タイトルに惑わされました
2022/02/08 13:33
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投稿者:あごおやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本のタイトルと索引に名の挙がったミュージシャンを見て、「自分の好きなアーティストを通じて経済(学)が学べるんだ!」と思い購入しましたが、その期待は裏切られました。
私の感想は、(主に米国の)音楽業界の実情解説に、少しだけ「経済学らしい味付け」を施した感じ。もちろん、「正の外部性」「埋没費用」「不完全代替財」といったタームや、ケインズやリチャード・セイラーのコメントなども引用されているのですが、取って付けたような感は否めませんでした。「経済を学ぶ」というのであれば、もう少し経済学的視点から各事象を掘り下げて欲しかった。デヴィッド・ボウイの「ボウイ・ボンド」も、単なる紹介に終わってますが、その経済的意義が知りたかったなぁ……
帯にはバラク・オバマはじめ錚々たる著名人が推薦文を寄せていますが、そもそも洋楽に興味のない人には、お勧めできません。
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ミュージシャン、マネージャー、コンサートの興行会社等々へのインタビューや取材を元に、ロックを中心としたアメリカの音楽界を経済の面から分析した本。平たく言うと、ミュージシャンとその周辺の人たちや会社のお金事情がどうなっているのかという事。
著者は経済学者でプリンストン大の教授であったことに加え、オバマ大統領の経済ブレーンも務めていたらしいが、2019年に59歳の若さで亡くなっている。
アマゾン、アップル、スポティファイ等のストリーミングや、YouTubeの登場で、アーティストの主たる収入はCDやレコードの売り上げではなく、コンサートとストリーミング配信料およびグッズ等の補完物等の売り上げとなったとの事。
レコード/CDやストリーミングおよびコンサートの売り上げの配分比や、印税率など、推定値ではあるがかなり突っ込んだ台所事情が載っていて面白い。
日本でもおそらく、事情はアメリカと同様で、アーティストはライブと物販が収入の主たる部分を占めているのではないだろうか。そしてこのコロナ禍でライブが以前のようにできなくなった昨今、よっぽどの大物でない限りかなり苦しい状況に置かれているものと思われる。
残念ながら著者はもう知ることは無いのだが、日本においてはCDに握手券や投票権が付いていることで、一人が何十枚、何百枚と購入し、膨大な売り上げ数を稼いでいた、とか、地下アイドルのチェキ販売等、ディープなアイドル事情も知ることができたなら、本書の改訂時、あるいは続編刊行時に取り込んでもらえたかもしれないと思うと残念でならない。
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音楽の支出は世界全体で500億ドル (2017年)
世界のGDPの0.06% 世界のエンタテインメントの2%
配信サービス印税 100万回あたり2000~3000ドル
スポティファイ売り上げの60%を印税として払う
レディオヘッド In Rainbows
最初の1か月 100万人のうち60%は支払いゼロ、40%が平均6ドル支払う
それでも過去のデジタル配信合計より多い儲けに
アメリカ人の80%が普段音楽を聴く 平均2~4時間 うち1/3がストリーミング
ミュージシャン21万人 被雇用者の0.13%(2016年アメリカ) 半数が大卒
バンドメンバー数 ビルボードTop100 1976年4.5人が 2016年には3.2人
コラボ作曲 1980年代以降作者が2倍 曲づくり細分化
スーパースター市場 規模の経済
トップ1%のコンサート収入 26%が35年後2017年は60%へ
バンドワゴン効果 2017年3320万曲ストリーミング 人気は人付き合いで決まる
これから変わらないものは何か? 戦略を立てられるのはそっち(ジェフ ベゾス)
録音された音楽への支出、1位アメリカ。2位日本はCDに執着のため。
自国バイアス減少へ。
音楽は、早くて便利なものへ。人と人との付き合いが伴うもの。
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多くの人々にとって身近なロック/ポップ音楽が、ビジネスとしてどのように生み出され、流通しているのかを経済学の手法を用いて分析することにより、アートとしての価値が貨幣価値へと転換する仕組みや課題を明らかにした一冊。
今日の音楽業界では音響、録音媒体、ストリーミングといった技術の発達に伴い、多くの顧客に低コストで商品を届けることができる「規模の経済性」が高まる中で、より差別化され非代替性のある一部のスーパースターがバンドワゴン効果によって市場を席巻する「勝者総取り」の傾向が強まっており、これには「需要と供給」バランス、コスト構造、価格差別、補完材といった伝統的な経済理論に加えて、「ファン心理」といった情緒による意思決定などの行動経済学的要素、さらには偶発的な運の力も大きく影響していると著者は分析する。
”青春時代の思い出”や”ここ一番の集中したい時”といった形で人々の感情に作用し、時に社会的ムーブメントにもつながるほどに大きな本質的価値を考慮すれば、著者は音楽の経済的価値は相対的に低く、とても「お買い得な商品」であり、昨今のコンサートチケットの高騰や価格差別はこのギャップを埋める動きとして理解を示す。多くの観点が詰め込まれすぎて冗長感はあるが、データに基づく分析は読み応えがある。
「うちの業界は特殊だから」と言って、経済学や経営学の「定石」が適用できない理由にする人は多いが、音楽業界こそ「特殊な業界」の一つであり、その業界をしっかりと「定石」を使って分析することで、「何がどのように特殊なのか、それがどこに、どのように影響を及ぼしているのか」がより明確になり、そこから、より汎用的に適用できる示唆が得られるという意味で興味深い。一点だけ欲を言えば、著作権の議論においてブロックチェーンに関する言及がないのが残念。本書上梓後に他界した著者が存命ならば是非見解を聞いてみたかった。
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音楽業界にフォーカスされた内容で経済学という観点を期待できる内容ではないとおもう。過去から現在迄の音楽業界の収益の仕組みが分かりやすく書かれています。
ただ、訳者の意訳センスがちょっと合わなかった。ライブの事を「演る」とか、不自然な直訳っぽさと過度な意訳がちょっと鼻について内容が入ってこないところもあった。
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音楽業界のマネジメント、あるいはお金との関わりの記録。
アーティストのトリビア的な蘊蓄、インタビューも含めて面白かった。
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ロックが好きで好きで好きで好きすぎる著名な経済学者が、ライフワークでここぞとばかりに音楽業界を経済学の視点で解きほぐしたら、逆に余計ややこしくしてしまった一冊
需要と供給における音楽のあるべき価値の姿を分かりやすく教えてくれます
因みにアベノミクスが3本の矢なら、ロッコノミクスは7本の矢だそうです
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音楽を聴きながら作業をすると人生の幸福度があがる。音楽はそんなにも本質的なんですよみなさん。山形さんからの望月さんwatcherとしては必読!
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音楽のビジネスが近年どのように変わってきたかを、研究結果を裏付けにしながら論証し、経済学の普遍的な事象を抽出する本。
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音楽業界を経済学をもとに分析。
どうやって調べたのか、貴重な情報が盛りだくさん。
興味深かったのは各国のGDPに対する音楽への支出。
日本、イギリス、スウェーデンが音楽にたくさん
お金を使い、逆に中国は使わない。
そのような環境の中で中国で独自に進化する
サブスクリプションモデルについての言及もあり。
日本語訳が賛否両論あるかもしれないが
これはこれで良いと思います。