紙の本
「水戸っぽ」 の源流
2021/03/08 08:41
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治維新の思想的背景を形成し尊王攘夷を一番最初に唱えた水戸学。しかし維新では薩長だけがもてはやされ水戸は徳川御三家の立場もあり忘れ去られていく。しかし
桜田門外の変を起こし尊王と攘夷を歴史的に考えるとき見え隠れする思想、考え方では水戸学は忘れてはいけないもの。水戸学を育て、理論付け、その趣旨を実行した6人の人物にスッポトをあて時代的体系的にまとめ出版された本。文も読みやすく水戸学を知る上での偏りもなく参考になった。「水戸っぽ」とは水戸藩・水戸の人の気質を表す言葉。理屈ぽい、怒りっぽい、骨っぽい。でも律儀さを持っている。その源流には水戸学の影響が流れている。水戸の友がいる私として納得。
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6人の有名な武士と学者
12世紀平安末期から鎌倉初期 常陸平氏で土着していた大掾(だいじょう)氏の一族、馬場資本(すけもと)
1426年江戸通房(みちふさ)
1590年佐竹義宣(よしのぶ) 佐竹氏は秋田へ転封
徳川頼房(よりふさ) 徳川光圀 彰考館
1780年代の歴史学者高倉胤明(たねあき)「水府地理温故録」 下町の空き家、江戸への交通の便が良いため、地方の農民や町人は些細なことで江戸へ→水戸の卸売、商人から購入しない
瑞龍山(儒教式の墓)鋳銭座
1628年水戸光圀誕生 傾奇者 下町→水質が悪いので笠原水道
蝦夷地の南端、松前へ航海 海風丸 彰考館→過去を彰らかにして将来を考える
1666年神と関係ない共同墓地
朱舜水(明の遺民、儒学の研究)
18世紀後半 間引き→人口減少
1744年 立原翠軒(すいけん)
1780年代浅間山大噴火、天明の大飢饉 ロシアの脅威に対抗するため蝦夷地開拓
藤田幽谷 大日本史について実用主義と純粋主義で対立
1717年~1801年 長久保赤水(高萩生まれ大日本史地理部門 ベトナム、長崎出島 日本最初の地図 日本輿地路程全図 伊能忠敬は42年後)
1792年ロシア外交官アダム・ラクスマン蝦夷地に来航
1782年生まれ会沢正志斎 日本の領土、国家の概念
1801年「千島異聞」
1806年ロシアが日本の樺太、択捉の交易場所攻撃(文化露寇) 当時水戸藩では沿岸を通過する船多数目撃(イギリスとアメリカ捕鯨船)
1825年無二念打払令→発砲するように命じる 文政8年に新論を著す「これまでにない世界情勢に直面している今、幕府は態勢を立て直す必要あり」→水戸藩内の保守派は反発
1829年徳川斉昭藩主に 武士の鍛錬 追い鳥狩 農人形(食事の度に感謝)
斉昭は幕府から危険人物扱い→処分 雪冤(せつえん・冤罪を晴らす)運動
1842年南京条約 日本に衝撃
1853年ペリー
1858年無勅許で条約締結に朝廷激怒 水戸藩に戊午の密勅
藤田幽谷の息子、東湖(1806年生まれ) 日本を再活性化するモデルを創出 西郷隆盛、大久保利通へ思想
1855年安政の大地震で圧死
思想が過激化→天狗党
安政の大獄、桜田門外の変
慶喜(1837年生まれ)大政奉還するも朝敵扱い
茨城県は新政府から難治県と認識される
教育勅語 弘道館記の表現を多用
戦後、水戸の思想の評価に打撃
渋沢、新渡戸、松下幸之助 思想的に影響を受けた
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水戸に焦点を当て、江戸時代から明治にかけて、
水戸がいかに日本に影響を与えてきたかについて書いた歴史本。
たまたま読む機会があったので、歴史の勉強がてら、
パラパラ読んでみました。
水戸の登場人物別に書かれています。
最初の水戸光圀や最後の方の徳川慶喜はよいとしても、
他の登場人物は(歴史にそんなに詳しくない自分にとっては)聞いたこともなかった…汗。
かなりマニアックな本。
それにしても、この本は誰に向けて書いたのか…。
明治維新が好きな人、水戸が好きな人、水戸学に興味のある人、、、
明治維新が好きな人からすると、水戸は少しマイナーで、
もう少し全体感が欲しいところ。
全体感を良く押さえている人で、水戸についてもっとよく知りたい人にはこの本はあっているかも。
水戸が好きな人(そんな人いるのか?)は、
勝手に買って、勝手に読んでくださいって感じ(笑)
水戸学に興味のある人にっとっては、この本は面白いかも。
自分は「水戸学」という言葉すら、知りませんでしたが。
なるほど、明治以降の考え方に水戸学ってのが影響を多大に与えてるってことがよく分かります。
しかし、何というか、これほどまで水戸出身の人物や
水戸学というフィロソフィーが明治に影響を与えていたのに、
なぜ水戸は日本の中心になれなかったのか。。
著者が結構、水戸LOVEなスタンスなだけに、
その後の結果が出ていない水戸を懐疑的に見てしまいます。。
・徳川将軍家の血筋が濃く、新政府側のメンバーになりづらかった
・フィロソフィーは素晴らしかったが、当時は革新的・過激でもあり、派閥争いをしている間に、勢力が衰退した
こんなところでしょうか。。
良いビジョンだけ持っていてもダメだというように
読めてしまった歴史書です。
それにしても、著者はアメリカ人。
よくここまで日本の文献を調べたものです。
その点はアッパレ!
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史実に基づき、水戸が維新にどのように影響を与えたか記載された本。
恐らく水戸のブランド向上が目的の本なので、ポジショントーク的なところは押さえ、事実と解釈を分けてインプットする必要がある。
学べたポイントは、環境が人を強くし思想を産むこと、思想は一人歩きするのでアフターフォローが必要な点。
非常にマニアックな本。