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おそろしく真っ向から「失われた青い春」に対峙した作品。
ヒロイン・二和が自分の年齢を止めた理由、夢を諦めそれがオトナになることだと嗤う大人への嫌悪感をまくし立てる場面は、ある程度オトナなら、むず痒さと羞恥となんらかの反発を覚えずにいられないと思う。
主人公・間瀬の口を通して、「人はそんなに長く子どもでいることを許されない」と書かれているけれど、作者自身は、「青春」を美化することも懐かしむことも捨て去ることも、同じレベルで見つめ、公平に扱っている。
この透徹した視点こそ、浅倉秋成の魅力。
二和の年齢の謎解きと見せかけて、この作品は青春の群像劇だ。
間瀬はマサに「魂の救済者」で、二和は青春の純粋な結晶体。真の主役は「失われた青春」であり、間瀬も二和も作者が遣う人形感が強い。
物語のテーマは胸に残るが、キャラクターへの愛着や魅力をもてなきったところが少し残念だった。
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終盤のの間瀬と二和が対峙するシーンは二和の言葉にドキッとした。
私は今大学生で子供でも大人でもない曖昧なところにいると思う。この先の人生はどんなことがあるかわからない。今いるところでの最善の跳躍を決めていくしかない。とても心に沁みた。
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歳を重ねるとは…。考える。月並みではあるが、得るものと、失うものがある。失うと聞くとネガティブっぽいけど、そうじゃないのかなと、考える。
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SFテイストな青春ミステリ小説。とても面白かったです。
なぜ18歳を繰り返しているのかの謎を解く過程で描かれる高校生活がとても瑞々しい。
現象の説明とか一切ありませんが、そこは個人的にもどうでもよかったです。
『六人の嘘つきな大学生』がとても面白かったのでこちらの作品も読んでみたのですが、浅倉秋成さんの作品のテイストがとても好きです。他の未読作品も読んでみようと思います。
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全てではないが、物語の結末がなんとなく予測できてしまって、後半の伏線回収にあまりどきどきしなかった。
個人的には「六人の嘘つきな大学生」の方が好き。
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駅のホームで見かけたのは18歳の姿のままの、かつて恋した同級生。加齢が止まる原因は外因的、あるいは内因的な理由である。この現象に対して主人公だけが疑問を持ち、他の人は受け入れてしまう。と、こういう現象の青春もの。 青春の空回り、思い出は快感と鈍痛を伴うもので、それはどうしようも無いけれど、前に進めたラストはよかった。 主人公も年齢がわからなくなっているから、彼女に疑問が持てるというのは面白い、完全に舞台装置でトリックはないと思ってたので。 でもまぁ、物語としては読みやすいが、少し物足りないかなぁ。
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六人の嘘つきな大学生、教室がひとりになるまで、連続二冊を読み終わって、この作者の物語にハマったところ、残りの作品も読んでみたが、正直最初の二冊と同じレベルではない。
本作から伝いたいこと自体が面白いが、設定も伏線もあまり面白くないです。
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浅倉さんの小説はなんと言っても最後にかけての散りばめられた付箋回収が美しい。
年を取ることについて考えさせられる、それと同時に青春時代を思い出した。
今あるところから最善の跳躍をすること。この言葉はこれからも忘れないで生きたいと思う。
とても感銘を受けた一冊でした。
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高校の頃の同級生が19歳になることを拒絶している理由を探るという、ちょっと特殊状況なミステリー。特殊設定ではあるものの、その設定に基づく展開の描き方が巧みです。気を抜いてると作者が描く特殊状況に自然と取り込まれてます。
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今回もSFテイストな青春ミステリでとても良かった…!
この人の書く青春描写がすごく好み。主人公の考えなんかがしっくりくるなと思ってたら、ほぼ同い年だった。鳥インフルエンザとかアスベストだとか、華麗なる一族とか…あとは真鍋の歌がちょっとブルーハーツぽかったり。青春時代ドンピシャ。
9年ぶりに見かけた高校時代のかつての片思いの相手は、今も変わらず高校生だった。
SFテイストなんだけど特にそこが深掘りされることなくて、周りはそういうこともあるよね、なんて体で受け入れるものだから主人公もおかしいとは思いつつも受け入れ態勢にならないといけない。
そしてそれでも美咲に未来を歩み始めてもらうために、主人公は美咲を高校生にとどめる理由を探すためにかつての同級生に会っていく…
星は5でもよかったんだけど、これの前に読んでた浅倉さんの二作『ノワールレヴナント』『教室がひとりになるまで』に比べると、今ひとつこれ!という押しが弱い気がして4にしてみた。
「大人になればボキャブラリーも増えるし、会話もウィットに富む。オレンジレンジだって歌うし野球観戦だってする。ツーリングだってするようになる」
何気ない台詞だったのかもだけどすごく好き。
ただ美咲の友達の女の子が、なんか無愛想であまり魅力もないのに主人公への告白が押し付けがましくてちょっと嫌だった。
全然好きになってもらえる要素ないのに「付き合ってくれますか?」とか押せ押せで引いたわ…
好きな人になかなか素直な態度とれないのはわかるんだけどね…
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そういえば、僕は「成長」を描いた小説が好きだった。それも、自身が行動し血肉を自ずから増やす物語が。
ここには、ファンタジーから始まるミステリが描かれ、青春と大人の残酷さ、そして両方を慈しむ様が確かに書き記され、さらには明日へと向かう主人公が居る。
なんだか、僕も少しばかりセンチメンタルな気持ちになってしまったようだ。でも、それは恥ではない、と思う。そう思いたい。そして、僕も少しは前を向かなきゃ、なんて考えさせられるのであった。
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アラサーになった僕は、朝の通勤電車を待つホームで信じられない光景を目にした。同級生が高校生の姿のまま、向かいのホームにいる。
彼女はどうして歳を取らないのか。
どうやら高校3年生に未練があり、縛られているようで…。
何とも不思議な話だった。
文章はとても読みやすいが、内容はまあまあだったかな。
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最後にボロボロと
大きく泣ける訳でも
ないんだけど
途中、途中に出てくる
「年齢」に対する言葉が
グサグサと突き刺さり
リアル18歳にも
リアルアラサーにも
「今」が、なんとなく
過ぎ去っていってる
全ての人に
「ちょっと読んでみりん!」
と、kojiさんは
言いたい。笑
あと、教頭
かっきぃ◎
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高校時代を無為に過ごしてしまった、あのときこうしていれば、という思いがあるからこそ、とても心に刺さる1冊。
勿論、決して後ろ向きなだけではなくて、「今だから取り返せるものもきっとある」と感じた。
人生には、『出会うべくして出会うもの』があると思っているが、
私にとってこの1冊もそれだと思った。
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「六人の嘘つきな大学生」と「俺ではない炎上」がすごく面白かったので、著者の他の作品も読んでみようと思ってこちらが3冊目。
一気読みしてしまったけれど、SF設定と青春小説が個人的に苦手分野だったのか、最後まで読んであまり響かなかった…。
夢は変わってもいい。いくつになっても、その時の夢に向かって前進しろ、というメッセージ性があるのは、良かったなと思った。