紙の本
コルセットの存在意義は??
2022/04/06 19:30
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投稿者:ぞか - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴィンテージガールを先に読んでいて、「お?」と購入。
そうだよね~。ココ・シャネルがコルセットから女子を解放、って鉄板でしたね。
でも、今となってはあえてコルセットを選択するメンタリティは確かにありです。
(男・女問わず…と言うか、そんなの関係ない、と言うか)
この本を読んで、大爆笑の直後に近所の本屋さんで
「コルセットを手作りしよう」な本を発見し、これまた着物とコルセットを合わせていて
余りのタイミングの良さに倒れそうになりました( ̄▽ ̄)
いや~、楽しかった♪
紙の本
面白いがカロリーが高い
2023/03/10 19:03
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
福島のある町の商店街を舞台にしたお話。
登場する人物全員が癖が強いことに目が行きがちだけれども、出てくる要素がほぼほぼ全部伏線になっていて回収されている。それがもうすごい。
服飾を軸に展開される話題も豊富でとにかく情報量が多い。
一気読みしてしまうくらい面白いけれど、ほんとうにカロリーが高い。
紙の本
この三人だからこそ、成し遂げられること
2021/01/05 15:40
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投稿者:ぎわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アクアマリン(本名)は、エロ歴史漫画を描く母親に育てられている男子高校生。最近はそのアシスタントも務めるようになっている。
東北の片隅、半端に都会だけど人間関係は田舎のように濃密で、むしろ両者の悪いところが目立つようなところ。そこで大過なく生きることだけを考えていた彼の目に、ある朝飛び込んできたものがあった。それは商店街の、潰れかけたような紳士服店のショーウィンドウに飾られた、超絶技巧の職人の手になる精巧な作りのコルセット! さっそく騒ぎになり、老店主の伊三郎と息子の役所職員が言い合いを始める中、ふとしたきっかけでアクアは伊三郎の目に留まる。母の漫画を手伝う過程で歴史的服飾の知識を得ていたアクアは、そのコルセットの素晴らしさをたちまち見抜き心奪われたのだ。
コルセットを作り販売すると心に決めている伊三郎。アクアもその価値を理解し心惹かれた者として伊三郎を応援することにしたものの、商工会とはトラブルになるし、近隣で女性差別反対を錦の御旗に敵と認定したものを攻撃しまくる女史にも目をつけられそうになるしで前途は多難。何より、いいものさえ作れば売れる的な発想の伊三郎にそれではまずいと思いつつも、彼自身もうまいコンセプトを提示できない。
だがそこに、アクアと同学年の明日香が現れる。小学校時代のアクアにトラウマを残した彼女だが、今はスチームパンクに深くのめり込んでいて、コルセットに新たな観点を示し……。
淀んでいた場所で騒動が巻き起こり、やがてそれがその場を再生させていく。物語の定番であり、近年の日本では殊に目につきやすいタイプではあるが、本作はそれを気持ちよく描いていく。
特に中盤以降、やたら濃い面々が続々と現れるのだが、その一部は早い段階から登場していた者たちでもあり、主人公にして視点人物であるアクアと共に、読者は「つまらない人間しかいない地方都市」と思い込んでいたこの舞台にすごい人たちがいたことを――自分の身近にもこんなすごい人たちはたくさんいるかもしれないことを――教えられる。
また主要登場人物三人の役割分担も見事なもので、コルセットを作る伊三郎は元より、その魅力を最初に見出し広めるための工夫に知恵を凝らすアクアも、アクアに抜群のアイデアを提供した明日香も、誰が欠けてもこの結末にはきっと行き着けなかったと思わせる必然を感じさせる。
このドタバタによる「革命」を主軸としつつ、周囲を窺ってばかりだったアクアの成長も描き、明日香との関係の描き方も実にいい。ストーリー展開も、危機を乗り越えては仲間を得て、もっとすごい危機も訪れて……と起伏に富んで一気に読ませる。
キャラの濃さにはライトノベルを思わせるものもあり、ライトノベルやライト文芸が好きな読者にもおすすめしたい。
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2020/12/23
文庫になったので再読。
タイトル変わったのはどうかな。
テーラー伊三郎の方が語呂はいいし得体のしれない感が好きだけど、得体のしれないのは諸刃の剣だもんね。
門戸を開く意味では革命テーラーかな。
二回目でもめちゃめちゃ面白くて大満足。
そして初回と同じかそれ以上に映像化を望むのです。
だって!見たいやん!
素敵なコール・バレネとそのコーディネイト。
アクアが作ったお店。
スチームパンクな時計台。
心がざわざわするんですよ。
私もなんかせねばと。
そういうの大事なんですよ。
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川瀬七緒の初読み。
川瀬七緒には、ちょびっとした思い出が。
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震災後ちょびっとした頃、実家の母から電話が。
『お前、小説読むのが好きだったよな?川瀬七緒って作家、知ってっか?』
「いや?知らないけど?それがどした?」
『いやな、この前知り合った人の娘さんが小説家で、ちょっと前にナントカ賞っていうすごい賞をもらったそうなんdqだ。その人からサイン入りの本をもらって読んでるんだけど、けっこう面白くてね。お前も読んでみたら?』
・・・と、そんな感じで。
一応ググったら江戸川乱歩賞か。
「よろずのことに気をつけよ」
あらすじ読んだら、つまらなくはなさそうだけどまあ特に興味を引くほどではなかった。「古本屋の100円コーナーで見かけたら買ってもいいけど、定価で買うほどではないか。」という程度。
母には適当な返事をし、結局、読むことは無かった。
とは言っても、故郷出身の作家とあって、名前だけは記憶に留めていたし、時おり書店でも、気が向いたら著者名を探してみたりもした。(ほとんどの場合、見つけられなかったけど)
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そんなこんなで7~8年が過ぎた先日、書店に平積みされてたのが『革命テーラー』だった。
表紙裏面のあらすじを読んだら、舞台が福島だとのこと。
あらすじの内容自体は別に興味もそそられなかったけれど、
福島が舞台の小説、読んでみっかな?
程度の意識で購入。すると・・・
主人公の母親がエロ漫画家?
コルセット?コール・バレネ?…なんたらかんたら、見慣れない単語が飛び交うわ飛び交うわで、いきなり挫けそうになった(笑)。
が、しかし!
50ページほど読み進めると、物語の不思議な魅力に少しずつ引き込まれ始めた。
服飾関係の蘊蓄には辟易しつつも、スチームパンク少女の登場辺りから、俄然物語が動き始めた。
スチームパンク??
いまいちよく分からん世界観ではあるものの、まあ、昔読んだ桂正和の漫画の世界観みたいなもんかな?(たしか「DNA2」とかいうやつ)
また、具体的な地名こそ出されてないが、
城下町
小綺麗に整備されてしまった城跡
潰れた映画館
川沿いの道
阿武隈川の小石
・・・などのキーワード、そして筆者の出身地(母がその母親と知り合った病院)から考えると、小説の舞台の町は、どう考えても我が故郷の隣市・・・3年間通った高校がある市だとしか思えない!!!
また、自分の母校は(今は共学になったけど)男子校だけれど、近くにあった女子校が共学化を機に改名した校名が、まさしく主人公達の通う高校名を連想させる語感を持っている・・・・
って部分に思い至ったら、さらに物語に引き込まれた!
じいちゃん、ばあちゃん達が立ちあがり仲間になっていく様。
日に日に生き生きとしてくるばあちゃん達。
「変な子」だった明日香の真っ直ぐ過ぎるくらいに真っ直ぐだからこその魅力に気づく主人公にニンマリし…。
そして、クライマックスに向けての盛り上がり部分では、もはや目が離せなくなった。
結末にも、十分納得。
とても愉快な読書時間をくれた川瀬七緒さんに、感謝。
とっても面白かった。
川瀬さんの、他の作品もぜひとも読みたくなった(^-^)v。
★4つ、9ポイント半。
2021.02.06.新。
※「ごせやける」って言葉、久しぶりに目にして懐かしかった。(祖母がよく使ってたな)
※名前すら出されなかったけれど・・窮地に立たされた主人公に「救い」をもたらした、担任の先生が格好良かった♪
※卑劣な手段で主人公母子を貶めようとした真鍋女史には、痛快なくらいにギャフンと言わせる顛末が見たかった、という点だけは若干心残りかな。
※作中で何度も描写された「エヴェレット・ジャポニズム」の世界観、写真かイラストでもいいから、ビジュアル的にも見てみたかった。
※寂れた地方都市の商店街を活性化…、今も我が母校が残る街に、この小説に出てくるような面々が立ちあがり、何かを始めたら面白いな…とか、妄想が膨らんだ(苦笑)。
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クセ強キャラの博覧会(^ ^;
出てくる奴全員、ものすごくキャラが濃い(^ ^; 常識的な人間はほんの少し、しかも「融通の利かない役所の堅物」みたいな「敵キャラ」としてしか出てこない(^ ^; 最初の内は、正直濃ゆいキャラの連続にお腹いっぱい感があるが、徐々に「常識に縛られず」行動する主人公たちに引き込まれ、自分たちの「常識」「日常」に疑問を持つように(^ ^;
常識なんてのは、「なるべく多くの人間が、ぶつかり合わずに楽に生きるために生まれた「尺度」でしかない。端から「大多数」に入っていない人間には縁が無いし、そういう連中は「ぶつかり合いながら」自分の道を切り開いて行くしかない(^ ^; そしてそんな「常識の埒外にいるクセ強連中」も、自分たちなりに苦悩し、工夫し、苦労しながら生きていることに気づくと、たまらなく愛おしく見えてくる(^ ^
人は、他人と関わらずに生きていくことはできない。だとしたら、無理繰り「常識」に合わせて縮こまって生きるより、ぶつかり合いを恐れずに関係性を築いていった方が良い。そんな風に思わせてくれる一冊(^ ^
Ah 私たちはきっと名前もない原石で
ぶつかり合って初めて磨かれるの
...と、リトグリも歌っていたし(^ ^
花火とアドバルーンにこだわる伊三郎が良い(^ ^ 母が帰ってきたときに「カレーの気分」と伝えるアクアも良い(^ ^ 明日香と共に時計のネジを巻くシーンが、また良い(^ ^
惜しむらくは、最後の最後で、紙数が足りなくなったか、やや「焦った」印象を受けたが... 全体として、とても楽しく読め、勇気づけられる一冊(^ ^ 若い人、読め!!(^o^
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川瀬さんの本が好きでわりといろいろ読んでいる。その中でこの本はわりと若い人に読んで欲しいなーというエンタメ小説だと思う、思うんだけど、大人にも刺さるんだよなーというかんじ。
高校生も、80歳を超えたお年寄りも、登場人物の熱量の高さに目頭が熱くなってしまう。特にお年寄りたちはみな、腕は一流の職人さんだったりその道を極めた人ばかりで、だけど寂れゆくステレオタイプな商店街のようすに何かを諦めてしまった人たちばかり。そんな人たちが1人の紳士服テーラーが作った一流のコルセットをきっかけにまた情熱を燃やしていく、瞳を輝かせながら自分の技量を遺憾なく発揮して。そんなの読んでて気持ちよくないわけないじゃん!
誰しも大人になる過程で色々諦めてきたことがあると思うけど、一度「これまでの人生」で諦めた経験のあるお年寄りが奮起する様は本当に痛快!そしてそれと対照的に、「これからの人生」を悲観していた高校生の主人公が未来に希望を見出していくのもとてもよい!
悪役として登場する頭の固い人たちも、それはそれで言っていることは分かるんだよな、と思えるところもよかった。色々な意味で元気になれるし、人生に希望を持てるお話。
ごちゃごちゃ言ってみたけど、この物語を読んでいる時に何度も自分の中にも、こう、胸が熱くなって湧き上がるものがあって。自分もこんなふうに何かに興奮して、感動して、一生懸命になりたいってそわそわした!!登場人物の興奮が伝わってきて、ワクワクした!!それが一番大切な部分かな!