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このシリーズは色んな成分が混じり合ってて、ほんまに面白い。
著者あとがきと謝辞もええなーと思ってたら、解説の人も言及してた。
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ヘニング・マンケルのシリーズ主人公バランダーのシリーズは、主人公の心臓が止まるところで終わるという驚愕のエンディングを迎えたが、本書では、トム・マクマートリーが同じようなエンディングを迎えるのか、はたまた事件解決と主人公の寿命とがどのような絡み合いを見せてゆくのか、という事件とは別種のはらはら感に読者は付きまとわれることになる。
そして本書で初めてわかったのだが、『ザ・プロフェッサー』『黒と白のはざま』は全四部作シリーズの前半部分であったのだ。本書が後半の一作で、全体をなす起承転結で言えば「転」となる作品になるのかと思う。
つまりこのシリーズは、次作を持って一端終わりを迎えることになるらしい。その「転」独特の緊張感は、本書後半になって加速してゆく。最初はどう見ても逆転しようのない勝機のない裁判に、なぜトムが挑むのか? と疑問符付きのトムの直感任せでストーリーは始まる。どう見ても明らかに見える犯人像、とトムを訪れる14歳の少女の奥に見え隠れする真実らしきものへの主人公の拘りが、本書を引っ張る最初の力として提示される。
そして相手も味方もまた前二作でトムとスクラムを組んだかつての教え子たち。そう、またしてもスポ根アメフト時代からの師弟しがらみを土台に、濃い目の魅力的なサブキャラクターたちが、それぞれの立場からトムを囲繞し、丁々発止の駆け引きと、二転三転する事件の奥行きに向けて活躍してくれるのである。
トムの仲間たちが敵味方に分かれることによるトムの心境もさることながら、それぞれが引きずってきた前作までの物語と、さらに覆されトムたちに闘いを挑んでくる巨悪たちの非情さが、よりスリリングな物語を紡いでゆき、物語は底が見えなくなる。
死と闘うトムの先行き、相対する人間模様と、愛憎の複雑な図式。一作目から順番に読まないと、前作へのネタバラシにもなりかねない内容であることを留意されたい。そして最終作へと続いてゆく、まだまだ目の前に積まれた宿題たち。眼が離せないシリーズの「転」期を、是非味わって頂きたい。
そして作者のあとがきで、作者の周辺の状況も明らかになるのだが、作品の誕生秘話としても、作風を決定する上での肉付けの意味でも重要な裏話に読者は触れることになります。ますます応援したくなる本シリーズ、最終作がとにもかくにも待ち遠しい限り。
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このシリーズ好きだな。
ついでに撮った胸部レントゲンで肺がんが見つかるくだりが出てくるけれど、米国は年に1回の健康診断とかないのかな。
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CL 2021.6.25-2021.7.1
面白かったけど、
前作、前々作からの話が多すぎて、これ絶対前を知っていないとわからないことばかりで、単発では読めないのはどうかと思う。
あと、主人公の"元教授“が特権意識の塊でほんと嫌い。
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胸アツ法廷ミステリー。「プロフェッサー」「白と黒のはざま」に続く第三弾。主人公トムが言う『悲しみもまた人生の一部なのだ、しかし最後には希望が勝つ』全編を流れるテーマがこれだと思う。救いと希望があるラスト…読後はとても良い。
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突然の事故で父親を失った相棒リックが一時的に「マクマートリー&ドレイク法律事務所」を離れ、一人で弁護士業務を請け負うことになったトム。そんな最中、事務所に一人の少女が現れ、殺人事件の容疑者として逮捕された母親の弁護をトムに依頼する。被害者はトムとリックにとって宿敵の男。そして容疑をかけられた母親は、あの因縁の人物だった‐‐。自身に忍び寄る「影」に不安を抱きながら、「まさか」の男たちを相手に、誰が見ても負けと思われる「最後の裁判」に挑むトム。彼と、彼を全力で支える者たち、そして全力で立ち向かう者たちを描く、大好評胸アツ法廷シリーズ、待望の第3弾!
正統派のリーガルミステリが帰ってまいりました。満足です。大甘の星五つ!
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(第一作の「ザ・プロフェッサー」のネタバレ少しあり)元トラック運送会社の社長で、矯正施から出てきたばかりのジャック・ウィリストーンは射殺された。逮捕されたのは、元ストリッパーのウィルマ。偽証してあげたのに約束の金が払われなかった。DNAの証拠はウィルマを示している。ウィルマの娘が弁護を依頼したのは、かつて母親を罪人にした弁護士トム・マクマートリーだった・・・
面白かった。面白すぎだった。正義とは何か、悪とは何か。法廷闘争と人間ドラマを究極にまで燃え尽くす最高の小説だった。四部作の最終作の次作が待ちきれない。訳文が凄く巧いのも関係あるのかも。
※ネタバレ
ウィリストーンの前妻バーバラはダウン症の子供のためにも彼の生命保険の受取人を息子にしてくれと何度も頼んでいた。今の妻キャサリンは三百万ドルの保険金を逃すわけにはいかない。違法な商売に手を染める父親ブリーと共謀し、受取人の変更届を受け取った担当弁護士から脅し取る。
ウィルマはずっと犯行のあった晩に何があったか証言しなかった。それは自分の娘が犯人だからと思っていたから。目撃証言が出たので有罪答弁をする。しかし真犯人は同じような格好をした自分の娘だった。ブリーの手下フィリピン人のマニーも関わっていたようだ。その辺は次作で明らかになるような気が。しこたまウィスキーを飲みつつ読んだので若干記憶が曖昧なり。
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良かった。難しい裁判をどうやっていくのかドキドキだったし、トムの健康状態の記述で、読むのが怖い程だった。様々な人の生きる術、虐げられる人、丁寧な描き方に垣間見る営み、全てに拍手を送りたい。
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シリーズ第3作。引き続き面白かったが、これまでのようなサスペンスには少し欠けて、教授の心証に中心が置かれた内容だった。最近は不死身のヒーローではなく、主人公側年を取り、人生の終盤を迎えることをきちんと書く話が多くてとても良いが、これもその一つ。むしろ後書きにあった、更に続編が出ていることに驚く。これが大どんでん返しか!
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シリーズ三冊目。やはり「もう年は取れない」より好感が持てる。バック・シャッツの方が10歳くらい上のはずなので仕方ないのかもしれないが。それにしても、若僧役であまりいいところのなかったリックは今回、登場シーンからしておいしい。解説で触れられているとおり素晴らしいあとがきと謝辞だったし、四巻があるのもうれしい驚きだった。
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私にとっては、まさにパスタ小説(パスタをゆでてる間も読みたい小説by春樹)
読みだしたら止まらない。
このタイトルからしたら、(トムも膀胱がんを患っていたし)トムが死んじゃって終わりになるのかと思った。
けど、あと1作でいよいよラストになるみたいだ。
あー、ボーがあのブリー・カルホーンの”始末屋”マニー(フィオイピン人の女性)に殺されなくて良かった。
(間一髪でリックが来てくれて)
リックの父親の交通事故も、マニーが絡んでいたとは。
でも、トムがかかわる弁護に波及して死者がでるのは、どうなの。今回も友人のレル(私立探偵)の弟アルヴィンがマニーに殺されるし、裏でブリー・カルホーンと組んでいた弁護士のグレッグ・ゾーンも殺されるし、まっこの場合は口封じだろうけど、
最後の最後であの学生が出てきて、”ウィルマ・ニュートン”を見たといった時は、そんなぁと思ったけど、娘のローリーとよく似ているという伏線があって娘の方だったのね。
でも、すべては娘たちのためにと生きてるウィルマは罪をかぶろうとした。
友人のパウエルとウェイド(検事側)と敵対することになったトムとボーだけど、(ここもこの小説を面白くさせてる。)
最後は自分の信念でお互いに和解できた。
そこが前作の親友だった男の裏切りとは違くてほっとしたよ。
次作の”The Final Reckoning”はいつ翻訳されるんだろう。
今回も1作めの内容を踏襲しているので、もう記憶が薄らいでいて…。
忘れないうちに読みたいわ。
あの冷徹で非凡な体力を持つ死刑囚、ボーセフィス・ヘインズとの対決になるようだ。
楽しみに待とう。
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読書備忘録602号。
オリンピックなどのお陰で読書が進まなかった8月。やっと4冊目。笑
★★★★★。
老弁護士が活躍するリーガル・スリラーシリーズ第三作。
どうやら四部作のようです。
第一作から第二作を飛び越えて繋がっています。完璧です。面白過ぎました。笑
第一作でトムが弁護士として復活するきっかけとなった事件。ある交差点での交通事故。輸送トラックと家族の乗った乗用車。トラックの運転手と乗用車の家族3人、合計4人が死亡。家族の親族がトラックを運行していた運送会社を相手取って裁判を起こす。トムに原告側弁護を依頼。
結果は、スピード超過を繰り返していた運送業者と、運送業者の経営者ジャック・ウィリストーンが証人の証言を不法な手段で黙らせたことが暴かれた結果、原告の勝利。
今作、アラバマ州タスカルーサの川岸で男が殺された。殺されたのは前回、法で裁かれ服役していたジャック・ウィリストーン。仮出所した翌日の夜に拳銃で撃たれて殺された。容疑者として浮かび上がってきたのはウィルマ・ニュートン。交差点事故のトラック運転手の妻。前回の裁判では、夫が恒常的に無理な運行をさせられていたのを知っていたにも関わらず、ジャックに脅されて証言しなかった当人。トムと相棒のリックには証言すると言っておきながら裏切った極悪人。笑
殺害に使われた拳銃はウィルマの所持品で、指紋もウィルマのものだけが検出された。ジャックが殺される前レストランで言い争っているところを監視カメラの映像として残っていることから、検察は殺人として死刑を求刑する。検察はトムの教え子で第二作でジムボーンを逮捕したパウエル。すなわちトムの親友。
トムの元に14歳の少女が訪れる。母親の弁護をして欲しいと。そう、ウィルマの2人の娘のうちの一人。
トムは親友と戦うことを悩む。しかし娘の願いに何かを感じ、これを引き受ける。
そして、絶対的証拠に裏付けられた殺人事件の被告弁護人として99.99%勝てない勝負に挑む!
物語は証拠の完全性に綻ばせるために、真犯人の存在を見つけること。
ジャックはステージⅣの癌で余命あとわずかであったことが検死から判明する。ジャックに掛けられていた300万ドルの保険金。保険金に対するジャックの前妻バーバラの思惑。ジャックの現妻キャサリンとその父カルホーンも保険金狙い。カルホーンが雇っている暗殺者のフィリピン人女がカルホーンの周辺を探る連中を排除していく・・・。
殺人事件を目撃するも、奨学金を得るために大学教授と川岸でセックスしていたことがばれることを恐れる女子大生。
そして死刑因で服役中の不気味なジムボーン・ウィーラー。
真の殺人犯は誰なのか?最後はどんでん返し。良いのでしょうか?これで。真実はこうじゃないですよね?笑
罪を犯しても弱者は救われるということ?笑
膀胱がんを克服したトムが、なんと末期の肺がんに侵されて余命半年となったこと以外全て大団円?まあめちゃくちゃ面白かったから良いですけどね。
そして、第四作。どっこいトムは健在という。ジムボーンとの最後の戦い!早く刊行されないかな。
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「ハラハラドキドキする小説」「善と悪の法廷劇」という文言に興味を惹かれました。シリーズ3作目ということでどうしようかな……と迷いましたが、結局1作目から3冊読了しました。アメリカの南部州(アラバマ、テネシー)を舞台にした法廷劇で、序盤はいろいろと困難な局面があり気が滅入るところもあるものの、途中からギュイーンとスピードアップしていく展開が痛快でした。シリーズ作品を「最初から読むか途中から読むか」問題も難しいものがありますが、このシリーズに関しては1作目から読んだ方が良いと思います。ストーリーや登場人物に連続性があるので。最近4作目が出たみたいですが、これも読むべきでしょうか。
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このシリーズも三作目となった。
全四作らしいので次がトム最後の闘いとなる。
物語に起承転結があるようにこの四作そのものが
起承転結となっており今作は転になる。
一作目の闘いがこんな形で繋がってたとは…
驚きと感動です(*_*)
トムの病魔との闘いもラストどうなるか?
熱い男達の闘いを最後まで見届けたい!
お願いだから皆んな死なないで‼︎
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「悲しみもまた人生の一部である。」
もしあなたの人生の一部に本作の主人公トーマス・ジャクソン・マクマートリーが存在しないのであれば、それこそが悲しみと言ってしまってよいのではないかと思う
ロバート・ベイリーによって生み出された彼と彼の仲間たちの闘いはあなたがあなたの人生を生きる上で、必ず助けとなってくれるでしょう
四部作の第三作である本書は第三作にして「ラスト・トライアル(最後の審判)」と銘打たれ、トムの最後となる法廷劇を追います
なんと今回はかつてトムを苦しめた証言者の弁護を引き受け、幾度となく彼を助けた元教え子と友人が検察側となって闘うことになります
敵が味方で、味方が敵で
うーん、もう面白い
そして今回は法廷が進む中での真犯人探しもなかなか魅せます
そして多くの悲しみの中の真実が表に出たとき、そこにあるのは絶望か、希望か
それにしてもあとがきでこんな泣かせるって
このあとがきのためにある物語なんよな
「悲しみもまた人生の一部である。しかし、最後には常に希望が勝つ」
四部作の最終作『最後の審判』は希望が勝つ物語なのが確定しております
どんな勝ち方か見届けるのだ!
(第三作と第四作が日本語に訳すとほぼ同じ題名なんよな)