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変な意味合いじゃなく、目の保養になる漫画である。
喧嘩の強い男の引き締まった筋肉ってのは、ついつい、見惚れてしまうものじゃないだろうか。
本物の「美」が何なのか、それは私にも判らないが、少なくとも、候補の一つには、男の筋肉がある、と私は思っている。そうでなければ、古今東西の芸術、それらの題材に用いられないはずだ。
奥嶋先生の描く、そんな美しい筋肉を堪能したいのなら、この『入浴ヤンキース』がお勧めだ。
完全にダジャレなタイトルから察せるだろうが、銭湯を舞台にした日常ドラマ系の青年漫画だ。そこに、奥嶋先生が得意とする、ヤンキーものが、しっかりと絡められているので、読みごたえはバッチリ。
念の為に言っておくが、銭湯とは、同性の体を鑑賞するのを楽しむ場ではない。中には、そういう目的で出向いている人もいるだろうが、銭湯を楽しむ、なおかつ、他の人に楽しんでもらうためのマナーとして、それは完全に隠すべきじゃないだろうか。
人によりけりだろうが、やはり、足を伸ばして入れる風呂は良い。一人でゆっくりと入る家風呂の時間も悪くないが、どうしても、時には、大きな風呂に入りたくなるものだ。
しかし、ここ最近、作中に登場する銭湯らしい銭湯を、近場で見かけなくなってしまったのも事実。もちろん、様々なサービスが充実しているスーパー銭湯も悪くないのだけど、こういう昔懐かしい銭湯にも行ってみたいものだ。
竜哉と大河、二人の銭湯を味わい尽くしている様も、実にグッと来る。この歳で「本物」を知る楽しみを味わっている彼らは、きっと、大物になるな、と予感させる。個人的には、表と裏の顔、そのギャップが凄い大河が推しメン。
また、どっかで見た事あるよな、と思うキャラが銭湯の中で見かけるのも、この『入浴ヤンキース』を楽しめるトコだ。
この台詞を引用に選んだのは、「タイガー&ドラゴン」の異名をとるほど、周りのヤンキーから恐れられている二人の絆が、どれほど強いか、が納得できるものなので。
違うからこそ、お互いの良さを知り、足りない部分をカバーし合い、背中を預けられるんでしょうね。
きっと、この二人は何十年後も、マブダチのままでいられそう。実に羨ましい。
「・・・・・・ホント、俺たち、性格とか好みとか、バラバラだよなぁ・・・」(by松井竜哉)