投稿元:
レビューを見る
笹宗匠と相聞歌の出会いは、意外といける。笹さんは、実は純情なのだ。横書きの歌集は新鮮だった。妄想ラブレターも秀逸。「みんなして異次元ラジオを聴いたよね卒業前夜の海の明るさ」「「ゆるす」というたった3文字のパスワードを忘れていたね 朝焼けの窓」「しろたえの美穂さんいないファミレスのブレンドコーヒーかくまでにがし」「もう恋は終わったんだね深海の魚のように瞬くビルよ」「南野陽子のホクロ思いつ自転車で塾に通いしころの夕闇」「君からのメールがなくていまこころ平安京の闇より暗し」「黒猫とともに石段駆け降りる漫画のようなきみがいた夏」
投稿元:
レビューを見る
「修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ」
「「坂道の向こうに海があるはず」と言って告白を5分遅らす」
「ねむれない君に小声できかせよう街に魚が降った話を」
「掘り出された土偶の左半身と右半身のように出会った」
「いつのまにか君の背骨を撫でていた恐竜展の順路行くとき」
「甘え下手の君が甘える時に使うおままごとみたいなオノマトペ」
「いつまでも子供でいなよ 夕暮れの窓に置かれたチェリーボンボン」
「自転車の車輪にからまる葦のごと束縛しあったあの夏の日々」
投稿元:
レビューを見る
111108さんおすすめの笹さんの歌集を探していたら新しめのこちらがあったので図書館でお取り寄せ。
『混ぜるな危険』的な発想で、水野しずさん絵で、なんともいえない化学反応を起こして何度か読み返し見返す世界観。
笹さんのお言葉をお借りすると『恋を応援する力と失恋を癒す力の両方が宿っている』『恋のお守りになれたら』とのこと。
妄想ラブレターがぶっ飛んでいて、フォントもちゃんと分けている細かさ。
108の短歌、縦にしたり横にしたり色がついたり大小変化したりと型破りすぎです。
こんな歌集みたことない。
どれも良くて選びきれませんが厳選してみます。
「坂道の向こうに海があるはず」と言って告白を5分遅らす
>恋愛に海はつきものですよね。好きな人ができても失恋しても海を見にいっちゃいます
掘り出された土偶の左半身と右半身のように出会った
>あらー、縄文時代にはまってきている今の私にぴったりの歌じゃないですか こんなどっぶりの恋愛素敵
放課後の校舎のような冷たさできみがルージュをひく春の夜
>どういうシチュエーション?!別れのシーンなのかしら
あ、逢引き後のことを終えて身支度を整えているところでしょうか
泡盛で眠剤二粒吞みこんで痛みの夜を早送りする
>楽しい時間は痛みを忘れたいですよね~ でもこの後すごい痛みがやってきそう
怒る君がバッグのチャックを閉めたとき猫の悲鳴の音して夜明け
黒猫とともに石段駆け降りる漫画のようなきみがいた夏
>短歌に猫ってこんなにも魅力的なリズムに溶け込んでいて素敵 今回の歌集に犬はなかったかも
ガーベラを部屋に飾れるうしろ姿が彼方フェルメールの右手を起こす
>字余りだらけだけど許される美しさ
恐竜を組み立てる間の告白も未遂に終わる学祭の夢
>学生時代のイベントの高揚感、片想いしているときのドキドキ感が伝わってきます いいなあ
君からのメールがなくていまこころ平安京の闇より暗し
>笹さんの作品だったんですね!とても好きな歌
投稿元:
レビューを見る
共著ではあるが、水野しずさんの作品であるので手にしてみた。水野さんのイラストは味があって楽しめたが、笹公人さんのテキストはおもしろみを感じられなかった