投稿元:
レビューを見る
読み始める前、本の分厚さにたじろぐ。なかなか進まない感じがしたのは、物語内での時間の進み方がゆっくり(その分濃密に描かれているということだと思う)で、場所もほぼ移動しないからかな。読み終わえて、久々の「ガッツリ本格」。後半になるに従って、傍点での強調が増えてくる。そうそう、本格ってこういう感じだよね(人物関係図や建物や部屋の見取り図もあるし)と、新本格の初期のころの作家さんたちを思い出す。ロジックもしっかりしていて、最近で言うと『屍人荘の殺人』とか『medium』を連想する。結論:値段とページ数に見合うだけの満足感。
投稿元:
レビューを見る
長編も長編。
まっちゃんから譲り受けた本!!!
もうこれでもか!!!ってくらい伏線はりまくって。怪しい人散々出てきて、なんかんだ弄り倒してトリックを腹一杯仕掛けて最後に丁寧に紐解いていく。
もう、前回のときから結構ありえないペースで事件に巻き込まれるし。偶然じゃ済まないくらいの自然災害に見舞われるし。もうこれはミステリー界のファンタジーと言っても過言じゃないな。笑笑
仕掛け人の思うとーりにみんな動くし、証拠にバレないし、うまくうまーくラストまで正体隠しまくる。それなのに、やたらめったらヒントがそこら中に転がっててさ。
なんとなーく、そうくるかなぁーって途中で思ったりね。笑笑
ミステリーゲームみたいな本。
一つ一つひろって、話聞いていってだんだん絞り込んでく過程が、まるでゲームのようです。
いろーーんなトリックいっぺんに楽しめるけど、毎回こんなに伏線張ってトリック仕掛けて、解明して大変だろうな。作者。と、いう感想が一番に湧き上がります。
一言で言えば現実味はゼロかな、、笑笑
投稿元:
レビューを見る
続編だと知らずに読んだ。
紅蓮館、読んでなくても読めるけど、
読んでいた方が楽しめそう。
前半、頼みの名探偵がうじうじモードなので…。
久々に新本格の長編を読んで、
もうめちゃくちゃ楽しかった。
心理描写が多めなので、
ちょっとラノベっぽいかも。
私はそういうところも含めて楽しめました。
わかりやすい伏線だらけなので、
真犯人を探しながら読むのもきっとたのしい。
投稿元:
レビューを見る
前作の物語としての幕切れがいまいち腑に落ちていなかったが、今作への布石だったのなら理解できる。小説としてはリーダビリティも高く、読み応えがある。その上水害への防災意識を高めてくれるというおまけ付き(そんな狙いはないかもしれないが)。ミステリとしてはやや疑問が残らないこともないが、よくまとまっているといえるのではないだろうか。続きも楽しみだ。
投稿元:
レビューを見る
紅蓮館の殺人に次ぐシリーズ2作目。
天災により生じたクローズドサークルで起きる連続殺人の謎解きとその場からの脱出というコンセプトは共通だけれども、前作よりもグッと完成度が高い印象。
600ページの中、そこかしこにばら撒いた手がかりをきっちりきっちり伏線回収していく手腕には感服。特にとある人物の特徴的な性格というか人生観をも本筋に収斂される展開には正直やられたと思った。
と言いつつも、一点気になった点も。ラストの犯人を追い詰める展開まではまったく申し分無いのだけれど、犯人像というか犯人の人格形成に至る経緯が語られないのは少々物足りないかな、と。
とはいえ阿津川辰海の他の作品も読んでみたいなと。
投稿元:
レビューを見る
厚くて、疑心暗鬼な状態が長くて途中挫折しそうになりましたが、最終的に自分の考えた犯人が当たっていたので良かったとします。
投稿元:
レビューを見る
紅蓮館を超える傑作、とのことでしたが、その通りだと思います。
犯人の意外性・頭の良さ、登場人物の心情描写ともに、前作よりも完成度が高かったと思います。
前作の一件で自信をなくし、引きこもってしまった葛城を訪ねた田所が、今度は台風による水害によって葛城邸に閉じ込められてしまう。
数週間前に亡くなった祖父は殺されたのか、という議論がされる中、立て続けに事件が起こる。
葛城一家は全員天才的な頭脳を持っていて、仮説を出し合うシーンは圧巻。
彼らを騙そうとした犯人も、文句なしの天才的な犯行計画を立てていました。
強いて言うなら、動機が弱いかな?
葛城が探偵はどうあるべきなのか、模索しながら進んでいく様子も好きでした。
投稿元:
レビューを見る
分厚くて驚いたが面白かった。探偵の意義についてこじらせてる少年たちはちょっとめんどくさかったが、復活してからはさすが。頭良すぎる家族って大変ね。
投稿元:
レビューを見る
前作「紅蓮館~」と同様のクローズド&タイムリミットサスペンスでありながら、さらにバージョンアップ。探偵と助手を操る、スーパー犯人との対決が見ものだ。エンタメとして十分に楽しめる出来栄えになっている。
探偵とは、いかにあるべきか。助手はいかにあるべきか。本作でも、若き主人公たちが悩む。そんな高校生青春もののテイストを絡めつつ、父を、兄(スーパー犯人の警察官)を超えていく成長物語でもある。現代ミステリとは、ここまでサービスしなきゃいけないんだよ、という高い見本となっている。しかも文庫!
投稿元:
レビューを見る
どんでん返しの繰り返しで、散りばめられた伏線が次々と回収されていく爽快感。登場人物が天才だらけで心理戦が非常に面白い。
前作同様、みんなが隠し事をしているので、怪しいポイントが多すぎて本質につながる糸を掴むのが難しかった。
本格物の雰囲気に引き込まれて、一気に読んでしまう作品だった。
投稿元:
レビューを見る
〈残念だった点〉
・館などの見取り図が巻頭ページにきたのは良いが、今作は大して必要ない(もしかしてミスリードか?と思うくらい必要ない)
・またしても『名探偵の在り方』に拘りすぎる
・台詞回しが舞台調なのが気になる
〈良かった点〉
・謎解きパートは冗長的じゃない
・ユウト君と夏雄の発言だけでも犯人を絞れる
葛城に“名探偵”に戻ってほしくて他人に睡眠薬を飲ませる助手という存在が嫌でした。
葛城も田所も前作からずっと独善的で中途半端で自己中心的にうつります。
そもそも探偵って何かに強要されてやるものじゃないと思うんですが。
投稿元:
レビューを見る
1作目に比べると面白かった。
入れ替わってそうだなーとは思っていたけど、やっぱりその通りだった。
本が厚いわりに何処となく描写が足りなく感じてしまう…
そして、いくら葛城に探偵として復活してほしいからといって自分で事件を起こしてしまう助手…
おじいちゃんが交番に逃げて来た事件があったが、
あれは正が暴力を振るってたってこと?
事件現場の設定が1作目に続いて面白かったが、やや文章が読みづらく感じてしまった。
投稿元:
レビューを見る
台風による大雨の影響で登場人物たちが館に閉じ込められてしまい、次第に水没していくタイムリミット系クローズド・サークル。名探偵の苦悩、怪しい一族、首のない死体など本格のガジェットが満載で、本筋ではない細かい謎を解いては新たな手掛かりを得て本筋の推理を補強していく流れは中だるみせず解決編もドラマチックでしたが、真犯人の思惑通りに行きすぎでご都合主義的な感がありました。
とはいえ、本格好きの読者なら満足出来る一冊になっていると思います。
投稿元:
レビューを見る
2022このミス5位
読み応えのあるとても面白い作品でした。
シリーズ2作目とは知らず読み始めましたが、特に問題なく楽しめました。
迫り来る洪水と殺人鬼に終始ドキドキさせられました。1作目も読んでみたいです。
投稿元:
レビューを見る
「紅蓮館の殺人」に引き続き、今回も連続殺人と迫りくる災害の緊迫感がたまらないミステリ。前作で失意を抱え、不登校になってしまった葛城に会うため、青海館を訪れた田所と三谷。やがて起こる殺人と、豪雨による洪水。果たして謎を解き生還することができるのか、そして葛城は「名探偵」として復活できるのか。かなりのボリュームの作品ですが、読み始めると止まりません。
前回の心の傷を抱えたままの葛城がとにかく痛々しくて苦しいです。彼の家族の姿も、一見理想的に思えるのにその裏にはとてつもなく不穏で息苦しいものがありました。祖父の死にまつわる疑念、起こった殺人に関する疑心暗鬼と、身内の体面を守るためにのみ見せる強い結束。なんだか怖すぎるぞこの一族。
そして最も愛し信頼していた存在を喪ってしまった葛城は、もはや再起不能なんじゃないかとすら思えてしまいました。あまりに耐え難い。読んでいるこちらまでつらくなります。葛城を必死で立ち直らせようとする田所もなかなかに悩んでいるし、三谷の存在がなければ救いようがなかったかもしれません。彼、いいキャラだよね。
新たに彼らが見出した「名探偵」としての存在意義にも感動。名探偵は○○○○。素晴らしい! 家族それぞれの抱えた嘘と苦悩を穏やかに繙いてゆく解決も実に見事です。そして犯人もまた凄絶でした……これ、ミステリ史上に残るレベルの名犯人かもしれません。恐ろしすぎる。
このシリーズ、もっと読みたい気はするのですが。そのたびにこんな災害に遭ってしまうのは気の毒すぎる気もするので(苦笑)。悩ましいところですねえ。