったい波津子はいたたまれない思いをしていましたが、健気に頑張り続けるうちに徐々に編集から執筆まで任されるようになっていきます。
戦時中ということで、何かと規制が厳しい中でも読者である“友”達に夢や希望を届けようと奮闘する、波津子たちの姿に胸が熱くなります。
このように、本書はお仕事小説でもあり、波津子の成長物語でもあるのですが、波津子の上司・有賀主筆に対する彼女の純愛ストーリーでもあるのですよね。
とりわけ、出征することになった有賀さんへ贈る“武運長久”を願う旗の隅に、波津子が書いた音符の暗号に託した想いの切なさと、時を経てのそれに対するアンサー場面が秀逸すぎて、もう・・・。
“とりま、読んでみて!”と、言いたいです。
回想譚の体裁ではあるのですが、視点の主体がころころ変わるのと、波津子の父親の真相や“辰おじさん”の正体諸々等の、回収されていない伏線が気になるところではありますが、解説によると“本作で明かされていないところ”も著者の方はちゃんと設定を考えていらしたそうなので、敢えて書かない事にしたということなのですかね。
それから、巻末に収録されている文庫版書下ろしのスピンオフ・「ポラリス号の冒険」も、心温まる素敵なお話なので、お読みになるなら文庫版をお勧めします。
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乙女心を刺激されまくり。
いくつになっても乙女は乙女。
いつの時代も乙女が好きなものは変わらない。
たとえ戦時中であっても。
乙女は美しく素敵でオシャレで可愛いものが大好き!
雑誌「乙女の友」の附録のフローラゲーム私も欲しくてたまらない!
戦時中を強く逞しく懸命に生きた永遠の乙女の物語。
素晴らしい小説は心を豊かにしてくれる。
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女性が率先して活躍することに偏見が社会だったうえに、戦中という生きていくだけで大変だった時代。
主人公・波津子は貧弱な印象だったが、意外と度胸があるのと、有賀を筆頭に様々な人に揉まれながらも成長していく姿が頼もしかった。
「泣いてはいけませぬ」
どんなときでもその言葉と共に、歯を食いしばりながら立ち向かっていった波津子。その力強さ、たくましさ、ブレない信念、かっこいいなぁと思った。
「乙女の友」という1冊の雑誌を通じて、離れていても、顔が分からなくても繋がっている仲間がいる。読者のことを「友」と表現した伊吹さんの感性が素敵だなと思った。
そして外せないのが、波津子と有賀の恋模様。
自分の気持ちに鈍感な有賀に、想いを言葉にできない波津子にやきもきしたが、70年以上の時を経てようやく気持ちが通じ合えた。
「永遠なんてものはどこにもない」そう言っていた有賀が、波津子へ遺したあの言葉に涙がとまらなかった。
こんな時代に生まれてこなければ幸せになれていたのかな。切ないな。
確かに「永遠」なんてものはない。
だけど波津子と有賀はきっとまたどこかで巡り合って、恋に落ちるのだろう。
どれだけ時代が変わろうとも、再び会うことが叶わない運命だったとしても、遺せるものがある。ふたりがお互いを想う気持ちは永遠に生き続けていく。
ひとつだけ欲をいうとしたら、望月辰也とジェイドと波津子の母、父の関係性、有賀の任務は何だったのか、智樹の曾祖父は誰なのか...。伏線回収してほしかったことかな。
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久しぶりに没入感に浸れた。
戦前戦後の激動の昭和が主人公と共に見事に描かれている。シンデレラストーリーが嫌味なく描かれ、いつしか私も乙女の友となっていた。
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うつむきがちな一人の少女が、さまざまな人に揉まれ、敬愛する人に学び、直向きに生きていく姿に引き込まれた。困難な時代にも、夢を諦めず、健気に逞しく生き抜いた人たちがいたことに尊敬の念を覚える。感動の一冊!
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映画を見たような読後感でした。
こんなふうに戦中戦後の日本を支えてくれた形になるものたちがいることに感謝します。勇気を与えてくれる一冊です。
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どなたかが書いてらしたように、朝ドラを最初から最後まで一気に通して見るような没入感でした。
私は生まれてもいない時代のお話ですが、何度も熱くなったり涙したり。
真実味とかにうるさい方にはオススメしませんが、そうでない方には是非読んでいただきたい、素晴らしい本です。