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紙の本
現在の福祉政策を歴史に照らし合わせることができる
2021/02/21 14:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りんご - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本のみならず、英米やドイツ、フランス、スウェーデンがたどってきた福祉や社会保障にかかわる政策がすごくよくまとめられています。
また、いわゆる”福祉国家”と呼ばれる国々で制度化されてきた福祉政策がどのような再編や変質を遂げたかを分析フレームをつかって考察しています。
たとえば、ピアソンの「経路依存」という概念は、新たな制度が誕生するとそれによってその制度の新たな受益層がうまれ、それが次の変革への拒否権プレーヤーとなることを指摘したものです。
また、所得格差の大きな国ほど再分配が大きくなり、所得格差の小さな国ほど再分配は小さくなるというメルツァー・リチャードモデルが紹介されている。しかし、現実にはそうでない国があります(例えばアメリカは所得格差が大きいですが、再分配は小さい。スウェーデンは所得格差が小さいのに再分配は大きい)。その理由を、著者はエスピンアンデルセンの福祉レジーム論と経路依存をつかって解き明かします。
福祉がいかに「政治」と「経済」に密接に結びついているかがよくわかる良書です。
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