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#読了 歴史小説を読んでいたはずなのに、恋愛小説を読んでいるような気分になってしまった。それでもしっかり歴史小説としても面白く、一気読み。
北条政子といえば日本の悪女代表みたいなイメージなんだけど、この本の中の政子はそうではなかった。気性の激しさ、愛情の深さによって、家族との縁がねじれていく。特に大姫、頼家は政子の性格をよく受け継いてでいて、それが悲劇を引き寄せることになってしまうのが辛い。
実朝や大姫なんかの顛末は他の本や漫画でなんとなく知っていたんだけど、政子は自分の子供に全員先立たれているんだね。
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岩下志麻の政子役が懐かしい大河ドラマ「草燃える」の原作の一つ。永井さんの確かな史観による名作で、下手な解説書より分かり易く、読み易い。頼朝挙兵から実朝暗殺までの世の中。源氏の骨肉の争い、まるでヤクザの抗争のような血で血を洗う権力闘争の中で、妻・母・祖母、或いは一人の女としてオロオロし、葛藤する血の通った政子像が描かれる。考証緻密な歴史小説であると同時にドロドロの恋愛小説、残酷な家族小説でもあり、読み応えは十分。脇役の女たちの描き方もさすがで、大姫&静御前のエピソードなどは胸が締めつけられた。
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鎌倉殿の13人の副読本的に読了。
政子視点だと、夫も親も子も孫も「指の間から水がこぼれ落ちるように」死んでいく。血みどろ殺し合いの中世の世界の痛みを感じさせるストーリーだった。
小池栄子さんを重ねながら読みました。
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人の人生にはいろいろな側面がある。この「北条政子」に関しては、愛した男であり冷徹な武家政権の創始者である頼朝との夫婦の愛憎を前段として、その子達との関係について、よくある母親の娘や息子・孫への深い愛情や絶望等を、頼朝の妻でありその子であるという特殊な立場にまつわる結果として、女性作家の目から抉るようにリアルに表現する。
これほどの母親の想いや悲しみは男には描けないだろう。
前半の頼朝による北条家との旗揚げや鎌倉幕府の御家人体制構築等牧歌的な創業の空気が後半になり、幕府成立後一気にシリアスな内部抗争と親子の確執へと急展開する。「明の静」から「暗の動」への転換も読む人を引き込みこの物語をより面白くする。
大姫、頼家、実朝そして孫の公暁等母親・叔母として政子の彼らへ深い愛情がその深さ故に幾重にも屈折・乱反射して繰り返しの悲劇を生む。
武家政権誕生の歴史的場面における、それを共に実現した女性の赤裸々で人間的な心の物語である。
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女性目線で描かれた北条政子伝。細かい心の動きが丁寧に描写されていて引き込まれます。
欲を言えば、実朝暗殺のところで終わってしまっているので、承久の乱まで見たかったというのはあります。
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政子は、ただ愛して生きただけなのかもしれません。炎のように激しく熱すぎただけなのかもしれません。娘たちも息子たちも、孫たちまで、若すぎる非業の死を見なければならなかったなんて…。
物語は公暁の死で終わっていますが、「尼将軍」としての多難と重責と凄絶な孤独を甘んじて受ける覚悟ができていたような感じです。
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北条政子を主人公とした歴史小説。北条政子は悪女イメージが強いが、愛に生きた人と描かれる。北条政子の生き方は現代人にも刺さる。大姫の存在は現代人のメンタルヘルス問題にも通じる。
木曽義孝を殺されて心を閉ざした大姫を見て源頼朝は「大丈夫か」と尋ねる。政子は「わかりません」と答える。どう見ても大姫は大丈夫ではない(226頁)。「大丈夫か」は無意味な質問である。大丈夫との回答が欲しいだけである。それによって責任を回避しようとする心理である。
源頼家は蹴鞠に熱中した。若手側近達にも蹴鞠を練習させた。『吾妻鏡』は将軍家の公家文化への傾倒に批判的であった。二一世紀人は接待ゴルフや宴会、無駄な会議で仕事している感を出す人々に重ね合わせて批判できる。
「蹴鞠というしろもの、どうも現代のゴルフに似ているらしい。これをやると、何か高級なことをやっているような感じがし、しかもいったんとりつかれると熱病にかかったように凝りはじめる」
蹴鞠は当時の教養人の社交とする見方がある。接待ゴルフや宴会を肯定する昭和の感覚では、むしろ当時の人々にとって意味のある教養と頼家を支持するかもしれない。しかし、それは二一世紀の感覚ではない。ゴルフや宴会を重要なコミュニケーションの場とする昭和の感覚に反感を覚える改革志向の民間感覚を持った人々は『吾妻鏡』に共感できる。
NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第二十回「家康への文」でも明智光秀は蹴鞠に興じる朝倉義景に対して、「何が蹴鞠だ」と怒る。ゴルフに興じて仕事をしない重役に腹を立てるビジネスパーソンの共感を集める。
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『鎌倉殿』ロスに供えて読み始めました。
1979年の大河ドラマ『草燃える』は、この『北条政子』(1969年刊行)と『炎環』(1964年刊行)が原作。
中学生の頃に一度読んでいるんですが、嵐の中、政子が頼朝の元へ走っていくのが冒頭と記憶していたらちょっと違いました。
そのほか、実朝が造らせた船が海辺で朽ちてゆき、泣き声が聞こえると人々が怯えるんですが、実は公暁と駒若がイチャつく声だったという場面が印象に残っています。
(竹宮惠子が少年愛というジャンルは確立していましたが、BLシーンはまだめずらしく、中学生だったので衝撃的でした。)
あとはほとんど覚えておらず、行き遅れの政子が「体をもてあます」とか、頼朝との逢瀬とか、あー、そうかこのへんが苦手で、その後、時代小説へと向かわなかったんだと思い出しました。
(時代小説ってなぜお色気場面がお約束なの?)
全体的に政子は気が強いけれど、悪女ではなく、時代の中で政治に巻き込まれてしまった孤独な女性として描かれています。
比企討伐が息子頼家を若狭局に取られた政子の嫉妬を契機としているように、女を強調しすぎてる感はありますが、書かれた時代的にはしょうがないのかも。
宗時兄にブラコン気味だったり、四郎義時は無口で愛想がないと書かれていたり、『鎌倉殿』とのキャラクターの違いとか、事件をどう描くのか比較しながら読むのがおもしろかったです。
実朝暗殺の黒幕が三浦義村となっているのは当時としてはわりと斬新な解釈だったのではないでしょうか。
承久の乱の政子の演説ではなく、実朝暗殺までで終わっているので、政子の孤独が際立つラストだなと思います。
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で鎌倉時代に興味を持った。ドラマは北条義時視点だったが、本書は姉の政子視点で描かれている。
登場人物が多く、背景についての解説も少ないため、ドラマを見ていなかったら途中で脱落していたと思う。ドラマ視聴後の読書のため、登場人物の顔とキャラクターが生き生きと思い出されて楽しく読めた。
時系列としては、鎌楽幕府の成立が軸になっているが、小説のイベントは女の政子の視点なので、家族の出来事を軸に描かれている。そしてそれが面白い。よくある歴史小説とは異なり歴史上の人物が血のつながる家族であり、欲に振り回される人間であり、良かれと思った行動が地獄に続いている皮肉であり、渦中の人間の視野狭窄が体験できる小説だった。
物語というメディアは他者の人生を追体験するための装置なのだと思い知らされた。
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大河ドラマでこの時代と北条政子に興味を持って手に取った。頼朝との出会いから実朝暗殺まで、文庫本で約600頁、ボリュームのある作品だった。
昨年の大河が「マンガ日本の歴史」なら、こちらは少女漫画「北条政子」のようだったが、解説にも史実に基づいての歴史解釈がしっかりしているとあるように、改めてこの時代の出来事を少し理解できたように思う。
これまで北条政子は自分の子供を殺す冷酷な悪女だと思っていたが、現代とは価値観も死生観も異なる激動の時代を一生懸命生き抜いた聡明な女性というイメージも加わった。
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愛する者のためにただの女で、妻で、母で、祖母でたまたま御台所だった。うまく歯車が噛み合わない。時代に翻弄されてしまったね。
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政子は女としても妻としてもまずまず幸せだったのではと思う。大恋愛の末結婚し、夫は浮気はするも夫婦仲はいい。
ただ、全ての子どもに先立たれ、母としては悲惨としか言いようがない。
しかし政子が政治の表舞台に顔を出すのは夫も子ども達も全て失ったあと。尼将軍になった後の様子を知りたかったけど、この小説は実朝暗殺までしか書かれていばい。残念!