紙の本
散り際が美しいとは言えない花を、あえて暗喩に
2021/04/08 10:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:y0a - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作者は初めて読んだ。
高校時代の友人(女三人組)が初老期になって再会。「アパートを相続して欲しい」という、共通の友人(故人)から、弁護士を通しての依頼だった。事情を説明されて、びっくりする三人。誰も故人とは、それほど親しい間柄ではなかったからだ。
その謎も徐々に明らかになり、それぞれの生活がある三人は迷いだす。家族がいる者、おひとり様で働いている者、立場は皆違う。でも、老後をこの、白木蓮が咲くアパートで過ごすのも良いかな…、だけど…。
という物語。やや強引な設定にも思ったが、それなりに描きたいことは分かる。女性の現実と夢の交錯、それぞれの生き方と迷い。白木蓮は、肉厚の花弁が茶色に色あせてぼとりと落ちる、散り際が美しいとは決して言えない花。それを暗喩に選んだのもよく分かる。
まあまあ内容は納得いくものだった。が…。正直に言います、絵が雑駁に感じる。その分、星が減りました。
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著者が一人暮らしが長いということで描いた作品らしく、主要キャラの女性4人のうち3人が独身(離婚調停中もいる)で子供がいない。4人はアラフィフだけど私もアラフォーにしてバツイチ子なしなので、孤独死へのエピソードや生涯一人でいることへの思い、親の介護のくだりなんかは共感したり、考えさせられるものがあったりと興味深かった。多分今、私たちのような一人の女性は多いよね。女友達3人組と、おばさんと大学生の男の子の30歳も年の離れた友情と、2つの角度からの人間関係がちょっとミステリアスに絡み合ってる。
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・「ほんとうは料理も掃除も洗濯も好きじゃない」専業主婦のマリ
・「自分の身を守るなんてこの歳までしたことなかった」夫と離婚調停中のサヨ
・「お嫁に行って子供を産まなきゃだめですか」キャリアウーマンのサトエ
50代女性3人のしんどさ、生きなきゃいけない現実が等身大で、他人ごととは思えませんでした。
でもでも救いようのない終わり方ではなくて、
今の居場所でどうにか生きていこうという結びにも納得だし、満足。
第26回 手塚治虫文化賞受賞。
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アパートオーナーの孤独死の遺言書は、高校時代の同級生3人に宛てたものだった。
40年も会ってなかったにも関わらず、3人にアパートに住む大学生が卒業するまで住まわせて欲しいと、その後は、土地を売ってもかまわないと。
理由もわからず、戸惑う3人。
中年の域になり、家族があってもなくても孤独死が他人事とは思えなくなっている。
ほんとうは、料理も掃除も洗濯も好きではないのに専業主婦のマリ。
夫とは、離婚調停中のサヨ。
キャリアウーマンのサトエ。
それぞれのしあわせなんてわからない。
それぞれのしんどい今を生きるしかない。
それぞれが、このままでいいのか…と思いながら。
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手塚治虫文化賞短編賞を受賞した時から読みたいと思っていて、書店で見つけて購入。
確かに白木蓮の散りぎわは、美しくないし、花が落ちるときはバナナを落としたときのようなにぶい音がするが。
登場人物は、1963年生まれのかつて高校の同級生3人。高校時代の新倉ヒロミが孤独死をしたことがきっかけに招集される……。
著者は1978年生まれ。あまりにもステレオタイプな、それぞれの生き方をする女性の描かれ方が、ちょっと、というかだいぶ残念。
ある年代の人のことを描くには、同年代でなければならないとは思わないけれど、あまりにもあまりにもで、登場人物それぞれに同情する。