紙の本
美しくも切ない物語
2022/12/09 13:50
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっと変わったシャーロッキアン夫婦とその娘たちとの物語だなと思って読み始めたが、途中で著者・小林エリカさん自身の家族を描いていると知って、興味津々で読んだ。
10年以上前に父親を亡くした著者が、その後に起きた東日本大震災や原発事故などの出来事と合わせ、人間という物体がなくなることは、「その目に、身体に、脳に、刻まれた、全てのものたちが、失われていく」と表現する。
しかし父が遺した「言葉」がある。
美しい文体で、本や記録、言葉が生きている者の中で生き続けることを伝える。
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最後、ドラマチックに全ての違う時間の場所の、物語が集結していって、涙をだらだら流しながら読みました。読後感が素晴らしい。。。。
どんな時代にも、辛いことや苦しいことを抱えて、人が生き抜いて、そして死んでいって、その人生は少しづつ誰かが受け継いでいって・・・
これが読めて嬉しい。
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娘が父の生涯を語るお話。今と父の過去と行きつ戻りつ、淡々と語られる。一種の伝記なのでしょうか。家族の歴史というにはちょっとうすいかなと…。
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著者の父母が日本を代表するシャ-ロキアン(小林司+東山あかね)であり、シャーロック・ホームズの全60編を父が翻訳したことが表題作の背景にあります。四姉妹の末っ子「リブロ」の目を通し見つめた家族の歴史は、ホームズ・ファンには親近感のもてる作品となっています。ホームズとモリア-ティ教授の対決100周年記念ツア-に参加した父母の想い出、父の死後での東日本大震災時の都内の状況などが語られた奥行きのある作品です。『交霊』では、キュ-リ-夫妻が登場する、ドイル晩年の心霊研究を匂わせる異色作です。
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「シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。」(講談社紹介文より)
タイトルはもちろん、ホームズ作品からの引用。また家族の会話の中にもホームズネタが織り込まれている。
犬の名前、夕食の豪華さには「今に、青いガーネット入りのガチョウ肉だって出てくるかも。」
いちいち、エピソードがマニアックだ。
家族の一代記であり、また、介護小説の側面もある。
文章はわりと軽めで、読みやすい。
両親が出会ったきっかけが、2人ともエスペラント語に興味があったから、というのも面白い。
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異なる時間軸で展開していく複数の物語をカットバックでつなぎながら収斂させていく、というのはポピュラーな手法ではあるが、今作の場合はそれぞれの時空における登場人物たちの多くが重複し、また進行していくテンポやリズムに差異がない、つまり単調でメリハリに欠けるので、読み辛かった。
骨子はほぼノンフィクションとも言える、著者自身の家族を巡る物語であり、作中世界に共感できるか、没入できるかどうかで評価は大きく変わってくる類の作品だと思う。
境遇含め、読者の属性に依る部分がとても大きい。
シャーロキアンとはとても称せないが、私も子供の頃から全集を何度も通読するほどのホームズ好きなので、タイトルにもなっている「最後の挨拶」がどういう形で活きてくるのかな…と期待しつつ読み進めていったものの、結局は何らギミックとして用いられることはなく幕を閉じたので、やや拍子抜けした。
そういった意味でも、今作は小説の体を取った家族の系譜の記録であり、娯楽性を高めるために装飾するような作品ではなかったのだろう。
「交霊」については、女の霊が抱く孤独感と悲哀にスポットが当たり出した頃は、その後の展開に期待が高まったが、なんだか後半は私の好みとは相容れない方向に進んでいって、どうもよく分からないうちに読了を迎えてしまった。
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夫婦でシャーロック・ホームズシリーズの翻訳を手がけた、医師でもある父を持つ著者が父との最期の日々と彼の父親からの生い立ちを書いたノンフィクション的な私小説(でいいかな)ホームズシリーズの生みの親ドイルの生涯と重ねた展開は、ホームズ好きとして興味深く、このシリーズを翻訳することに自分の存在を証明したともいえる使命感も覚えた。翻訳があってこそ世界中の物語が伝えられる。その重要性も強く感じる。
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亡くなった父について書かれているということだけでキュンとする。
「交霊」も読んで、生と死の境目は意外と曖昧なものだと感じる(信じる)時が自分にもいつか来るのだろうかと思った。
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感想
家族の足跡を追う。どうやって親になったのか。何を見てきたのか。自分が今生きていることの証を手に入れ明日を生きていく気力をもらう。
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「飛ぶ教室」で紹介された本は高い確率ではずしている。もちろん私個人的な感想だが。とにかくダメだ、合わなさすぎて読む気にならず即やめた。ゴメン。
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シャーロック・ホームズ繋がりで読み始め。時代背景や物語の起こる場所に馴染みがあり、親しみを感じて読了。どの人にも物語があり、人生は続くということをしみじと感じた。