紙の本
北条政子の視点で歴史を
2022/01/24 10:31
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
北条政子を主人公として、伊豆の田舎に生まれた女性として、その視点から、歴史の転換点を見つめる物語。一人の女性として、源頼朝の妻となったことは幸せであったかどうかは、一概には決めることはできない。母として子は孫を、次々に亡くさざる得なかった時の流れに、哀しいものを感じる。
紙の本
辛すぎる運命
2023/08/13 20:19
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて読んだ時、子ども達、孫達のあまりにも辛すぎる運命になんとも言えない思いがしました。永井路子の描く北条政子は愛憎が激しいとはいえごく普通の女性であり、実家の為に子どもたちを見殺しにしたわけでもなく、何故このようなことになってしまったのか悲しすぎます。また乳母、乳母夫に注目した人間相関図がとても興味深く、説得力がありました。
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【2022大河ドラマで話題の北条一族の中心にいた政子の生涯
】伊豆の豪族北条時政の娘は流人源頼朝に恋をする。源平の合戦、鎌倉幕府成立、歴史の激流にもまれ乱世を生き抜く女を描いた歴史長編。
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歴史上に名を残した女性の中でも特に有名であろう、尼将軍、北条政子。
将来の見えない流人の頼朝と恋に落ち、結婚したところから彼女の運命は大きな歴史の流れに飲み込まれていく。
感情のままに行動してしまう自分を持て余しながらも、夫や子ども、孫を愛し支えようともがく。子どもたちへ愛情が伝わらないもどかしさや信頼関係が築けないことへの絶望感、孫からの裏切り‥。
のちに御家人たちを力強く鼓舞した政子とはかけ離れた、生身の女性の悲哀が印象的。
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学生の頃から存在は知っていたんですが、「女性が書く戦国物(鎌倉ですが)は女性寄りの恋愛絡みのものになるから読みたくない」という偏見のもと、読まないままでした。炎環を先に読んでたら、絶対に読んでた、とは思う。
とはいえ、偏見はそんなに外れてなかったかな、と。
今、自分が歳をとったから、夫との関係、子供との関係も共感しながら読めるけど、学生の時に読んでたら、理解出来なかったと思う。
女の立場から見た、家族の安全のみのことしか考えてない主婦的なものではなく、自身をとりまく政治関係までちゃんと理解した御台様としての視点も描かれていたの良かった。
「女性的な見方」というのは、今までの社会の「妻はこうあるべき」という偏見から生まれたものであって、悪女というのもその視点から生まれた物なんだろうな、と反省もしました。政治に口を出して社会を惑わす悪女、というのは男の世界に口を出すな、の現れだけど、それが社会を維持するための口出しなら、それは男も女も関係ない。ただ、男がプライドのために「口出しするな」と言っているに過ぎない。
政子が深層の姫君ではなく、黎明期から共にしたからこそ、家々の立場を理解して立ち回ってるの、凄いと思う。女性であることも捨てず、社会の役割を果たす。戦後書かれた小説なのに、今の女性進出の世相をよく現しているように思う。
そしてどこの鎌倉を読んでも、「三郎兄さん…好き…♡」てなるので、ほんとに良い人は早く死んでしまうのね…とつくづく思う。
来年の大河、楽しみです!
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日本3代悪女と言われた北条政子だが、本当は自分に素直で情が深い人だったんだと思いました。その情から生涯悲劇を招いたようですね。ふと思ったのが、夫の源頼朝が長生きしたら悲劇が繰り返され無かったのかも。また、頼朝の浮気癖がかわいい。
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頼朝の妻として、大姫、頼家らの母として
そして女としての政子。悪女との誉れ高き政子の生涯を永井路子先生の本で読んでみて益々2022年の大河ドラマが楽しみになった。
時代は平安末期の伊豆、あの政子にも女の子らしい悩みもときめきもあった。そして妻になり嫉妬に燃え、母としての様々な怒濤のような悩み、出来事。歴史上の女性であったとしても間違いなくひとりの人間、ひとりの女で、辛さも悩みも涙も私たちと何ら変わらない。辛い生涯を描くこの小説のそのまた後にも尼となり生き抜く逞しい女性に『悪女』というレッテルはまさしく似合ってしまうのか…。
永井路子先生の小説で私は日本史が好きになりました。
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教科書に記載されてる退屈な字面以上の意識しか無かった鎌倉時代が、政子の嫉妬や愛情、後悔など生身の人間感を通して一気に立体的に色がついたイメージに変わった。
おかげで、鎌倉時代からそれ以前の時代物も興味を持てる様になった。
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観るにあたり、知識を補おうととっさに浮かんだ本作。政子自身の妻や母親の視点で書かれているが、鎌倉時代の大きな流れを理解するには適切な選択だった。
『吾妻鏡』などの資料をもとに永井さんは政子像を描いている。そもそも女性は歴史資料に残っていないことが多く、「政子」と云う名も、三代将軍実朝の時代になり朝廷から官位を授かった際に、父の名から一字もらってつけられている。頼朝の時代に果たして”政子”とは呼ばれていたのだろうか。平家との争いだけでなく、乳母一族との権力争いも凄まじい。はからずも将軍の妻、そして将軍の母になってしまった政子が、子を愛したい、子に愛されたいと願いながらも立場上許されず、夫の頼朝や大姫ら4人の子供と孫にまで先立たれてしまった悲しみに胸が痛んだ。
小説に登場する人物たちに、ドラマで活躍する役者の顔を重ね合わせて一気に読み終えることができた。
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それにしてもすさまじい一生である。
北条というと、頼朝のと血のつながる者たちが亡くなったおかげで幕府の実権を握れた一族。ただ、政子の立場からすると、長女は政略結婚の末の悲劇を嘆いて若くして亡くなり、長男は精神を病み、次男は長男の子どもに殺されるいったように、これ以上不幸なことはないというひどい目に合う。
これらもすべて日本で初めての武士の政権の確立のために仕方が無かったといってしまえばそうなのだが、政子の中ではいかばかりの葛藤があったのか。本書では、そうした政子に思いを馳せる。
物語は、実朝が殺されたところで終わる。自分の人生を狂わせた幕府を憎むこともあっただろうが、承久の乱では政子は幕府を救う。本当に強いひとなんだと思う。
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北条政子。まさに波乱万丈の生涯であった女性の物語である。夫である頼朝、大姫、三幡、頼家、実朝、そして公暁と次々と身内をなくしていく。
母であり、女である政子は、最後には尼将軍として、京の都に対抗すべく、坂東武者の世の中を支えていく。
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大河ドラマの題材の元となった歴史小説は、年に一度読んでも良いなと思うくらい面白かった。強い女性、ファーストレディー、承久の乱前の演説のイメージしかなかったが、生々しく、嫉妬深く、ひたむきな女性としての北条政子が描かれている。『ひたむきで潔癖な大姫と頼朝はおそらく生涯平行線を辿るだろう。』
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大河ドラマの影響で、北条政子その人に興味を持った。
政子の心の動きを細やかに捉え、鮮やかに描いている。
時代の波が容赦なく政子を悲しみに陥れる。
果たして本当に彼女は悪女だったろうか。
この本では政子を悪女としては書いていない。
一人の女、一人の妻、一人の母、一人の祖母として書かれている。
妬みや恨み、裏切りや悲しい死に囲まれ、悪女になるなと言う方が無理である。
ただ自分のわがままや欲望のために生きた人ではなく、深い愛情を与え続けたにもかかわらず、報われなかった悲しい人生の人であった。
当然、最終的にはどのような人生として受け入れていたかは、政子本人にしか分からない。
それでも、同情したり、同苦せずにはいられなかった。
ただの歴史の波に飲み込まれてしまった人には思えなかった。
その悲しさの中でも、自分の行動に後悔しもがきながら必死で生き抜いた強い人だっただろうことが見て取れた。
少なくとも同じ人間なのだなと、どこか身近に感じてしまう。
女性が書いているので当然なのだが、文章の印象がすごく女性的であった。
ページ数は600近く気後れしそうになるが、実際は改行も多く、文章が柔らかいために長く感じなかった。
むしろ残り少なくなってくるにしたがって、どう着地させるのかと楽しみであった。
終始、一貫した政子の印象のまま着地されていて、その余韻がまた色々と想像させてくれる。
大河ドラマの予習にもなったのだが、今後どのように政子を描いていくのか、比べる楽しみが増えた。
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桜田晋也氏は政子が黒幕説をとっているが、永井路子氏は外野が黒幕で実朝が殺されたのは乳母同志の争いとのこと。
頼家、実朝が悪人のように書かれていて吾妻鏡は読む人によって歴史の流れは一緒なのに解釈が全然違ってくる。
桜田晋也氏はこれでもかと言うぐらい政子を貶め、極悪のように書いているのでこの本を読んで心安らぐ。大河にもなったようなのでソフトにかいてあるんだろうなぁ、
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歴史の授業でしか北条政子に触れてこなかった私は、鎌倉殿の13人で興味を持ち購入。
従来の冷たいイメージだった北条政子が、娘や妻、母として悩みながら生き抜く姿が生き生きを描かれていた。ちょうど鎌倉殿〜を見ながらの読書だったので、小池栄子の小気味良い政子像とも重なり、とても面白く読めた。
時代物は登場人物が多く、また名前も現代からすると難解に感じるので、途中から「この人どなたでしたっけ?」現象がよく起きるが、そこまで登場人物も多くなく、また大河も影響もあってすんなりと読むことができた。