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自分を含めて、おそらく多くの人間が感じていながらも口に出してこなかった問題について論じている。「世の中から消えても別に何の問題もなさそうな(むしろ無くなったほうが良いかもしれない)無駄な仕事」について。
例えば、わざと通さないように作られている補助金等の制度における書類作成や穴埋め作業、ファンドマネージャー、決定権のない中間管理職、コンサルタント、いなくても会社が回るCEOなど、権力者を権力者たらしめる為だけに存在する「貴族社会における従者」のような仕事のことを言うらしい。ブルシットジョブとは「誰から見ても不要だと分かっていて、本人でさえ自覚しているにも関わらず、表立って不要な仕事だと言えない仕事」と、この本では定義している。そしてこういう仕事は往々にして高賃金である。
その対極にあるのが、医療や教育、あるいは3Kと言われる仕事だそうだ。これらは確実に人のためになり、無くなってしまったら社会が回らなくなる。そしてこれらの仕事は総じて賃金が低く設定してある。コロナ禍で言われるようになったソーシャルワーカーである。コロナ禍で勇者の如く祭り上げられているが、彼らの賃金が上がる事は今のところない。何故こんな不条理極まりないことが起きているのか。
この本はそれを経済的観点からだけでなく、宗教的観点、道徳的観点、左翼右翼それぞれの観点など、多角的なアプローチで論じている。
なるほどと納得できる内容ではあるが、それゆえ人間の非合理的で不条理な固定概念を覆せない現状にモヤモヤする。
資本主義の機能はすでに破綻しつつある。
人間はそれに変わる新たな社会のあり方を作り出すことができるのだろうか。
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途中、読みにくさはあったものの、読んでよかった。
何より自分の中にあるモヤモヤとした心地悪さを、代弁してくれるような、はっとさせられる読み物。
経済というもの自体、絶対的だと思い込んでいるだけなのではないか。現状の3割から4割が自分の仕事をブルシットだと感じている資本主義下の体制が最善であるわけがない。それならば、生活の不安を感じないベーシックインカムを万人に導入した方が、人は本当にやるべきと思うことに時間を費やすようになる。それに、利他的になるだろうことも考えると、はるかに良い社会になる。
p363 労働を生活から引き剥がし、労働の強制を排除したほうが、いまあるものよりも労働の配分が非効率になることはないだろう。今自分の仕事がブルシットだと感じている人々が、ベーシックインカムを保障されてなお、おなじような仕事を選ぶとは思えない。もっと人類にとって有用なことはないかを考えるはずだ。
人は社会的な生き物であり、自分の行為が周囲へ予測可能な影響を及ぼすことに喜びを見出す。これは幼児にもはっきりと見られる特性。他者に関わり、周囲や世界への良き影響を及ぼすことのできる仕事をすることが、喜びであるはず。
しかし現状、ケアリングの仕事は低収入であることが多い。(その理由として述べられている部分はまだよく飲み込めていない)
機械化によって仕事が奪われるという際、多くは生産的な仕事を前提としており、ケアリングは含まれていない。また、FIRE部門も見過ごされている。
雇われている以上、被雇用者の時間は雇用者のものであり、支配できるという考え方はどこから生まれたのか。そもそも、効率とか無駄とか、時間を数値管理できるというのがまやかしではないのか。
p128 時間とは、仕事の測定を可能とする解読格子ではない。なぜなら仕事は、それ自体が尺度なのだから。時間は貨幣と同じように有形の財産であるかのようになり、だれもが時間を一律の単位に切り刻みください貨幣と引き換えに売買できるようになった。用心深い時間のやりくりこそが道徳の本質だと説教をはじめ、この仕組みは工場での賃労働者として将来の子どもたちを訓練すべく、意識的に設計された。
今は供給が需要を上回っているせいで、需要を捏造して商品の効能を誇張するような仕事がはびこっている。
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★金銭に換算できないケアリングの価値★労働は苦行を伴うものであり、教師や看護師など誇りとやりがいを得られる職業は低賃金でも仕方ない――。「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に先立つ、労働を修養の一環とみなす英国の考え方まで立ち上り、無意味なのに意味があるように取り繕わなければならないブルシット・ジョブの存在に光を当てる。
労働はそもその金銭と換算するものではなく、時間の切り売りという概念を取り込んだから雇用者は働き手が暇そうにしているのを許せない。労働は生産にばかり焦点を当てていたからこそねじれが生じ、サービスという概念を取り込めていない、と主張する。最後に遠慮がち(?)ながらベーシックインカムに触れ、労働を金銭から解放しようと訴える。
代替可能性や市場性で収入が決まるおかしさに違和感があるのは確か。満足度で収入を補うやりがい搾取に通底するものだろう。
前段の各地の体験談は興味深く、後段の理屈も納得感がある。ただ、実はそのつながりはうまくつかめなかった。読み物に仕立て上げたいのだろうが、論旨をはっきりさせた章の名称にしてくれたらもっと理解しやすいのに。
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取り巻き[2]
誰かを偉そうにみせたり、偉そうな気分を味わわせたりするためだけに存在している仕事。例えば、受付係、管理アシスタント、ドアアテンダント。
脅し屋[3]
雇用主のために他人を脅したり欺いたりする要素を持ち、そのことに意味が感じられない仕事。ロビイスト、顧問弁護士、テレマーケティング業者、広報スペシャリストなど、雇用主に代わって他人を傷つけたり欺いたりするために行動する悪党。
尻ぬぐい[4]
組織のなかの存在してはならない欠陥を取り繕うためだけに存在している仕事。たとえば、粗雑なコードを修復するプログラマー、バッグが到着しない乗客を落ち着かせる航空会社のデスクスタッフ。
書類穴埋め人[5]
組織が実際にはやっていないことを、やっていると主張するために存在している仕事。たとえば、調査管理者、社内の雑誌ジャーナリスト、企業コンプライアンス担当者など。役に立たないときに何か便利なことが行われているように見せる。
タスクマスター[6]
他人に仕事を割り当てるためだけに存在し、ブルシット・ジョブを作り出す仕事。中間管理職など。
仕事の4割はブルシットジョブ
ただ長い
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ブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)がどういうもので、何故その仕事が増えていっているのかを述べた本。
大きく次の5つに分類される、
1.取り巻き
2.脅し屋
3.尻ぬぐい
4.書類穴埋め人
5.タスクマスター
取締役のアシスタントは、取締役のサポート業務をしているが、アシスタントの方が忙しくて、取締役の方は意味のない事をやって時間を潰している。これには笑ってしまった。あと詐欺的な仕事を行う金融部門。これも妙に納得できた。1ページあたりの文字が多く、364ページもあるので、読むのに時間がかかるが、中々面白い内容だった。
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最初は新聞書評で気になったんだったか。以降も書評とかノンフブックガイドとかで複数回目にし、これは読んでみた方がよさそう、ということで図書館利用。色んな方面からのブルシット告白を元に、その実情を詳らかにしていく序盤は、その目新しい考え方にいちいち頷かされたりもして、スリリングな滑り出し。『ひょっとして自分も…?』って背筋を伸ばされる思いもしてみたり。でも中盤、それをさらに掘り下げての論考に至り、ちょっともうお腹一杯かも、と思うに至り、数頁読んではうつらうつら、みたいな有様に。これはもはや、全然楽しめてないということで、終盤1/3は頁を繰っただけ。面白かったし、興奮もあったけど、個人的には分量がtoo much。
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衝撃が大きくて評価を言語化しづらい…
訳者あとがきにもあるけど、コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」という言葉が人口に膾炙したが、この言葉こそまさにその他数多の「エッセンシャルでは無い仕事」を浮き彫りにしている現実。しかしその現実にさえ誰も騒ごうとせず、今日もやってるのかやってないのか判然としない「テレワーク」でお茶を濁している。
「そんなこと言うなよ。皆一生懸命働いてるんだから!」…そんな予定調和な声が全てに蓋をしてきそう。世の中にこれ程「お仕事ドキュメンタリー」や「お仕事ドラマ」が溢れる所以かもしれない。
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自動化や機械化が進んでいるのに、全然仕事は楽にならない。それどころか、誰が見るのか分からない報告書を作成するとか、本当に意味のあるか分からない仕事ばかり。
この本は、そんなもやもやした状況をうまく言語化し、問題提起してくれている。
本当にそうだと思ったし、本書で筆者が定義している「尻拭い」の仕事がまさに自分の仕事すぎて笑ってしまった。
(上の人や技術者が立派なお題目で開発した技術をさも動いているかのように見せるための尻拭いの仕事)
筆者は、この本の中で、もはや現代は「資本主義」ではなく、「経営封建制」であると述べているのも、確かにと思った。
『人新世の資本論』という本の中では、すでに成長を求めるモデルになっており、我々は「脱成長」を目指すべきだと述べていたが、この本を読むと、むしろ我々の社会は成長すらしていない、という感覚も覚える。
数値では成長しているように見せているが、実態は限られた利益をブルシットジョブを通すことで奪い合う世界になっている。
そこで感じるのが、「機械化・自動化」の愚かさ。筆者は、自動化について以下のように述べている。
「リアルジョブのブルシット化の大部分、そしてブルシット部門がより大きく膨張している理由の大部分は、数量化し得ないものを数量化しようとする欲望の直接的な帰結だということである。はっきりいえば、自動化は特定の作業をより効率的にするが、同時に別の作業の効率を下げるのである。」
いくら機械化・自動化したところで、限界はあるし、むしろ自動化といっても、他の部分に「転嫁」している面はある。何の意味があるのか?
また、労働を「生産」と「ケア」に分けているのも、確かにとも思う。
我々の世界の「労働」が「ケア」をないがしろにしてきたことが、ブルシットジョブの増大を生んでいる。
また、労働を主眼として左派・右派の対立という面もある意味新しい視点かもしれない。
後は、我々がまるで仕事を「修行」のようにとらえているのもよくないのかもしれない。
後ちょっと危惧しているのは、自己啓発本的に使われる恐れもありそうで怖いなと。「目的意識を持たないと、精神的につらいのなら、目的意識をもって仕事をしよう!」「ブルシットジョブにならないために、仕事を通して自己実現をしよう!」という風に利用されないか?
それよりも重要なのは、「労働」そのもののあり方や社会の在り方を見つめなおす視点。
本書の中で筆者も強調しているが、「そんなのあくまで主観では?」という部分もあり少し納得いかない部分もあったが、その部分は筆者も認めている。ただ、重要なのは、その主観が、どこか我々の中で共通して感じられるという事実であるとは思う。
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「クソどうでもいい仕事」はなぜ存在するのか。
本書では「クソどうでもいい仕事(Bullshit jobs)」と「クソ仕事(Shit jobs)」は明確に分けている。
定義によると
「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている」
というのがブルシットジョブ。
本書、単行本サイズで400ページ超の上に、ブルシットジョブの実例が延々と続き、なぜブルシットジョブが生まれるのかを学術的に論じている。
なげぇ。
本書を読んで思ったのは”労働がクソ”というわけではなく、”労働時間を換金するシステムがクソ”ということ。
仕事とは労働力から価値を生み出す行為である、はずだ。
しかし、労働時間を換金するというシステムでは、雇用している時間は労働させなければならないということになる。
価値を生み出さず、拘束時間を浪費するだけの労働が発生することになる。
むしろ、海外のブルシットジョブの事例の中で、高学歴高技能かつ高収入のクソどうでもいい仕事が紹介されている。
マネージャーとしては、有能な部下のマネジメントが仕事であるが、有能な部下の存在こそが自分を有能と見せる手段となる。
結果として、有能な部下にクソどうでもいい資料整理、もしくは仕事のフリでもさせておかないと、自らのマネジメントしている(フリ)も明らかになってしまうのだ。
会社の生産性を高めるとは、いかにしてクソどうでもいい仕事を無くし、生産する価値の向上を高めるかという点にあるのだと考えた。
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欧米的な人生観や経済状態と、ある程度日本の現状が違うようでもあり
引用されていた話がどれほど当てはまるのかと思いながらも
グローバル社会においての矛盾点について知っておくことの一助になった。
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自他ともに意味がない無駄な仕事だと、30%くらいの人々が感じていることについての考察
資本主義とか市場原理だからこそ、官僚的で煩雑な事務手続きが増える
ま、あるよね、そういうの
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世界中どこにでも仲間がいる、クソ仕事が溢れ続けることそれ自体によって、資本主義が終わる未来が見える、そんな一冊。
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自分でも気づかなかった悩み・もやもやがすっきりした。ブルシットジョブもいくつかカテゴライズしていて、この研究おもしろと思った。
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無駄な会議や飲み会、サービス残業や週末出勤等等、決して効率的では無い「ブルシット・ジョブ=クソどうでもいい仕事」のせいで、大切なプライベートな時間を奪われているのは日本人だけではない様です。AIやITの発達、コロナ禍によって働き方改革が叫ばれている日本ですが、ブルシット・ジョブが淘汰されるのか、それとも逆に増えていくのか。。。
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コロナ禍でモヤっとしていた、なぜエッセンシャルワーカーの賃金が上がらないのか。ましてや病院でボーナスが出ないとは?
そんな疑問に1つの答えともなり得るブルシットジョブの理論。
なんで効率化の技術が次々と出てきているのに仕事が減らないのか?これも説明可能。
なかなか難解な文章だが、時間をおいて再読してみたい。