紙の本
なんとも言い難い
2023/01/20 07:59
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投稿者:杉野 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の最後に真っ当な地球人が出てきて自分もそちら側の人間であったと引き戻されました。もし最後が違っていれば地球人に戻れなかったかもしれません。
紙の本
村田ワールドの極北を堪能せよ
2022/04/22 20:51
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投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生同士のセックスから狂気に満ちたラストまで、おそらく現時点で村田沙耶香「最狂」の一冊。地球という「人間工場」になじめない主人公のすさまじい暴走に、あなたはついてこられるか。
紙の本
まさしく村田沙耶香ワールド
2021/06/29 08:52
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の奈月は、自分のことを魔法使いだと思っていた。いとこの由宇は自分のことを宇宙人(ポハピピンポボア星人)だと思っている。普通の小説なら、「そういえば、小学生のこと、そんな空想していたなあ」という笑い話になるエピソードとなるのだが、村田沙耶香氏だから、当然、そうはならない。奈月は、30歳をすぎて、主婦になってもその妄想を持ち続ける、しかも、自分も由宇と同じく宇宙人だと思ってしまっている、仮想結婚した夫も、頑なに社会(地球)に溶け込もうとしない、それどころか地球人でない証拠に地球人の隠避中の隠避、近親相姦を試みようとする、作者の芥川賞受賞作、コンビニを愛しすぎた結果、自分がコンビニになってしまう「コンビニ人間」と同じく、とんでもない妄想に取りつかれた大人が暴走していく彼女らしい怖い話だ
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村田さんの世界には今作もグラグラさせられました。
でも、これまでと違ってどちらの側にも全く寄れなかった…「地球星人」も「ポハピピンポボピア星人」も、わたしとは違うなぁ…と思ってしまいました。いつもなら(こっちのほうがわかるかも)となるのに。
安易にどちらかの立場を選ばせない村田さん流石です…凄い。
「恋愛宗教の信者」という言葉はしっくりきました。恋愛、無いよりある方が良いなとは思うのですが、かと言って無理矢理したり「絶対やった方がいい」みたいに押し付けるのは気持ち悪いと思う。
「結婚するための相手を探す」というのも腑に落ちないのでやらないけど、奈月みたいな考え方ならちょっとわかります。型にはまるため、かぁ。
小さい頃は性的なものは禁止され遠ざけられてるのに、適齢期(?)になると「やらないほうがおかしい」と思われるのも違和感覚えます。まぁ、妊娠があるので仕方ないとは思うけど、正しい性教育するほうが大事。わたしの頃はまだギリギリ結構ちゃんと性教育やってたけど(日本での中絶のやり方とか男女一緒に習った高校時代)、現代はもっとダメな感じになってると小耳に挟みます。
「なにがあってもいきのびること」。地球にあって異星人として生きのびるのは過酷だけれど、独りじゃないのでどうにか……どうか、と思わずにはいられません。
これからもっと凄まじくなっていくのかなクレイジー沙耶香ワールド。目が離せません。
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価値観を押し付けることの危なさや、周りから理解されないことへの苦しさや、子供を制する大人のずるさが書かれていました。子供の頃に受けた周りからの扱いは、良くも悪くもその人の将来を大きく左右してしまう。子供がもっと大人を信じられて、かつ自分の居場所をみつけられるような社会にならないとな、と思った。一人の少女が壊れていって大人になって仲間を見つけてやっと前進するんだけど、その方向性は地球星人の私からみたら直視できなかった。かわいい表紙とは裏腹に夜中にみると寝れなくなるので注意。
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秋級っていいところだなー。田舎とか親戚とかのしがらみもまあ面倒だけど、人間臭くていいなー。
なんてのんびり構えていたら、大変なことになった!
何が起こるのか、何が正しい?のか、ページを捲る手が止まらず、あっという間に読み終えてしまった…
終盤のあの場面は、ちょっと正視できず、かなりの飛ばし読み。
衝撃的過ぎて、内容忘れないと思うが、重いのか軽いのか…判断しかねて、ハマりそう。
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今後も地球星人として生きていくであろう自分としては、とんでもない作品を読んでしまった感。
この工場は宇宙人が彼ら本来の生き方をするにはとてもやりづらいよう設計されている。
地球人としておとなしく生きていくほうがおそらく負担も軽く合理的なので、私はそうする。
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地球星人は工場で2種類の道具として働いていて,工場の部品になることを強要されているという宇宙人の視点を,少女期の体験から持つようになった奈月.奈月はそうなれない自分を不良品だと感じ,部品になるために早く洗脳されたいと願いながら,工場のきまりから逃れたがっている夫の智臣と,部品になったフリをして暮らしている.奈月と智臣は元異星人で子供の時に奈月と結婚した従兄の由宇との3人で,限界集落にある祖父母の家に異星人として暮らし始める.
なるほど,宇宙人の視点から観れば地球星人の振る舞いは非合理的なのかも知れない(もっとも,異星人も人間と同じような進化の産物なら,2種類の道具として工場で部品となって働いているような気がするが,・・・).工場の部品の中では,変態塾講師の伊賀崎よりも姉の貴世のほうが嫌悪感が強い.
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久しぶりに読み応えのある文章に出会えた、と喜びを噛み締めながら読み進めたけど…。
狂気なのか、そうじゃないのか。
最後はとんでもない世界に連れて行かれた。
いくつもの突き刺さる言葉たちが、自分も同じ世界の人間なのかもしれないと思わせてきて、味わった事のない読後感に包まれた。
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当たり前とされている倫理観を、正面からあっさり否定するスタイルが痛快。
現実離れしていそうで、結構考えさせられる一冊。
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根源的問いと重いストーリー、そして解き放たれた後半の爽快感と若干の滑稽さ。どうしてもラストにかけてのボルテージの高まりに目が行きがちだが、やはり随所における表現が濃厚で心摑まれる作品。
「お腹の中で、私たちは互いの体温を静かに食べていた。」
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自分を魔法少女と信じる奈月と自分は宇宙から来たと信じる少年。
この2人の小さな恋から始まる。
そして、大人になった奈月。
どこか社会から浮いていて、馴染めない。
…『地球星人』か否か。
衝撃的すぎて、しばらく感想を書けずにいました。
実に村田沙耶香さんらしい作品。
読んでいるうちに…どこか『地球星人』を離れた場所から観てる自分がいた。
正直、読んでてしんどくなるとこもあります。
が、あえての★4で。
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「コンビニ人間」の次の長編、ということにまずは少し驚く。
思えば「コンビニ人間」フィーバーのあと、遡るようにして全作を読んだ、この数年濃密に村田沙耶香を追っていたわけだ。
ようやくついていけるようになったわけだ……文庫派なので数年遅れだけど。
表面的には「コンビニ人間」の「語り手の変」からの派生。
ただし魔法少女とかぬいぐるみ(モロにまどかマギカのキュウベエじゃん)とかステッキとか食虫とか殺人とか毒親とか、作者の諸作の集大成とも寄せ集めともいえる。
(いい意味でも悪い意味でも)既視感もありつつジワジワ前進している手ごたえが、ある。
目的は「普通の幸せ」への強烈なアンチたろうとする意識。
解説で小林エリカが「これから人類のことを裏切るかもしれない」という芥川賞スピーチを引用していた。
また検索したら「応援してくれている人を裏切るような言葉を探すかもしれない」という言葉もあった。
そうだ!
突き抜けてくれ!
そこらの町にも村にも跋扈している「普通の人たち」がでんと尻を落ち着けて動かない常識という畳を引っぺがしてくれ!
読んでいる常識人を揺さぶってくれ!
というのが作者への期待。
「ポハピピンポボピア星人」というネーミングは安易なんじゃ……性的虐待というのは安易を通り越して書き割りっぽいんじゃ……という前半の隔靴搔痒を、優に超え、高らかに人肉食や単性生殖を歌い上げる作家でいてくれ! と。
作者が目論んだ「宇宙人の目のインストール」は、読後否応なしに完了している。
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村田さんの作品は完全主観でどこまでも個人的なのに、そのまま種の話などが展開されるのでスケールの変化が味わえる。
世間への反発心ではなくひたすらな違和感。
馴染めなさ。
いくつかは自分も確かに身に覚えがあるものなのに、どうしたらこんな結末になるのかという突き抜けっぷりが相変わらずすごい。
侮りからくる無遠慮さ、“正しい”に後押しされた攻撃性、それらを見抜いている冷静な視線に引き込まれてどんどん読んでしまう。
繊細な痛みとか、それを塗り潰すようなド派手な心理描写とか、もしブレーキがなければ人はこんなところまで行きかねないのかという感じが、最初の最初からブレない読み味で。
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そんなつもりはなかったはずなのに、一気に読み終えてしまった。
子どもの頃のゆびきりや、手を繋いで体温を感じていた頃の思い出の美しさにうっとりとして、読み進めていくほどその記憶の尊さを感じた。
途中でああこのままみんな地球星人として、社会に染まって生きていってしまうのかと思い寂しかったが、裏切ってもらえて良かった。
どう終わってしまうのかとドキドキしながら読んでいたが、本当に予想できない展開で、最初おなかをかかえている描写がすぐに理解できずにいたが、そうした読み手の混乱も混みで最後のシーンの混沌さが際立っていた。