紙の本
決断を迫られても。
2022/07/23 17:12
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二十五年前に家族を捨てて別の女性の許に行った父が、女性に去られたと戻ってきた。既に母には恋人がいて、娘たちも成人して配偶者なり不倫の愛人なりがいる。
今更父に居場所はない。そもそも入婿なんだから。だからといって力ずくで追い出すでもなく、なあなあの生活。
闖入者の存在で、家族をそれぞれが苛立ち戸惑い、人生を見直す。
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ずっと不穏。なにかが起きそうなのに、いや、起きてるのに、ずっとふわふわ漂っていて、どうにもこうにもならない感じが、リアルで。生々しくて、いやな感じ。
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八ヶ岳の麓で園芸店を経営する家族の話。父親は別の女と暮らすために25年前に家を出たが、その女に捨てられ戻ってきた。そして母は、姉夫婦は、妹は……。もうなんというか、ぐっちゃぐちゃな家族である。だが1章ごとに異なる男女の目線で語られる重層的なストーリーは、当初思っていたような単純なものではなかった。愛だの家族だのめんどくさいけど、それでも求めてしまうのが人なのか。
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何の話だ。これこそママナラナイ。ずっと奥歯に物が挟まったような地味な不愉快感。25年前にイタリア人女性と恋に落ち妻子を捨てた夫。そんな夫がフラれてひょっこり家族の元に戻ってきた。「バカじゃないの!許さない!」と怒鳴ったのは次女だけで、後のメンバーは全員だんまり。なあなあの雰囲気で同居を受け入れる。白黒ハッキリさせたい私には耐えがたい登場人物のオンパレード。夫に1番ムカついたが皆がおかしい。「はあ!?」と何度言いたくなったか。全体的に散漫な内容だったが唐突に終わったラストのその後がちょっとだけ気になる。
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井上荒野さんは 好きな作家さんで ほぼ全て読んでるけど シュールな感じが多い中 これは 更にわかりにくい。結局何?って感じ。しかも どの関係もみんな中途半端。
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園芸店を営む4人家族。父親がある日、別の女性と暮らすため家を出て行ったが、フラリと家に戻って来た。残された母親と従業員の男性が恋仲になっていた。長女は結婚しているが夫とは夫婦仲が冷めている。次女は不倫をしており微妙な時期にさしかかっていた。父、母、娘2人が個々の恋愛、夫婦問題を抱えていて、家族と言っても恋愛観や愛情表現、夫婦のあり方についての考え方が違う。相手に見向きをされなくなっても、自分が好きでどこまでも追いかける気持ちの中毒性と言いますか感覚が麻痺している感じのラストがちょっと怖かったです。
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出てくる人出てくる人、みんなイライラする。
説明とか相談とか話し合いとか、少しはしたらいいんじゃないのかなぁ。
もやもやしたまま、で、どうするの?って思う。
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ラストに不満を持つ人が多いだろうけれど、それでも敢えて☆5つにしたのは、導入の技能がもう半端ないからです。読書の途中で何か邪魔が入ってもすぐ元に戻ってこれる。すぽんと作中に置いてしまうこの力量には脱帽であります。
出てくるのは身勝手な人ばかりなのに、それぞれの事情も分かるし。
泣くわけか、と遥は思う。二十五年間放っておいて、突然戻ってきて私を見て、泣いてみせるわけか、この男は。
ここだけをとってみても、唸るしかないわ。
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二十五年前に家族を捨てて出ていった父親が突然戻ってきた。妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ。二十歳下のイタリア人女性と恋仲になり一緒に暮らしていたが、彼女が一人で帰国してしまったというのだ。しかし娘たちはとっくに大人になり、妻にはすでに恋人がいた。次女の遥は叫ぶ。「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」長女の真希は苛立つ。「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」。妻の恋人・蓬田は夜ごと彼女からの電話を待つ。「俺はまるで女子高生みたいだな」
こういう本は苦手と思いつつ、先はどうなることやらとすんなり読めるのは不思議。他人の秘密を暴いた週刊誌記事を見ているような牽引力がある。作者である井上荒野さんの父・井上光晴さんは長崎と縁が深い作家。光晴さんとお母さん、寂聴さんとの関係を書いた本もあるぐらいだから、本作のベースもそこらあたりだろう。淡々と家族7人の愛憎関係が描けるのは、荒野さんが特殊な環境で育ち体験したからだろうが、凡庸な私たちだったらここまで昇華できない。
タイトルの「百合中毒」とは、ユリ科の植物に猫が中毒を起こすことで、種によっては毒性が強く葉を三枚食べただけで入院または死亡の例もあるという。些細な好奇心で命取りになることもある。愛したり恋したりするのは、各自の人生と響きあうけれど一過性のもので突き詰められるものではないということだろうか。
線上降水帯に位置し降りやまない風雨に見舞われながら、しみじみと思う。
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家族の切ない人生模様を描く。
人は誰にでも人に言えないことがあり
すべて理解されるものでもない。
自分の思うままに生きていけないし
それが周りの人からは理解されない
そのような人生の機微を淡々と作者は描いているように感じる
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感想を一言でまとめたら「不条理」?
不条理の物語か?
各章の主人公達は、こっちからしたら『ええ?それはないやん』と憤りたくなるような状況に陥っているのだけれど、なんとかしようと動く気配は全くない。
日の本に晒すつもりも全くない。
答えはどこにもない。
ある意味諦観してるようにも見える。
そもそも答えは無いに等しい。
移ろう事象に逆らわずに流れていくのもひとつの答えなのかもしれないな。
でも読んでるこっちはモヤモヤしたんで星は低め(笑)
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人間てさ、、、こんなものよね。。。
そんなに清く正しくばかりは生きられない。
何にでも白黒決着つけたがる世の中だけれど
どんな出来事だって、グレーゾーンの幅が一番太いんじゃないだろうか。
出てくる登場人物たちが、みなどこか現実から少し逃げているようで物事を正面から受け取らないところが
なんとももどかしく逆に新鮮。
百合の花、とってもきれいなのにそんなに怖い毒があったとは・・・人の愛情と同じかしら。
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この内容でタイトルを「百合中毒」
にするところがもう、素敵。
百合の毒と結婚を重ね合わせて考えてしまう。
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突然帰って来られても、あたしは受け入れられない。もう過ぎ去ったこととして思い出したくもないけど。
戻ってきた立場からすると、何も聞かず受け入れてもらえたらホッとしそう。相手のことも考えないといけないか……。
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不条理、
人間てこんなもん、
全ての行動や感情の説明はできない、
イライラや鬱々としたことが起こり、ひどく傷つき憤りを感じたとしても、自分を省みて現状を変えるまでの気力や体力はないから結局は現状維持する怠慢な部分?
起承転結きれいに設定されてないのが人生、
人生のうち一瞬がクライマックスのように幸せに感じたとしても、それでも人生は何十年続いていくから、ドラマのようにすっきりした終わりはない