紙の本
池澤夏樹氏のある青年の脱文明、孤独の生活への無意識の願望を描き上げた長編小説です!
2020/08/07 10:42
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『すばらしい新世界』、『言葉の流星群』、『イラクの小さな橋を渡って』、『憲法なんて知らないよ』、『静かな大地』、『世界文学を読みほどく』、『静かな大地』、『パレオマニア』など幅広い分野で執筆や翻訳を行われている池澤夏樹氏の作品です。同書は、漂着した南の島での生活がテーマになっており、自然の試練にさらされ、自然と一体化する至福の感情が描かれています。その感情は、「まるで地上を離れて高い空の上の成層圏で暮らすようなものだった」と記され、やがて、夢のむこうへの新しい出発が訪れます。同書は、―青年の脱文明、孤絶の生活への無意識の願望を美しい小説に描き上げた著者の長篇デビュー作です!
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無人島に何か一つ持っていくとしたらこれ、と心に決めている本です。
この本が、船から嵐の海に落ちて無人島にたった一人で漂着した人の話だ、というのがその理由の一因なわけですが、やっぱり何度読んでもいいなぁ!!!!と思うので無人島で飽きないで何度も読み返せそうな気がするのでした。
とにかく文章が綺麗。タイトルからして素晴らしい。恐ろしく青くてまぶしくて冷たい感じ。内容のイメージともピッタリだし、ちょっと理系のニオイがするとことかが私のツボをぐっと押さえまくりなので、タイトルを見ただけでうっとりできちゃう珍しい本です。
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なんだか行き詰まった時に読む本です。
今まで何回かお世話になりました。
現実逃避じゃん!っていわれるとそれまでなんですが、読んだ後はなんだかすっきりするんです。
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中学生のときにジャケ買いをしたら当たった。村上春樹の感じに似ていますが、もう少し硬質で透明な感じがしました。
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池澤夏樹の小説デビュー作が本作である。今年になって彼の作品を読み漁っているがやっとデビュー作に行き着いた。南洋の無人島、孤独、文明、精霊。それらを整理して彼の訴えかけようとする事を受け止めようとするが・・・まだ何か自分には足らないのだろうか。完全に作品に浸れない自分がいる。もう少し時間が必要なのかもしれない・・・
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正直きつかった。何がだろうね。相変わらず池澤夏樹好きなんだけど。いつものようない「いらないものが1つもない」という強烈なクリアーさは感じなかった。始まり数ページは池澤さんらしいんですが。
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もし漂流してしまったら……?
そんなことを考えさせてくれます。
無人島の描写などがすごく細かくていいと思います。
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「生きる」ことを目的に生き、自然の中にサイズをあわせていく彼と。
自分の孤島主義を客観視する目線をもち、脱文明にかぶれる自分を皮肉に思う彼と。
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個人的に、そしてきっと多くの人が惹かれてしまうだろう南の島のロビンソン・クルーソー生活。憧れゴコロを満たす南の島の風物を十分に描きつつ、一人の男性の成長、友情などをさらりと織り込み、さらにこのベタなネタたちを冷静に(しかし冷徹ではなく)見つめる視線が心地よい。
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南の島に漂流したお話。
この設定は、何個か読んだことがあるけれど、
このお話の彼、ヤシはとても冷静で前向きで暢気。
文章も不快(な状態の)描写が殆ど無く、
南の島に対する筆者の愛情が溢れ出ていて、美しい。
上質のファンタジーを読むみたいに、すんなりと世界に浸ることができた。
生きていくということ、社会と世界、人と人の繋がり、仕事、生活について
とても真摯に向き合った作品。
とっても面白かった!気持ちいい読書、大好きです。
マイロンとヤシの関係が可愛いくて、ちょっとにこにこしてしまった。
池澤夏樹さんの本をもっと読んでみたい。
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すごくすきだ。この透明感。
いざという時の道を確保しながらのサバイバルだし、現実逃避気味の楽園ラブな作品かもしれないけど、なぜか惹かれてしまう。
やしのサバイバル能力が素晴らしい。
パンの実っておいしいのかな、、、
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無人島で生き延びるヤシの話。
天敵もいないし椰子の実もあるし、無人島でサバイバルという現象に変わりはないけれど、ちょっと楽しそうでもある。島の精霊(死んだ人々の魂?)は生きている孫子の生活を楽しみにしているというところが、なんだかすっと腑に落ちる感じだった。
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無人島に漂着した青年のお話。
最初ロビンソンクルーソーのような物語かとおもいきやSFのようでもあり、実は現代のお話である。
自分の身に起こりえない設定なのだが、読み進むうちに「そうなったらこう思うかも」と思い始めてくるのが怖いところだ。
万人向けにすすめられるかと聞かれると悩むけど、個人的に面白かった。
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無人島に漂流した青年の島でのサバイバル生活の話。池澤夏樹さんの小説デビュー作。過酷な漂流から無人島にたどり着き、「生きる」。冒険物にあるワクワク感や緊張感を感じない、不思議な透明感ある小説。著者のメッセージや根底を探ると難しいので、さらっと読み進めた。再読だったが、いつかまた読んで探ろう。
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初版は1990年、著者の小説デビュー作。
内容の概要を書いてもいいのだけれど、それを書いてしまうとこれから読む人たちのあの最初の印象を奪ってしまうことになるので、伏せておいた方がいい気がする。
そうなるとここに書くことは、一体どういうものがいいのだろう。わたしの、漠然とした、自分にしかわからないイメージや浮かんだ言葉の列挙か、もしくはどこかの引用か?
とにかく、淡々とした描写の中に、具体的なものと漠然としたものが混在し、主人公の思考も、その思考の移り変わりも、かなり鮮明になって頭の中に浮かび上がる。
小説としてもすごくおもしろかったけれど、お金以外で量る幸福度を考えるのにもいい本じゃないかと思った。
一番好きな設定は、主人公の元々の職業が地方の記者だったってこと。