紙の本
社会をよくする事業を起こすひとたち
2001/10/09 22:00
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投稿者:remi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「起業家」というと、ベンチャー企業を起こして、富を築いたひとたちのことを言います。彼ら(彼女ら)はビジネスの成功者たちです。起業家が社会の利益を考えないひとであるというわけではありませんが、基本的には自らの経済的利益を事業を通じて追求するひとたちであると言えるでしょう。しかし、最近、自らの経済的利益だけではなく、社会をよりよくしようというビジョンをもって起業するという新しいタイプの起業家が現れつつあります。そのようなひとたちが、本書で紹介される「社会起業家」です。
本書では、ユニークな活動を展開している社会起業家の実像に迫るとともに、これからの時代にきわめて重要な役割を果たすであろうことが指摘されています。アメリカやヨーロッパの事例が多いのかと思いましたが、日本にも優れた社会起業家がすでに誕生しており、日本人としてやや安心したのも事実です。
新しい生き方として、新しいビジネスの芽として、本書が示唆することは非常に参考になります。
紙の本
ベンチャー+NPO=社会企業家!
2002/05/22 21:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岡野義高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボランティアやNPO(非営利組織団体)が、新聞などで、取り上げられることが多くなった。
役所でやっている事業でも、民間にできることは、なるべく、民間がやるようにして、採算がとれないものは、ボランティア・NPOで担う、という考えかたが主流になりつつある。
著者は、民間(ベンチャー)でもなく、ボランティア(NPO)でもない、それでいて、両者のいいとこどりの新しいワーキングスタイルを提案している。
それが「社会企業家」だ。
社会起業家とは、社会サービスを事業として行う人たちをさす。
ボランティアの業界? で、起業家精神をもって、ベンチャー事業を立ち上げるのである。
社会起業家で、一番大切な資質は、ビジョンを持っていること、のようだ。
ふつうのベンチャーでは、お金を集めるのが得意な人がエライ、となることが多い。
けれども、ボランティアの世界は、原則としては、無償の世界なので、金で相手に、言うことを聞かせる、ということは難しい。
事業が、いかに、社会的価値があり、素晴らしいことなのか、という物語を創れることが、重要になってくるのだ。
ボランティアをやりたいんだけど、きっかけがつかめない、と言う人は多い。
ある程度、そういったシステムが整えられていれば、参加するはずの人たちも、最初の一歩を踏み出すのは、躊躇してしまうようだ。こんな風潮の中で、起業家精神をもって、社会的事業を打ち出す人の果たす役割は、とても大きいのではないだろうか。
基本的に、ボランティアは、無料で、犠牲的精神によるものだ、という考え方は多い。
しかし、今後は、有償ボランティアが増えてくるのでは、ないだろうか。
依頼人は、民間に頼むよりは、安くつく。
引き受ける方は、商売としては、なりたたないけれど、自分の好きな分野、得意な分野で社会的貢献ができて、ついでに、こづかい稼ぎになる。
じっさい、無償のボランティアよりも、有償のボランティアの方が、サービス精神も高いようだ。
ある程度お金がからんだほうが、契約を守らなければ、という意識が働くのだろう。
無償ボランティアでも、交通費や弁当代ぐらいはでるところも多い。
この本でいう「社会起業家」が、もっと、増えていけば、日本のボランティア、そして、日本の社会も、変わっていくんじゃないだろうか。
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会社経営者・一般社会人・学生の方々に読んでもらいたい一冊です。
個人主義を利己主義に履き違えている日本人。金は生きていくうえでの手段であるにも関らず、金に振り回されたり金におぼれたり、金に追いかけられたりしている日本人!寂しい限りです。
経済もあくまで人間が生きていくうえでの手段です。経済も会社も当然仕事も生きていくうえでの手段です。
手段であり目的ではありません。もっと大事なものがあるはずです。そのことがこの本に書かれています。多くの方々に読んでいただき今後の豊な人生を過ごすためのヒントにして頂きたいと思います。
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2007.02 社会起業家の誕生した背景やその先進国であるイギリスの事例などが分かりやすく解説されている。入門書的で分かりやすい。
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お金ではなく、人に少しでも喜ばれる生き方を選んだ人達を紹介している本書。
就職難と言われる昨今ですが、その問題の解決策もこの本に書かれていることにヒントがあるのではないでしょうか?
是非若い人を含め、多くの人に見て欲しいと思いました。
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経済原理主義という言葉に振り回され、勝者と敗者がはっきりしています。勝つか負けるかの世界は半々の勝敗ではないのです。勝ち1に対して負けが9という、勝ち組と負け組が発生してしまうのが今の日本経済です。 仕事や会社が生むお金を得る事は、あくまで人間が生きていくうえでの手段です。金を得る事が目的では無いはずです。仕事や会社にはもっと大事なものがあるはずです。 仕事を通して今後の豊かな人生を送るために是非読んでみて下さい。
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2000年刊行の若干古い本ではあるが、内容はまだまだ陳腐化していない。今でもなお、この分野に興味を持つ人にとっては入門書となりうる一冊である。
社会的起業の先進国であるイギリスと、若干それとスタイルは異なるもののアメリカにおける社会起業家の取り組みを示しながら、日本で今後展開されていくであろう社会起業家の活動について、その定義と展望を語っている。
特に、その定義について、明確に社会起業家という存在のありようを示している点が、非常に参考になる。オールドビジネスが行き詰まり、行政のセーフティネットへの信頼も損なわれている今こそ、社会起業家の活躍するときである。
多くの人に、このようなビジネスのあり方もあるということを認識してもらいたいと願うものである。
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社会起業家とはどのようなものなのかを、世界各国の事例を元にしながら説明してくれてます。
社会起業家についての研究者も数多くいるらしくて、その人たちの研究内容についても要約してくれていて、わかりやすい。
社会起業家は、ただのボランティアでは成立しない。
経済・文化・社会についてのあらゆる知識を備え、それを自らの利益のためではなく、社会全体に還元することができる人間こそなるべきもので、ただ社会を良くしたいと思ってるだけでは駄目なんですってのが、この人の主張。
正直、将来いつか社会起業家になりたいと思っていた自分としては、少しドキッとさせられたwww
けど、生半可な気持ちでやったらあかんねんなとも思わされる、いい機会になった。
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[ 内容 ]
社会起業家とは「医療、福祉、教育、環境、文化などの社会サービスを事業として行う人たち」である。
マクロ公共政策と手厚い社会保障を柱とする従来型福祉国家に代わって、自立型福祉システムを構築し、社会を活性化する存在として、まずイギリスで注目された。
今、日本でも、単なるボランティアとも、経済的利益だけを追求する起業家とも違う「社会起業家たち」が現れはじめた。
本書では「よい社会」の創造を目指す彼らのユニークな活動を通して、次代を担う新しい生き方・働き方を提案する。
[ 目次 ]
プロローグ 新しい生き方、働き方
第1章 社会起業家とは何か―イギリスの事例から
第2章 アメリカのグラスルーツ・リーダー
第3章 社会起業家が登場した背景―九〇年代の世界
第4章 従来型の非営利組織との違い
第5章 日本の社会起業家たち
第6章 明治の社会起業家たち
エピローグ 社会起業家は世の中を明るくする
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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出版が2000年と古いので、社会起業家のとらえ方に今ほど広がりがないように感じるが、社会起業家の概念の登場が、サッチャー時代のイギリスで、福祉政策のスリム化と規制緩和からであることが分かった。
企業のケースメソッドに取り組む場合、タスク環境を中心に分析することが多いが、社会的企業の場合は、PEST等のマクロ環境との関係性がより直接的なようだ。
医療、福祉、教育、環境、文化といった社会的サービスに取り組むことが多いからだろうか。
社会的企業をより深く理解するためには、既存のものではない、新たなフレームワークが必要になってくるかもしれない。
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社会起業家の定義は医療や福祉などの社会サービスを行う人のこと。良い社会を目指して活躍する人を通じて、問題と将来の姿を描く。政府が機能しないのであれば、ボランティアでもなく、利益を追う営利企業家でもない 社会起業家が必要と。確かにこれを執筆した2000年以降で社会起業家は増加、様々なモデルが出てきた。ボランティアでは経営知識や社会的ネットワークが無く、理想倒れ。そこで、経営経験のある人物が、幸せを配当に社会的サポートを始めた。アメリカのグラスツールリーダーは都市の産業再生に各関係のリーダーが集うというもの。非営利組織の問題は一般企業でも政治でも出来ない場合に存在価値があるが、それってどんな時というのが明らかで無い。結局、使命と能力の無いNPOは消えなきゃいけない。それが、淘汰されないで残っていること、リーダーシップが無いことが課題だ。自分が日本にできること。時間を見つけて考えよう。
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ボランティアと社会起業家の違いは何か?
どうやって社会を巻き込んでよりよい社会を作っていくかが書かれている本です。
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長いです。
社会起業家が話題に上り始めた?2000年に書かれた本なので、社会起業家は国やボランティアと違いいかに優れているのか、を説くことで社会起業家の普及を目指して書かれているのだと思う。
よって本の内容は終始社会起業家のプラスの面に焦点が当てられており、社会起業家は起業家精神をもっていて、経営理念がしっかりしているし、理念が熱いから、今後の社会発展には欠かせない存在なんだ!と、いったことが書かれている。
そのため社会貢献に興味があり、起業を目指す学生や社会人にとっては勇気づけられる本だろうと思う。
また、社会起業家と呼ばれる人々が実際にどのような活動に取り組んでいて、どのような性質を持ち合わせていると考えられているのか、を知る手助けにもなるだろう。
しかし社会起業家を普及したい意図や、著者が学者ではないことが影響しているのか、分析する視点が薄いと感じた。
本の中では国家やボランティアよりも発展した存在として社会的企業を推奨しているが、決して社会的企業が国やボランティアになり替わる存在にはならないと思う。
それぞれの扱える範囲の違いを明らかにしたうえで、国やボランティアが今まで踏み込んでこなかった問題に対処できる存在として、社会的企業を推して欲しかったし、社会的企業の限界も示して欲しかったと思う。
また、「社会起業家とは何か」という定義がしっかりなされないまま話が展開していくので、社会起業家がなんでも出来るスーパーマンのように感じられ、都合の良い性質だけを取り上げられていると感じてしまった。
しかし社会起業家に備わっていると一般的に考えられている性質を列挙はしてくれているので、今後社会起業家について学ぶ助けにはなると思う。
上記の定義と関連するが、、「困った問題には起業家の熱い精神やプロとしての意識さえあれば解決できる!」っというような運びが多いので、納得しながら読み進むというよりは、そんな人格者もいるんだなぁと感心しながら読み進めていくことになってしまった。
そして何より経済学部生の端くれとして、経済用語が正しく使用されていないことが非常に残念に思う。
経済になじみのない読者を意識したのだとしても、正しさを犠牲にわかりやすさを優先して欲しくはなかったと個人的には思う。
以上まとめるならば、「社会起業家ってどんな人たちなんだろう」と興味をもっている読者にとっては、とっつきやすい内容になっており、社会的企業の普及に役立つ本だと思うし、実際にこの本を読んだことで社会貢献に興味をもった私の知り合いも多い。
しかしこの本だけを基にして学術的な研究は無理だと思うので、その場合には本書が省いてきた内容を他の書物等で補う必要があるだろう。
まぁ筆者の意図は達成されてると思うし、社会起業家についておぼろげに知るには役に立つと思うので、全体的に見ればいい本だと思います!
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社会起業家について書かれた本。
様々な社会起業家の例が述べられていたが、その中でも特に自分がいいと思えたのは、ホームスクールの例だ。
各人の興味に沿って学習カリキュラムを組むなど、もう一度高校生に戻って、この学校に行きたいと思った。
そして素晴らしい事業を生み出す方々を尊敬した。
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教育の分野で活躍する起業家の例があがっていたのがよかった。
また、海外での実例も豊富にとりあげられており、
アメリカなどは日本より非営利組織のマネジメントが進んでいるとかんじた。
この書籍は2000年に出版されたということであるが、10年以上たった現在
である今でも、社会起業という流れが大きくなっており、
これからますます注目され、多くの社会起業家が輩出されればと思う。
社会起業家の原点である本のうちの一冊。