紙の本
明野照葉氏によるとっても興味深い一冊です!
2021/04/03 14:21
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『輪廻RINKAI』、『骨肉』、『聖域』、『冷ややかな肌』、『廃墟のとき』、『禁断』、『その妻』、『チャコズガーデン』、『女神』、『さえずる舌』、『愛しいひと』、『家族トランプ』、『東京ヴィレッジ』、『そっと覗いてみてごらん』など数々の話題作を発表しておられる明野照葉氏の作品です。同書は、30代の若さで事業に成功し、誰もが憧れる優雅な生活をおくる麻生陶子という女性が主人公の物語です。この女性、その美貌とは裏腹に、「理想の人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす人間なのです。その陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいます。しかし、ある日、この歪んだ姉妹関係が崩れ始め、驚愕の真実が明らかになっていきます。一体どのような事実なのでしょうか。
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表紙と帯に惹かれて購入。
明野作品は、初めて。
一言…凄い作家に出会ってしまった。
仕掛けが一つでは、収まらず…。
心を許してページを捲ってると、
突然、来る。
予告も無しに来る。
‘20.12.31読書完了
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再読でした。途中で気がつくパターン。
陶子と久恵、正反対な2人の暮らし。
どっちもどっちだなぁと思いつつ、私は久恵の方が嫌だし、あんな陰険なことされたら…と思うと身震いがする。
途中少し中弛みしてしまったけど、後半は気味が悪いと思いながらも一気に読めた。
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若くして人材派遣会社の社長である『姉』の麻生陶子は、結婚寸前までいった男性を後輩の女性に奪われ、精神を病んで製薬会社を辞めた『妹』の久恵と二人暮らしをしている。
表参道にある会社からほど近いマンションに住み、高級ブランド品を身につけ、それに相応しい容姿を持つ陶子に対して、童顔で背が低く、愚鈍な雰囲気の久恵。陶子はそんな久恵をまるで家政婦のように扱い、ときには感情に任せて暴力さえ振るっていた。そこには人生の勝者と敗者としての力関係が、あからさまに存在していた。
それでも久恵は美しい陶子が好きだった。加えて彼女には生活の面でも面倒をみてもらっていたから、久恵は陶子から離れることはできない。陶子にとっても、心地よい日々を送るためや精神のバランスの維持のために久恵は必要不可欠な存在だった。
しかし、ある男性の出現で二人の関係性に綻びが生じることになる。そのとき久恵がとった恐ろしい行動とは。。。
魅力的な外見を持った人。スタイルのいい人。人当たりのいい人。頭が良い人。わたしが誰かを妬みに近い羨望の眼差しで眺めるとき、当人の見えない努力なんかは想像しないことのほうが多い。生まれつき運がいいんだなと思うことのほうが多い。
だけど、確かに身長や顔の造り、骨格など努力で補うことができないことは多いが、人間の魅力というものはそれだけじゃないと考えてみる。魅力的な人はみんな陰で努力しているのだ。その努力を自分のために楽しんで続けられるよう工夫したり、よりよい自分になるために厳しくあるのだろう。
だからわたしは陶子が好きだ。
そして久恵が嫌いだ。
一見女二人のドロドロした物語のように見えるかもしれないが、これはすごくスカッとした話だと思う。
だって、時間が経ったからってすべてが許されるわけじゃない。
ざまあみろだと思った。
Frailty,thy name is woman.
弱き者よ、汝の名は女なり
この小説のタイトルを見たときに、まずこのフレーズを思い出した。
女は弱く、心変わりが早い。
でもタイトルは『汝の名』だ。その名は女ではない。名前は人それぞれあり、その人だけのものだ。どう生きるかは本人にすべてかかっている。
最初は誰かに憧れてマネをしたとしても、努力をして自分のモノにできたのなら、もうそれはマネなんかじゃない、自分自身の本物の力だ。
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本屋さんで見かけてから、家に帰って読み終わるまであっという間だった。
面白い。
汝の名は。そこに女性の強さと毒が垣間見える。
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作品のタイトルが印象的で手に取りました。
容姿も性格も正反対な二人が姉妹のように一緒に生活を共に
していくうちに、徐々にその形が崩れていくという
ストーリーでとてもスリリングで、ミステリアスで
所々に仕掛けが潜んでいて予想外の展開に驚かせられました。
誰でも人はなりたい人や憧れた人などと想像することが
ありますが、自分がその理想に近づくことで幸福を得たり
満足感を得ることができます。
理想に近づくために努力をすることは良いことだと思いますが、
あまりにもかけ離れていくと、その願望を容易く叶えてしまう
人に遭遇してしまうと、その人を疎ましく思ったりして
しまうと思います。
まさにこの二人はこのタイプで、
初めは陶子の行動は憧れのもだと思えましたが、
これが間違った過去からの延長だったのでがっかりしましたが、
彼女も理想の人間になるために人知れず努力したのかと伺えます。
陶子とは正反対の久恵はあることがきっかけで
普通の生活を送ることが出来なくなってしまったことを
きっかけに陶子に頼りきりになってしまったこと。
そして徐々にその気持ちが変わって心の奥底に
眠っていた牙が出てしまい考えられない行動へ。
ここまでに至る心境の変貌ぶりには本当に驚かされ、
人というのはここまで変わってしまうのかと思わされました。
久恵のしてしまった動機は理解できますが、
やはり人というのは誰かに必要とされたい、
認められたいという気持ちが強く出てくると
それによって行動も遥かに変わってきます。
この作品ではストーリーのような危険な見解になりますが、
現実社会ではこれとは似たようなこともあり得るかと思いました。
解説でもあったように現代ではネット社会が主流になり、
この中で誰しもが「いいね」が多く欲しくなったり、
コメントなどでは多くの賞賛が欲しくなることで
自分の理想のものを作り上げてしまう傾向が多いかと思います。
ということは誰でもこの二人の登場人物のような人間に
なるという可能性もなきにしもならずということになります。
そうなると明日は我が身ということもあると思うので、
自分の欲に負けることなく、なりたい自分に近づけながら
成長していくことが良いのだとも思えました。
書店ではイヤミスと書かれていましたが、
そんなこともなく割としっかりとラストも描かれていたので納得できました。
多少は不気味さを漂わせる余韻でしたが。
それにしても女性同士の関係はどうしても
良い関係や繋がりでいられないのが何とも言えない心境です。
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身勝手な陶子に病的に依存していた久恵。物語が進むにつれその久恵の仕打ちが事件性がありすぎて怖すぎる…とも思ったけど、久恵のその気持ちもわからないでも無い。芯の所はやっぱり気が弱くて地味な久恵でしかなくて少し切なくなった。そしてやっと掴んだ平凡な幸せに最後にはやっぱり壊されてしまう報復も気持ちが良いというよりは辛くなってしまった。
どこまでいっても陶子は陶子で、久恵は久恵。
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本屋でふと目に止まって購入し、読みました。
2人の女性、どちらにも感情移入してあっという間に読み進めました。
ラストもバシッと決まっていて、決して爽やかな内容ではないですが、読み終わりもスッキリ!
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「理想の人生」を求める「姉」と、彼女を崇拝し隷属する「妹」を通し、社会的病理と彼女たちの行動の源となる感情を描いた傑作サスペンス。〈解説〉大矢博子
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本屋でおすすめされてて気になったのがきっかけ。
更にドラマ化して、早く読まなきゃと焦って買った。
話のピークは、めっちゃ面白い展開だと思って楽しめた。特に終盤は終わりまでずっと面白い。
ピークに達するまでが長く、話の展開が掴めなくて疲れてしまう。
展開は面白かったけど、流石にオチはがっつりイヤミスで、言葉を失った。
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久しぶりに所謂イヤミスを読みました。読んだつもりでした。女のドロドロが描かれつつも、何度もどんでん返しがあって、読み終わった今だからこそ1から読み直したい作品です。
姉と妹のどちらに共感するのか、そしてどちらに嫌悪感を抱くのか、この裏表の感情について誰かと語ってみたいです。笑
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新宿駅構内の書店でプッシュされていたので購入。
ストーリーとしては先が読めてしまうものの、中毒性とイヤな爽快感があり、楽しめた。
薬の作用で上手く思考がまとまらない描写が特に技術の高さを感じた。
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私の大好物の女のドロドロ系!と期待して購入。
割と長編だったけど、先が気になり、あっと今に読了。
文章も読みやすくって面白かった!!
だけれども、読了後に悶々とする部分が残ったかも…
プロローグのセレブ女性、麻生科子等、後々出てくると思ってたキャラが出てこない、残念。
あと、最後のエピローグの陶子の復讐がイマイチだった気がする。もっとすごいことを陶子ならやってくれそうだったのにな、残念。
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最後のエピローグまでどんでん返しで面白かった。
女性の騙し合い系のお話はすごくはまる。珍しくあとがきまで読んだけど今の自分と照らし合わせてゾクってなった。
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2人の姉妹のドロドロした関係が強く出てる小説。
私は姉のスパっとした行動力が気持ちよくて好きです。最後にはどんでん返しがあるので、楽しめます。