紙の本
番組の裏話も含め「吉永小百合」
2022/06/06 18:04
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しく、有名な女優というだけでなく、社会的な発言もされ、信念の人だという印象がある吉永小百合さん。
「吉永小百合が吉永小百合たるゆえん」が詰まった一冊。
それはNHKのプロフェッショナル仕事の流儀で紹介された部分だけでなく、ディレクターによるその裏話からもしっかりと伝わってくる。
出演映画一覧などもあり、とても参考になった。
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吉永小百合(1945年~)は、言わずと知れた国民的映画俳優であるが、これまで121本の映画に出演し、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を歴代1位の4回受賞している。
本書は、2019年10月26日放送のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀~吉永小百合スペシャル~」の制作のために行った取材に基づき、新たな特別インタビュー(プロローグ、エピローグ)などを加えて書籍化したもの。取材は、2018年11月から10ヶ月に亘って、映画「最高の人生の見つけ方」(2019年10月公開)撮影の舞台裏にカメラが潜入し、衣装合わせから、クランクアップ、さらにはプライベートに及ぶ一部始終を記録する、異例の長期密着取材となったものである。
何が吉永小百合をほかの映画俳優と違った存在たらしめているのか。。。何が吉永小百合を吉永小百合たらしめているのか。。。本書の中には、いくつもの印象的な言葉がある。
「役との距離を縮める。そしてその人と同じ風に吹かれる-。その場所に立つということは、私にとって、とても重要なことなんですね。
「高倉さんの受けの芝居、そしてその芝居を受け止めて、私がまた喋って、というキャッチボールをやっていて、なんかこう、震えるような感動があったんです。」
「自分の気持ちに素直になろう、(中略)いろんなことに感動することとか、新しいものに出会ったときに、あっというような喜びを持つこととか、そういうことに関しては、素人でありたいと思うんです。」
「これで私はプロフェッショナルだ、満足だって思っちゃうとそこで終わってしまうようで-。私の中ではそういう気持ちがあるんですね。」
「自分に正直に生きたい、(中略)無理をして、自分の思いと違うところで、仕事を引き受けたり、人と人との関係を作ろうとしてもうまくいかない。」
「今日を生きるということ、今日を精一杯生きればそれが明日につながる。一日一日自分のできることを、精一杯やっていくことが明日につながる。その日を精一杯生きようと思っています。」等
そして、番組の担当ディレクターを務めた著者の築山卓観氏は最後にこう語るのだ。「さまざまな言葉で形容され、評価も受けてきた吉永さんが、何者でもない33歳と真正面から議論している。決して偉ぶることなく、地に足をつけて人と向き合っている。それが、吉永小百合さんという人なのだと思います。」
吉永小百合の素顔、魅力に迫った貴重な一冊である。
(2020年11月了)
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吉永小百合 74歳。
歳は 重なっていく。しかし、吉永小百合の持つ歳は
ほとんど考えることができないほどだ。
最後の女優と言われる。
高倉健との動乱で初めて、女優の醍醐味を知ったという。
それまでは、空っぽの人形の様だったという。
演技しない演技。
プロと思った時に、進化が止まるという。
その日本的な女優のすごさを改めて、感じた。
女優考に 吉永小百合のことを書いたが、
吉永小百合は、もっと深い意味で 吉永小百合を歩いていた。
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吉永小百合さん、取り立ててファンというわけではないのですが、昨年は、吉永さんの121本目の出演作「最高の人生の見つけ方」を観、さらにその制作現場に密着取材したNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀〜吉永小百合スペシャル〜」も観て、その人柄にかなり強烈なインパクトを受けました。
本書は、その担当ディレクターが、10ヵ月にわたり密着取材した内容をもとに、彼女の“人となり”を記した著作です。貴重なエピソードの紹介も興味深かったのですが、やはり吉永さんが発する一言一言には目を見張るものがあります。
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やっぱりステキだな,小百合さん。あまりにも偉大な吉永小百合に密着取材を申し込んで,それを実現したNHKプロフェッショナルの面々。その制作班の責任者である築山さんが著者だ。
「あなたにとってプロフェッショナルとは」と,この番組の決め台詞(質問)を何度も何度も問われる小百合さんは,「わたしはプロでありたいとは思わない」「プロかどうか分からない」「素人の気持ちを持っていたい」「プロといった途端に進歩がなくなりそう」などと言って,ズバリ答えようとはしません。
山田洋次監督が「小百合さんが小百合さんであり続けることは,もはやあの人の任務だと思う」と答えているように,彼女の代わりはいない。となると,そういうのをプロというのかどうかもよく分からない。
プロであろうがなかろうが,今を精一杯生きる中で,次の世界が待っている。そう,今を大切に…という思いが伝わってくる。
自分をそのまま出していればよかった若い頃。そして,高倉健さんとの映画『動乱』を経て,女優としての生き方をしっかり考え始めた頃。そして,大切な女優友達である樹木希林を見送った今,自分ができることを探し続ける小百合さん。
個人的には,小百合さんが小学校の時にやった劇『すずらんの鐘』を,わたしも小学生の時の学芸会で演じた。わたしはたぬき役だったなあ。あと,NHK大河ドラマ『樅ノ木は残った』(1970年)にも出演されていたようだが,これも当時のわたし(小学5年生),よく見ていた番組だ。伊達政宗を扱っていたような気がする。
122本の映画のうち,わたしが見たことのあるのは,おそらく10数本しかかないと思う。もっともっと見てみたいものだ。
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1945.3.13、渋谷区生まれ。父は東大法卒業の役人、母はピアノ教師の次女。キューポラのある街、橋幸夫とのデュエット・いつでも夢を、愛と死をみつめて、動乱、細雪・・・。山田洋次監督の言:「高倉健さん亡きあと、小百合さんは最後のスターになってしまった」。「吉永小百合 私の生き方」、2020.11発行。