紙の本
狛犬が好きになり、会いに行きたくなりそう。文章と絵が絶妙。
2021/03/31 09:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
彫った石工の親方と弟子の魂が残っている狛犬。神社に来る人との触れ合いが暖かいお話です。
親方と弟子の佐助の会話の言葉は「150年前」の雰囲気を残しています。動くし、話すけれども大人にはわからない。だから子どもには要注意。現代風のこましゃくれた幼稚園児とのやりとりは楽しく、青年の悩みを聞くところはしんみり、とどの部分も楽しいです。
迷子になった子犬を探す青年に力を貸したい、と動き回る(文字通り魂?が抜け出すこともある)佐助。とうとう帰れなくなって親方までもがドタバタします。でも最後はなんともじんわり来る、この後の楽しい情景が想像できる終わり方。とてもよいお話でした。
絵の岡本順さんとの共著が幾冊かありますが、本書も絶妙な取り合わせです。カバーの佐助も「狛犬なのになにか可愛い」雰囲気がよくわかるし、お話に出てくる「かけたしっぽ」もちゃんと書いてある。裏側の「親方」もいい雰囲気です。
本書を読んで「そうとしかみえない」と思ってしまうようになったものが一つあります。それは狛犬のしっぽ。カバーの狛犬のようなヤツデのように広がったしっぽの狛犬が結構ありますが、あれがどうしても「喜んでぶんぶん振っている」ようにしか見えなくなってしまったのです。ああ、これじゃあ狛犬の威厳が台無しじゃないの。お前のせいだよ、佐助。
大人でも狛犬が好きになり、会いに行きたくなりそうな作品でした。
続編がありそうな副題(「迷子の巻」)ですが、あるのでしょうか。あったら是非読みたいです。
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凸凹コンビな狛犬(+人間)のあたたかくて、くすぐったいような、ほのぼのした感じがとても好きだなぁ。
どんな風に話が着地するんだろう、と思ったら…心がほっこりしました。
挿絵もすごくいい!特に狛犬の顔がツボでした(笑)。
続くんですよね!楽しみです!!
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150年前の石工の魂が宿る神社の狛犬。名工と言われた親方の宿る「あ」と若い弟子の佐助の宿る「ん」。狛犬の魂が解るのは7歳未満の子どもと100歳以上のの老人だけ。かわいがっていた愛犬が行方不明になって心配している若い工員の耕平と、幼稚園児の翔太。佐助の「ん」を介して、愛犬の行方を捜す。
神社の狛犬という日本的な設定で描く、時代を超えたファンタジー。今までになかった設定で、おもしろい。
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150年前の石工の魂が宿った狛犬、親方と佐助。二頭は神社を守りながらよく話をしていた。6歳になる前の子どもには声が聞こえるので気をつけていたのだが、あるとき、翔太に話を聞かれてしまった。小さな子どもの言うことなど誰も信じなかったが、佐助は翔太が気に入って、話しかけたくてたまらない。そんな時、どうしても翔太の力を借りたいことが…。
親方と佐助のやりとりが、漫才みたいにテンポがよくて楽しい。どうなっちゃうのかハラハラしながら最後まで一気に読んでしまいます!
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ドキドキ、ハラハラ、ほっこり、な本でした。
こんな狛犬いたらいいのに!
親方と佐助はよいコンビですね。
会話がいかにも職人気質で、お江戸の人情が感じられてステキです。
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明野神社の狛犬たちには、彫った石工たちの魂が宿っていた。狛犬の「あ」には親方、「うん」には弟子の佐助。親方の「あ」は立派な出来だが、佐助の「うん」は不出来とされている。
人間には変な顔だと評される佐助の「うん」だが、それを、自分の飼っていたイヌ・モモと似ているからと、佐助を訪ねてくる見習い大工の耕平がいる。
狛犬の二匹は話しもできるし、動くこともできるが、それを見ることができるのは6歳までの子どもだけ。いつもおばあちゃんと一緒に来る幼稚園の翔太は、佐助がしゃべるのを聞いたが、はあちゃんに言っても信用してもらえない。耕平にも、佐助の言葉は聞こえない。
だが、翔太のおばあちゃんの話しから、耕平の飼っていたイヌ・モモは、迷子になって、他町の知り合いの家に拾われているらしいとわかる。
言葉が伝わらない耕平に、佐助はこの事を伝えられるのか・・・!?
「迷子の巻」なので
シリーズでほかの物語もでるということかな。
楽しみ!
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昔の石工の魂がこもっている狛犬たちと近所の人々との、不思議で心温まるファンタジー。
狛犬の作者である「親方」と「佐助」は死んだ後、狛犬の阿と吽にそれぞれ魂を残し、現代まで残っています。
情けなくて親方に怒られてばかりの佐助の元に、愛犬がいなくなってしまった青年が訪れるようになり、彼に親しみを感じるようになった佐助は、色々な策を練って青年を愛犬の元へ導いていきます。
伊藤遊さん作ということで飛びついて読みましたが、この表紙では子ども受けはしないだろうなと思います。
『鬼の橋』『えんの松原』のような重いファンタジーではなく、さらっと読めて、心が温まる優しいファンタジーでした。
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ユーモラスで暖かい気持ちになるお話。小学校高学年くらいを対象にしたお話だけど、寡作な伊藤遊さんの作品ですもの読みますもの。
主人公は狛犬の佐助。この佐助(うん)と親方(あ)のやりとりが良い。中に出てくる「狛犬界のお約束」みたいなものがまたいいのです。残り数ページでまた胸をじんとさせる良いお話でした。
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じんわりあったかくていい話だったー。でも、平安のいつもの奴が読みたかったかもしれない。
児童向けだからちょっと物足りなかった。
尻尾をふりふりする狛犬可愛すぎてヤバい。これから神社に行ったら狛犬をいとしく見てしまうと思います。私には彼らの声は聞こえないのだろうけど……
○○の巻ってことは次回作があるのかしら!待ちます待ちます。伊藤さんのお話大好き!
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明野神社というところの狛犬には、ほった人のたましいが宿っていて、その狛犬と現代の人々との感動できる話。二頭の狛犬のしゃべっているところがおもしろいです。
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和風ファンタジー。
これも、どこかで読んだことがあるようなパターン。でもほのぼのとしてほんのり温かい。
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とても面白いのに表紙が大人っぽく子どもたちは手を伸ばしにくいかも。こちらから積極的に勧めたい一冊。
二匹の狛犬にはそれぞれその狛犬を作った石工の親方と弟子の佐助の魂が宿っている。
その二人と明野神社にやってくる人物たちがとてもいい。ちょっとしたアニメを見ているように風景も浮かんでくる。
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伊藤遊さんで作者買いでした。挿絵が岡本順さんでますます嬉しい♪
狛犬のバディものなんて、発想が奇抜すぎてさすがです。
ただ狛犬だけに、かなり動きが制限されてしまう(なにせ石なので…)のが、お話のつくりとして不利だった気がします。
作者の伊藤遊さんは『鬼の橋』や『えんの松原』でとても濃厚で面白い平安物を書いていらっしゃったので、その時のような濃いワクワクを期待していました。
本作は、それに比べるともう少し気軽に読める感じだと思います。
口が悪い親方だけど、本当はとても弟子思いで情の厚い人(狛犬?)だと伝わってくるところが好きです。生前の親方と佐助の物語も読んでみたいな。
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「明野神社の狛犬には、彫った石工の魂が宿っていた。狛犬の「あ」には親方、「うん」には弟子の佐助の魂が。二頭は神社を見張りながら、しょっちゅう話をしていた-百五十年まえの石工の魂を宿した狛犬たちと現代の人々が織りなすファンタジー。」