読者参加型ミステリー
2002/03/10 08:12
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投稿者:modern - この投稿者のレビュー一覧を見る
印象的な装丁といい、収録作の前半と後半で「DISC-1」、「DISC-2」と分けられている趣向といい、全体に洒落た雰囲気を漂わせた短編集である。しかしこの作品の読みどころはその「収録順」にこそある。「DISC-1」における最初と最後の短編、そして「DISC-2」における最初と最後の短編に留意して読めばすぐ気付くものであることは著者もあとがきで述べているが、「読者参加型」のミステリーになっているのである。推理小説における「読者」の役割を見つめ直す、という逆説的な試み。それは完全に成功していると言って良い。特に最後に収められた「不在のお茶会」は、「小説」そのものの意義を問い直す極めて意欲的な作品であり、日本短編ミステリ史上最高峰の作品と言っても過言ではないだろう。大傑作。
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「このミステリーがすごい」95年度版国内ミステリ一位を獲得した作品。
「DISC-1」 「DISC-2」 の二部に分けられたアルバムに似た作りがなんともいえず洒落ている。
それぞれの作品群はというとこれまた素晴しい音を奏でる物ばかり。
クラシックからロック、パンクに至るまで古今東西の音を楽しめる・・・。
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物語という音の余韻に浸ろう・・・・・・。
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短編集。
さまざまな趣の短編が収められており、そのそれぞれが予想しなかった結末を迎えたり、次々に展開したりして面白い。
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『密室症候群』
密室小説を書く医者。現れた患者の女性の診察。
『禍なるかな、いま笑う者よ』
落ち目のコメディアンがプロディーサーを誘拐し自分の作った機械で復讐しようとするが・・・。
『いいニュース、悪いニュース』
かつて夫婦交換した夫婦間で起きた殺人。本当のパートナーは?
『音のかたち』
『解決ドミノ倒し』
ドミノ荘に集まった人々の推理合戦。それぞれの本当の正体は?
『あなたが目撃者です』
テレビで流れる連続殺人犯の特集。夫婦で見ていたが・・・。
『私が犯人だ』
殺人を犯した男。自分が犯人だと話すがみんなに無視される・・・。
『収集の鬼』
レコードコレクターの男が見つけた幻の名盤。
『《世界劇場》の鼓動』
『不在のお茶会』
2008年12月28日購入
2009年1月21日初読
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【ネタばれあり】
たまたま古本屋で見つけた本でした。CDジャケットを思わせるポップな装丁とCDを思わせる内容構成に惹かれて手にとりました。
読んでいて思ったのは、とても実験的な作品だな~といいうこと。既読の東野圭吾作品の「○笑小説」シリーズや、「名探偵の掟」に似ているなと思います。勿論、この作品の方が古いので、東野さんはこの作品に影響を受けたのかな???
肝心の内容ですが、10篇の短編のうち、分かりやすい作品もあれば、非常に難解な作品もありました。私は「解決ドミノ倒し」や、「蒐集の鬼」が楽しめました。一方、「世界劇場の鼓動」は分かりにくかったです。意欲的な作品ではあるものの、分かりにくくてもう一歩なんだけどな~という「不在のお茶会」は、何度も読み返せばきっとその良さが分かるんだと思えるような作品でした。
巻末のLINER NOTEが親切でしたね。
山口雅也作品:初読
読書期間:2009.2.14~2.27
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面白い。全部がミステリーではない気もしますが。「解決ドミノ倒し」が一番笑えます。「私が目撃者です」はちょっとどきりとしました。
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「あなたが目撃者」は面白い。
夫婦の入れ替えも面白かった。
「解決ドミノ倒し」は途中まで面白いどたばただったのにラストが残念至極。
他の話は若さゆえ、奇を狙いすぎて惨敗(ありがち~)と物語として破綻してたりする……。自分の自己の確立という主題があからさますぎて推理が成立し得ない(論理的でない)など。
……若い作者の初期作の典型という意味では笑える。
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ミステリーズって言うより、実験小説・不思議小説集って感じ。傑作揃いとまでは云いませんが、なんだかんだで面白かったです。
「いいニュース、悪いニュース」「解決ドミノ倒し」「あなたが目撃者です」が快作。
「不在のお茶会」の結末には唸りました。
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設定が全て外国であり、少々読みづらい部分もある。
ただ、ポーやカーといった外国作家が好きな方には苦にならないだろう。
思想や観念、哲学といった要素も含まれており、少々難解。
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推理小説です。期待せずになにげなしに買ったのですが、面白かったです。十分、楽しめる、大穴みたいな本かもしれません。
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トリックを駆使した短編集。奇妙にねじれた仕上がりが個性的。「解決ドミノ倒し」は著者がどんでん返し連続記録(?)に挑戦したと言うだけあった。山口氏の作品はこれが初。
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短編。実験的で不条理なものが多い(批評家受けするのもわかる)。オーソドックスなもののほうが面白く感じてしまう。
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非常に実験的で、ミステリなのかと首を捻りたくなるものも多々。そういうものとして読めば、「不在のお茶会」などおもしろい。だけど、求めるものとは違っていたので、この評価で。
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5
CDを模した構成に強烈な共感を覚える。と言うのも、私も自分の創作物を並べる際に、同様のことをするからだ。
オープニングトラックはコレ、2番目はヘヴィなヤツ、3番目はキャッチーなコイツ、インストゥルメンタルはこの位置、これはバラードだから後ろから2番目、いや3番目かな、終わりにアウトロも付けよう、先行シングル(ダイレクトメール)はコレね、とかなんとか。
さらにかつては家族や知人が呆れるほどのCDやらなんやらのコレクターだった。音楽好きで、オーディオ好きで、蒐集家で、表現者で、ミステリ好き。登場人物に我が身を重ねる。
「蒐集の鬼」のマッケリー氏は私だ。“人知れず埋もれている宝物を掘り出して、安価で手に入れるコレクト道の醍醐味”、わかっている、ただの自己満足なんだ、“だん商”が210円なら買うしかないじゃないか…。
「不在のお茶会」の三月生まれの作家は私だ。“それはお前が、読まれるものをどんどん書かなかったからいけないのだ”、ぐはっ、や、やめてくれぇ…。
本作には色々と身につまされる話が多く、心が痛い。読み終えたばかりの今、軽く落ち込んでいる。良くも悪くもシンパシー全開。
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趣向を凝らした短編集としてはどの作品も読み応えがあり、特に「不在のお茶会」は哲学的に『私』を論考するにあたって最良のメタミステリーかもしれない。謎、わからないものとしての「ミステリー」を解き明かしていく過程で、ページをめくる指はなかなか止まらない。