伊藤比呂美氏による本能のままに好きなものを味わう楽しみを描いた食のエッセイ集です!
2021/04/04 13:43
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『良いおっぱい 悪いおっぱい』、『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』、『読み解き「般若心経」』、『切腹考』、『たそがれてゆく子さん』など広範囲のテーマに取り組まれ、数々の作品を発表されてきた伊藤比呂美氏の作品です。同書は筆者の代表作でもあります。同書の中で、筆者は「摂りこんだ食物があたしをつくる。そして言葉がほとばしる」と表現されています。そして、日本で、米国で、欧州で、ウマしもマズしも噛み分けて、出会い、ハマり、なつかしむ筆者の姿が読者の頭に思い浮かんでくるようなビビッドな表現で、皆さんを惹きつけてくれます。 偏食OK、ボーダーレス、そして本能の奔流を味わう最強の食エッセイ集です。
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食の記憶(父の生卵)、異文化の味(ターキー)、偏愛の対象(スナック菓子、山椒)。執着し咀嚼して、胃の腑をゆさぶる本能の言葉。滋養満点の名エッセイ。
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単なる食べ物エッセイというより、作者の波乱万丈な人生を共にしてきた食べ物の話が綴られている。
独特な語り口です。
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おなかほっぺ…以来、高橋源一郎の飛ぶ教室に度々ゲストで登場するのだが話が面白くて久々にエッセイ読んでみた。言葉がほとばしるような疾走感がたまらない。食べ物と食べることをこんな風に表現できるとは驚きだ。オノマトペの洪水も楽しい。
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ポーランドでの育児エッセイ「おなか、おしり、ほっぺ」では自分も育児中で随分助けていただいた。それから時が経ち今、少し前を歩く人生の指南者と勝手に思ってエッセイを読ませていただいている身としては、これからの子離れ、更年期、人生の変化等にも立ち向かう準備ができた。
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2018年サンディエゴから帰国、熊本に住み、週1で東京、枝元なほみの家に居候しながら早大で教え、サイゼリアとコンビニと枝元食で生きていた。2020年の春、コロナ禍で熊本で自炊を。こだわるものをとことん食べている。伊藤比呂美「ウマし」、2021.3発行。①日本の菓子パン文化の素晴らしさ ②桃屋の「江戸むらさき」(1950)、永谷園の「お茶漬け海苔」(1952)、丸美谷の「のりたま」(1960)③1960年代後半、即席袋麺。1971年にはカップヌードル ④熊本は「デコポン」「いきなり団子」「団子汁」。私は「熊本ラーメン」「辛子蓮根」「誉の陣太鼓」w。
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感動的なエッセイです!
感動するほど笑えるし!
詩人の紡ぐ言葉。
本の中で踊り出して読者を楽しませてくれる。そんな印象です。
表紙の卵かけご飯は「マメイケダ」さんの作品です。
「あたしはカリフォルニアに住むおばさんです。」最初の1文から引き込まれました。
父の愛した卵かけご飯。
かっぱえびせんを裏切ってホットチートスにはまる。
「あんこをドリンクする」などのタイトル。
もー!最高!
枝元なほみさんとの共著『なにたべた?』も図書館予約!
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わたしもアメリカ在住のおばさんであるので、日米の食を比較する項ではだよねだよねとうなずきながら、あるいは自分の中で理解に達していなかった概念を言語化してもらってそういうことかと膝を打ちながら、頭からお尻まで楽しく読みました。海外在住の経験があるかたは特に面白く感じるのではなかろうか。特に気に入ったのは以下の項。《》内が引用。
◎おつきさまくらいのパンケーキ
最近日本でアメリカ風のパンケーキが流行っているから食べに行こうかと思うものの、《日本に行ったときくらいまともなものを食べたい》ので食べる機会がまだないと。わかる。シロップをかけてぐずぐずになったパンケーキを《粥状》と表すのにもうなった。
◎食べるな危険
アメリカで《普通に生きていると、どうしてもふくよかになる。避けられない風土病といってもいい。》わかる。そしてほっとする。これは風土病だったんだ。
◎ターキーこわい
ターキーの風味は、《おっさん臭い》と。なるほど。わたしの周りにもターキー不得手なアメリカ人が多く、感謝祭の際にはとにかく伝統だからと苦手意識を押し殺して/自覚せず食べているのだと思われる。ターキーはおっさん臭いなんて、タブーとも取れる発言者ができるのは非アメリカ人だからこそ。いや、伊藤比呂美さんだからこそ。
あとがきの、自分が食べているのは実は食べ物ではなく自分自身なのではないか、という考察にも目を開かされました。
少し話が逸れるかもだけど、わたしもそれをコンビニ食に感じます。アメリカにいると日本のコンビニ食が懐かしくてたまらず、日本へ一時帰国すると不必要に色々買い込んでしまう。でもお弁当やサンドイッチや洋菓子なんかを食べても、それほどおいしく感じない。わたしが異国の地で恋い焦がれていたのはコンビニの食べ物ではなくて、お散歩の途中でふらりと寄れる手軽さとか、季節ごとに限定品が登場するワクワク感とか、そういうことのほうなんだなと気づくわけです。
本書はそういう本です(どういう本だ)。