紙の本
向田邦子さんの弟さん
2020/08/15 20:13
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
向田邦子さんのエッセイに良く登場する弟さん。事故の後迎えに行ったくだりはとても悲しく、やりきれない思いがしました。妹の和子さんが描く姿とはまた少し違った姉の姿が新鮮でした。
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なんとはなしに、数年(いや10年以上か)ぶりの再読。姉の邦子さんを彷彿とさせる文章に改めて巧いなぁと感心。全くの勝手な感想だけど、末妹の和子さんが邦子さんに関して著している何冊かの作品からよりも、保雄さんのこの1冊から、姉と弟の深い関係性をより強く感じる。姉の尻尾を一番多く掴んでいたのは父ではないか、また(父の次に)理想の男性であったのでは門倉のおじさんだったのではないか...こうした考察は、それが正しいか否かは別として、末子のさらに女性である和子さんにはし得なかったものと思う。10歳近く下だった和子さんに対し保雄さんと邦子さんの年齢が近かったせいかもしれないし、長女であった邦子さんと、父敏雄さんの他に家族で唯一の男性だった保雄さんの絶妙なタッグのためなのかもしれない。そしてこの本には、邦子さんの不慮の飛行機事故後、遺体確認に一人で台湾へ向かった保雄さんの日記が併録されている。死後30年以上が経ち、この本の著者である保雄さんも、姉弟の母であるせいさんもすでに故人となっているが、家族にとっても大きな存在であった向田邦子さんの突然の死は、家族それぞれの生涯に渡って影響を与えたものと思う。
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飛行機事故で他界された向田邦子さんの弟が語る姉の話。
向田邦子さんは本業は脚本家だが、エッセイストとしても高い評価を得るほど、文章がうまく大ファンなのだが、弟さんも初めて書いたとはおもえないほど文章がうまかった。
年の近い兄弟として、姉との思い出、姉が記したエッセイの裏側などが淡々描かれているが、その中に姉への愛情と突然の事故で肉親を失った悲しみが文章に滲み出ていた。
姉と同様に独身であった弟さんだが、20年ほど前に65歳の若さで早世されたとのこと。もし、ご健在ならその後も創作活動を続けられていたかもしれないと思うと残念である。