紙の本
目新しい話で良かったが軽かった。
2022/12/10 19:26
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投稿者:50代 - この投稿者のレビュー一覧を見る
目新しい話で興味深くて良かった。
アメリカのあくどさとか、よくぞ書いてくれたと思うところもあった。
医療費は減らすべき、国が喰い潰されるとだけと思っていたが違う考えもあるのかと思った。
低所得なほど相対的に負担が重い健康保険で、高所得の医者が肥え太る現状についての言及はなく、中所得の医療従事者を増やすことで経済を回すというような話で、内容は軽かったと思う。
紙の本
日本再生なるか
2021/12/13 11:50
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は米国籍で、日本の大学教授です。医療から政治経済に至るまで深い造詣があり、国際感覚と分野の連携をもとに広い視点で書かれています。
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2021年18冊目。満足度★★★★☆ ハーバードなどでの学習・研究活動など25年間の在米生活を経て日本に帰国したばかりの大学教授が著者。経歴は超華麗
本書は著者の専門分野である「医療経済学」のアプローチから低迷する日本の改革案を提示する内容となっている。
メインの改革案は正直難しくて評価は困難であるが、日本がアジア等の諸外国との比較において、いかに様々な点で遅れをとり厳しい状況であるかの現状把握にとても有益な本であった。
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広義の競争
米国政府の干渉を受ける確率が低そうな新産業分野に日本の資源を集中
航空宇宙、半導体、IT、AI:干渉
バイオ:ハイリスク 新薬候補が発売 二万分の一以下、1兆円の投資で1新薬
シリコンバレーはひとつでいい
冷戦時代 民生機器は 米3軍 対 日本1軍
米国内市場の開放政策の恩恵
アメリカ
GDP寄与 2018年 ①金融業21.2% ②専門職12.5% ③政府機関12.4%
雇用寄与率 2018年 ①政府機関13.9% ②専門職 ③医療 ④レジャー
→2028年 ①医療13.8% ②専門職 ③政府機関 ④レジャー
日本の就職希望先 バブル時と変わらない大企業 1%程度の雇用
日本の製造業、金融業需要低下 雇用もロボット化、オンライン化で低下
日本の医療従事者 2018年 12.5% 他の産業が低迷するなか順調に伸びる
学問の資源配分理想
①芸術・人文科学=価値観の想像力 ②社会科学 ③基礎自然科学 ④応用科学
古い一つ目の対策より、新しい二つ目の対策 AIよりも効果の高いもの
地方の富と人材の流出を防ぐ
医療教育芸術文化政府機関の営利企業の参入最小化
ハイテク医療より、予防教育を
白衣を着ない医療提供者
地方への移住 都市部で綱渡り生活をしている人
消費税の改革 都道府県と市町村の取り分はそれぞれ1.1%
北東アジア経済共同体 NEAEC の提案
文化、価値観、地理的近さ 日本・韓国・台湾
アメリカのホワイト国 カナダ、英国、豪州のみ
欧州評議会 人権(死刑廃止) 冤罪で死刑になる可能性
欧米の価値観「最悪の事態を回避するためなら、最高のシナリオを諦める」
排他的民主主義の克服 EU=米国型の人工的な連邦国家
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前著を読んで感銘を受けた著者による、個人的待望の新作。医療経済のみならず、経済全般に対する論考が中心で、それも日本だけじゃなく、グローバルな視点で書かれているという力作。それだけでも読み応えは抜群というもの。何とも言えないモヤモヤ感というか、これで良いのかニホンジンっていう部分が、上手く言語化されている。もはやトップレベルの先進国ではないし、改めてそれを目指すのもちょっと違うんじゃないか、と思っていたけど、本作におけるプランAがまさにそう。それを否定はしないけど、ダメだった時のために、皆がウィンウィンになれ得るプランBも用意しとこうよ、って内容。結構突拍子もない提案に思えたりもするけど、選択肢はきっと、あればあるほど良い。次の世代に残す今現状の日本が不安でならんけど、一筋の光明を見させてくれた点でも高評価。待った甲斐ありの内容でした。
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日本再生のための「Bプラン」
ハーバード大学で医療経済学を教える喩先生の新著。これまで、金融やITなどによるアメリカ的な成長戦略とAプランとしたうえで、今後の人口減少社会や社会課題を踏まえて、医療・芸術分野における独自性を強化し、世界に発信するという戦略―Bプランを提唱する。BプランはAプラントと並行して実行が可能であり、Aプランが失敗した際の保険となるともに、100年後を踏まえた新産業の揺籃としてのツナギにもなる戦略である。日本は先進国の中でもトップを走る高齢化社会であり、医療・介護、さらには予防医学の分野においてはフロントランナーであり、世界の実験場になりうる。そのような日本において、芸術とうまく組み合わせた予防医学のマーケットを生み出すことは非常に魅力的なプランと言えよう。演劇×予防医学という新奇さもまた、良いところであろう。本書に記載していることは、まさに戦略と呼んでよいものであろう。戦略とは業務効率化の限界を、他社との構造的な差異化により実現するものであると理解しているが、本書に通底する精神性として、アメリカの真似事していてもしょうがないという部分があることは共感する。シリコンバレーを日本に作ることはあえてせず、誰も手を出していないマーケットを創出することを国家の指針とすることは、まさに国家「戦略」というに値するのではないか。
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・予防医療教育の潜在市場規模は日本で14兆円、米国で100兆円。
・地方自治体の悩みは「人口、人材、雇用の流出」実際は富の流出
・非営利部門におけるミクロ経済分析の正しい目的は、特定の医療機関を潰さずに、医療機関全体の経済効率を向上させること。
・医療の3分類:川上、川中、川下
・人文社会学・芸術の知見と助けが川下医療に必須。
・Health Education Theater:健康芸術劇場:アウグスト・ボアール
・北東アジア共同体:NEAEC:人材不足、競争不足、主権不足
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医療経済学を専門とする著者による日本再建策。地方、非ハイテクなど独自の視点が面白い。エビデンスも豊富。
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予防医療教育が経済にどう寄与しうるのかということを学ぶいい機会となりました。
アメリカでは、予防医療を重視したされたいわゆる「オバマケア」が2010年に導入されてから、予防医療教育が大ブームかつ巨大ビジネスになっているそうです。
Apple Watchがヘルスチェック機能を前面に売りにしていたり、GoogleがFitbitを買収してヘルス分野に力を入れていることもその証左でしょう。
著者は、予防医療教育に演劇を取り入れる案も提案されていましたが、非常に興味深いので実践して効果を是非検証していただきたいなと思いました。
私自身も自治体が主催する短期の演劇ワークショップに参加したことがありますが、楽しく住んでいる地域のことを学ぶことができたので、こういった活動は広がればいいなと思います。
また、本書で紹介されている今年開講したばかりの「芸術文化観光専門職大学」は、演劇やダンスの実技を本格的に学べる初の国公立大学で、芸術文化と観光の二つの視点を活かして、地域を元気にする人材の育成に力を入れる方針だそうで、この大学の取り組みにも注目していきたいと思いました。
ただ、4章まではプランBとして具体的にどんなプランを提案するのか分からなかったので、そこまではもやもやしながら読んでいました。
あと、プランA(IT、AI、バイオ関連のハイテク産業の競争力向上)は失敗するリスクが高く、仮に成功したとしても国民全体の生活の向上にはつながらないとう主張は納得できましたが、プランAへの投資を減らすことに対するリスクには言及されていなかったので、そこはどう思われているか気になりました。
そもそも、「成功」、「失敗」という言葉をよく使われていましたが、政策を成功・失敗と簡単に二分できない(当初の計画を達成したかどうかは評価できるでしょうが、計画を達成したからと言ってその政策が国民や、これから産まれる人や移ってくる人も含めた潜在的国民の生活に寄与したとは限らないでしょうし)と思うので、そこも引っかかりがありました。
また、本書では公共事業(道路や河川等の維持・補修工事や災害復旧を含む)の経済波及効果が小さいと書かれていますが、その主張の根拠としている数値が掲載されている塚原康弘氏の論文には、「公共事業が社会のストックを増やし、将来における生産の増加に貢献するようといような長期的な効果は考慮していない。」と書かれていますが、そういった旨のことは本書には書かれておりません。
地方経済における不適切な評価として「未来に受け取る便益を不当に低評価する計算方法」(p.157)を指摘していますが、土木を学んだ者としては、公共事業が不当に低く評価されるような書かれ方が気になったので、読まれる方はその辺りもご留意いただければと思います。
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日本が様々な分野で先進国から脱落したということが詳細なデータを基に示され、メインの道(プランA)では追いつけない。そのためプランB、Cに舵を切り日本らしい生き残り方を提案している。日本のGDPが世界2位だった頃、それは皆が己や家族を犠牲にして休みや夜も返上して働いた結果だった。これからは近隣諸国と互いに手を取り尊重し合い発展する社会を目指していく。まだ机上の空論感はあるが、米国やEUとは異なる、日本やアジアだからこそ実現可能な社会を目指したい。
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経済成長を前提とした既存の路線プランAに対して、予防医療の価値を見直したリソースの再配置を提言するプランB。定量的な思考よりも、定性的な思考によるブレークスルー。その一つのヒントは「演劇」、エンタメ、アート。
エッセンシャルワーカーの待遇改善。利他や公共福祉は無駄ではなく、持続可能な経営マネジメントとするエビデンスについて、いくつかヒントをもらった。
また、米ドル換算GDPは、現状の実質的価値を反映しにくく、日本は第3位という認識は疑わしいとの主張はもっともだと感じる一方、この順位が低下したからと言って日本の存在意義まで低下するのかは疑問。いつも排他的で保守的、アジアの仮想敵にされつつ、米国の子分でGHQに洗脳されてナメられ続けて・・という日本はこの、のらりくらりでいることができるのも一つの価値ではないか。
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https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721161-0
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多くの文献(データ)を根拠としてプランA(米国や諸外国の成功例の「つまみ食い」的模倣。ITやAI等を駆使したイノベーション誘導型の再生策)ではなく、プランB(医療・教育・芸術を融合させた新たな分野で雇用を創出し、所得を倍増させる画期的なアイデア)を勧める。プランAがダメな事は肌感覚でも分かるのだが、対案となるプランBが正しい選択なのかは、根拠となるデータが推測値のため判断しにくい。プランBの一部分でも実績値として提示できていれば、それなりの納得感、期待感はあったのだが。自らが政治家となって提言する政策を実行して見せるか、共感を得る政治家と組んで実績を作る事が重要と思う。
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コロナ真っ最中の2021年に書かれたものであるが、現在の2023年でも著者の悪い予想が当たった状態が続いており、さらに現在はコロナがなかったようにコロナ前の政策を邁進している。つまりプランAを突き進もうとしている。詳細なデータで世界の中で日本が経済的にも取り残されていることが改めて分かったが、アジアの中でもその低落が起こっていることが分かった。しかし現政府は明確な方向性を出せずに、経済的な格差のみならず、中央と地方の格差はますます広がるばかりである。地方も効率化優先の中央と同じことをするので、さらに衰退するばかりである。高齢化が進む我が国では、著者の言うプランBしか生き残る道がないと考えられるが、現状を考える限り道は困難である。ただ杉並区のように住民運動から地方自治を取り戻す動きも出ているので、やはり地域から運動を起こし、地方自治から変えていく動きしかないと思う。そのためには時間はないが、時間をかけても丁寧に運動を行なっていくしかないだろう。データも含めて丁寧に書かれた著書で共感でき、将来への希望も持てた書であった。